Samm Bennett(vo,per,etc)高岡大祐tuba 沼直也ds

やっと最終日だ。そうだ、昨夜の夜中に刺身で昆布締めを作ったのだ。
酒を火入れしてアルコールを飛ばし昆布を浸して、そこに車鯛、ヒラメ、イカなどを重ねる。
炊いてあった米と昆布締め、昆布と干し椎茸で出汁をとったほうれん草のお吸い物、うまい。
昼過ぎにまた買い出しへ、刺身への誘惑をはねのけて氷見産のスルメイカなどを買う。
明日はスープだ。
ところでホテルにおいてある雑誌がご多分に漏れず原発推進でほとほと嫌になる。

昼2時に集合して立山へ。温泉の横にある施設でライブ。

途中からかなり雪深くなり通行止めの道も。寒いのは大歓迎だ。
公民館みたいなところでセッティング。今回初の持ち込みPAは全部沼さんの私物だ。
よく響くので音作りも簡単。
その間に、施設の向かいにある怪しいバラックの八百屋でなめこを買う。

黄金色が美しい、地元の天然物。
昨今、キノコを買うのが難しくなったのでこれは非常に嬉しい。
サクっと温泉へ。車で案内されるが歩いて5分もない距離。富山の人はほんとに歩かない。
泉質もよく露天風呂で小一時間過ごす。サムさんとする音楽の話が面白い。
温泉を出る時にこういう看板を見つけたが、

「他人に恐怖を与える恐れのある人」を排除するのってなんか差別的だな、と思った。そんなん主観やん。
戻ってこのイベントの目玉(なのか)カレーを頂く。地元の豚肉を使ったレモンと大根のカレーとネギのカレー。美味い。
少しだけおかわりでレモンの方だけをちょっと、といったが、何故かてんこ盛り2種が出てくる。日本語通用不可能か。
夜は打ち上げがあるのそこそこにしたかったが、食い物を残すのが異常に嫌いなので完食してしまった。サムさんは悔しそうに少し残す。
ほいで、ライブ、1時間1セット。演奏はいいと思うけど感触は分からん。
このバンド、酒場向けの音楽だと思う。ここにもビールはあるけど、健全すぎてミスマッチではないか。
1セット1時間は結構大変だ。サムさんは直前の温泉が祟ってか(あまり演奏前の肉体にはよくないのだ)声も身体もかなり辛かったそうだ。
それでも何故かあるアンコール、まあ有り難くお受けして終了。
終わったらお客さんの大撮影大会だ。楽器の説明や試奏会にも。サムさんの見た目にも面白い珍しい楽器や沼さんのドラムは少々扱っても壊れないからいいかもしれないけど、俺のだけは勘弁してくれ。

あと、俺は、誰でも仲良く、とかできないたちなんだよ。子供も苦手だ、とくに日本では。
早めに退散するも、なんと北陸では殆ど売れないのにCDが売れたので嬉しく販売。思わず望みどおり手描きの値段表まであげちゃったのは失敗。
「アグレッシブな演奏をありがとうございました」と言われたが、それって…。
まあいい、片付け、打ち上げは久々の店へ。

うまい、うまいです、うまいですが、それに溺れていけない自制心が働く。
そこここに「こんな美味しい物が食べられてよかったですねえ〜」という罠が仕込まれている、ように感じる。
うまいものは本当に好きな人たちと食べるに限る。
「寿司食いに来てんじゃねえんだよ、音楽やりに来てんだよ!」という叫びを、僕はここで聞いたことがある。正しい。
食い終わった後は馴染みの店に行きたかったけど、店主がおらず1時間で駆けつけると言われたが疲れもあってホテルに帰ることに。
やっと三日間が終わった。
もしかしたら、俺はやはり、人間が嫌いなのではないか、と思った。