帰国後

先月のシンガポール・マレーシアツアーから帰国して以来、何かおかしい。
まず、帰ってきてすぐとてつもない腹痛に襲われた。
向こうでは体調は万全だった、30度以上の暑さから雪降る日本に帰ってきたからか、
さては彼の地の食事が美味しすぎて、和食がもう合わない体質になっていたりして、
などという冗談が言えたのもつかの間、起き上がれない程の痛みと苦痛。
尾籠な話だが腹を下すなどという経験皆無な「なんでも食える下品な胃」が自慢だったのに、
もはや一本の管、汚いと感じることがないくらいただ水を流すだけの水洗装置と化した我が身。
人前ではなんとか痛みをごまかし、一人になると唸る。
丁度直後に、定期的に行っている血液検査があったので調べてみた。
驚いたことに、中性脂肪や肝臓の数値は稀なる回復、白血球は増減なしなので菌類の可能性は低い、
ただ特殊な炎症反応のようなものがあったので、ウイルスの可能性は否めないが、それも終盤だろうと。
通院した時にはすでに痛みもなかったので、まあこれはよし。
思い当たるのは食事ではなくて、旅先の釣り場。
特にマレーシア、考えて見れば正気では近寄ることも怖気立つような都市の川に、
ワニ見たさ怪魚釣りたさに負けていってみた。
仕掛けを頻繁に取り替えれば、嫌でもその水は体内に入る。手と口をを使うから。
コップいっぱい飲んだら死ねるだろうな、と思うような水だったのでこれかもしれない。

突然だが、髪を切った。別に意味は無い。
前々から切ってみたかったがタイミングを逸していた。
元々は6,7年前の事故で開頭手術をしたので、右前方生え際から脳天にかけて日本刀で斬られたような
見難い傷が残ったので、それを隠すためにもずっと長髪でいた。
一度伸ばすと、髪は切る気がしない。
乾くのは遅いのが難儀だが、後は何のケアもしないし髪型を考えなくても良い。
長くなったら結んだままで裁ち鋏を使って一息に切るだけ、それでおしまい。
そのまま前に垂らすとキャメロン・ディアスのような前下りボブになったひげ面のおっさんの出来上がり。
これをみていつもウヘヘと笑うのが習慣になっていた。
何の考えもなしに、千円散髪に行った。
散髪が面倒だったのは、どういう髪型にするか指示が出来ないからだ。
赤の他人にイメージなんか伝えられないし、第一イメージがない。
そういう時はこうするのだと、タブレットにサンプルを保存してみせるが最近の方法らしいが、
見てみると「お前髪型サンプルのくせしてなんで顔斜めでかっこつけとんねん」みたいな、
見るからに見るからでしか無い若男の首が並んでいて萎えた。
その中で、小マシに見えるバカ面ではない男の首を選んで(もはや髪型ではないのか)、
担当のおばさんに見せた。
ギョッとする、これか、と。
後ろにくくれる長さから、超ベリーショート。お願いします。
激安店は10分以内のカットがモットー、早さというより効率優先だろう、
昔怪我してそれから髪切れなくなっちゃってね、っていったらおばさん大奮発してくれて、
20分位か、ものすごく丁寧に切ってくれた。傷跡も目立たないですよ、と。
後ろは9ミリです。

髪を切ると、当たり前だが頭が軽い。
冬に髪切る奴は風邪引く馬鹿だとベルギーで言われたが、日本くらいの気温じゃ大丈夫。
長い時は、短くするのが面倒だった。短くするとその逆。
なくしてみれば、たいていのものは、そんなもんだ。
そうじゃないものだけが、本当に大事なものだ。
しかし長年の習慣は消えぬもので、今でも眠る前には髪を解く手の癖が抜けず、時に結ぼうとする。
これもいつか消え、馴染むだろう。


先月の旅で、火が着いた。
自分の音楽のよしなしごとは、これから変わっていきそうだ。
帰ってから色々観たりもしているが、自分の変わらぬところは変わらないままになりそうだ。
僕は、人のつながりのため、に音楽をしているのではない、確かに。
何のためかは、複雑であるし、それは死んだ後に人が勝手に話すたぐいのことだろう。
(最近、自分の音楽に関して書いてある文章を、全く読まなくなった。読み始めても、眼が追っていかない)


昨日、また腹痛だ、おかしいな。今度は胃だ。原因も見当たらない。一日たったら痛みは消えた。
今日から5日間、連続ライブです。
http://www.bloc.jp/daysuke/