クアラルンプールからシンガポールへ

クアラルンプール最終日。
夜中まで起きていたが7時起床。
なるべくこの街をたくさん感じて帰りたい。
ヤンセンから聞いていたすぐ近くの朝市へ行く。
鶴橋市場にも似て、バラックのような中に無数のお店、鶏は生きている、豚は捌かれたばかり、
魚は生きている、さすがのチャイナタウン!

ぐるり回って目星をつけた屋台に飛び込み、さて何を食べようか。
メニューは限られている、ラクサか汁麺か、
魚のすり身麺をオーダー、
出てきたのは澄んだスープに魚丸が5個、麺は黄色くて丸い太麺。

スープがたまらなく美味しい!
よく取られた鶏出汁に他にもいくつかの内臓や骨からのストックが入っている。
徹底的に漉していてすっきり、ここにサンバルとライムを絞ると、たまらん!
こちらに来ると麺よりも汁に比重が重い、麺は種類で勝負。
もう日本のラーメンなんて食べられない。
これなら毎日でも食べられそうだ。
ごちそうさまでした。

その後も軽く散歩して宿に戻り、シャワーや身支度をして9時半にチェックアウト、
ヤンセンと待ち合わせ彼との朝ツアーに出かける。
車で少し離れたもう一つのチャイナタウン、秋葉原のようなジャンク屋も並び、
朝市は先ほどと比べ物にならない大きさ、種類が圧倒的、
新鮮さもすごいもので魚なんてまるで水族館だ。
見たこともないような魚ばかりで目移りする。

僕はここで写真の撮り方を変えた。
前から液晶画面を覗いて対象物を見ることに違和感を感じていた。
写真家もいうが、デジカメで画面見て撮っているときは、撮る対象物を「視て」ない。
だから撮られる時もものすごく違和感があって、苦手だ。
画面を見る動作が醜く感じるなら、見なければいい。
iPhone(SIMなし)を右手で掴むように持ち、画面を手で隠して見えないようにする。
シャッターは音量ボタンで行う。
撮れても撮れなくてもいい。
フィルムの時と同じだ。
僕はこの方が好きですが、どうだろう?








ヤンセン曰くこの市場は昔舗装されておらず、全て貝殻が敷き詰められていたそうで、
その名残を見た。

ペットショップも並んでいて鳥や魚がたくさん売ってある。
日本の熱帯魚のように酸素入り袋で売られている色鮮やかな魚たちは、
食用だということで紛らわしい。


途中の屋台でヤンセンが不思議なものを買う。
魚のすり身のような長いものを男達が切っている、
それらはどこかで揚げられてここで売られる。

食べてみると、ちょっと魚とは思えないような、たまらなくビールが飲みたくなる逸品だ。
それをつまみながらあちこちを歩き、
インド系のお店でお茶を、お茶請けにはTosaiトーセーというクレープのような薄いものに、
味付け用の少量の汁が数種。

開放的なお店が気持ち良い。
彼とは食事の趣味がバッチリでかつ食に関する貪欲な知識欲も似通っている。
彼はこの街で一番美味しいものを知っている男、と言われている。
もう全部お任せだ。
その後またフラフラと散歩し、
昨日の釣行中に何故かバラバラに裂けてしまった小リュックの代わりを買いにショッピングモールへ。
路上のカバン屋もそうだけど、ブランド物は大抵偽物で、
マレーシア感覚でいうと高くてやってられない。
(でも日本と比べるとめちゃ安いが)
いくつかのボッタクリ価格の店を回って、最初の店で
本格的な値切りに入る。
シンガポールと違い、やはりここはムスリムの国だからか、タフな取引が必要だ。
偽ブランドはだいたい中国製であまり長持ちしない、バングラデシュ製の方が物は良い、と
中国系の売り子に言われる、
一つ目星をつけてなんとか粘って1割5分くらい負けさせたが、よく考えると大した額ではない。
がここは地元民ヤンセンの流儀に従うのだ。
さっき食ったばかりだが、オススメを食いに行こうということに
この市場のあたりは無理やり言うと「半密林」というような名前で、
特に豚肉の炙り焼きが名物だとか。
行った屋台でマレーシアではどこでもある100+というスポーツドリンクと、
鴨、豚バラ、脂の多いところ、の三種を貰う。


さすがにどれもこれもうまいが、脂が一番美味い。
ギリギリ表面がサクッとしていて中はねっとりと仕上がっている。
他の3つも美味しいがこれは特筆だ。
食べ終わったらまた車に乗り、また宿の近くに戻り足が痛くなってきた対策で目星をつけた激安靴屋でサンダルを二足購入。
何せ一足300円くらいしかしない。
夏に活躍してもらおう。
さらに車で少し郊外へ移動して何故かジャスコへ。

(店内に肉屋でこんな図)
ここでマレーシアならではのスパイスミックスを購入。
ヤンセンは漢方の仕事をしているのでここら辺はさらに確かだ。
また車を飛ばして駅前のバス停へ。
一人で帰ることだし金もあまりないので安いバスをとってみる。
なんと日本円で1500円しないくらいでシンガポールに戻れる。
シンガポールなら、セブンイレブンでビールが三本買えないくらいの値段だ。
これはありがたい。
バスが来るまで、ヤンセンと風に吹かれてビールを飲む。
もっとたくさん連れて行きたいところがある、泊まりも食事も全部世話する、
いつでもいつまででもいて構わない、
そう言ってくれる。
特別な友達、兄弟のように感じる。
そうあることではない。
マレーシアにはインプロヴァイザーはたった2人だけ、そのうちの一人でサックス奏者であるのは彼だけ。
心から音楽を愛し、その事を共に話す相手も共演者もなく、場所もほとんどない。
その中一人で自分にとって大切な音楽を愛し、一人で続けてきた彼。
去るのが辛い。
僕たちは同じようにおしゃべりなのに、自然と言葉が減る。
僕はまた遠くないうちにここに帰ってくるだろう。
このカオスでぐちゃぐちゃな国と街と人と、おそらくここから始まるだろう何かが、
とても気になる。
またすぐ会おう、兄弟よ。
それまで元気で音楽を続けよう。

バスは安くても日本のものよりも快適といえば快適だが、
ものすごくよく揺れる。
まあ我慢できないほどではない。
相変わらずの椰子の木が続くだけの森の中を数時間掛け続けるだけで、
まあまあ退屈だが、暇つぶしはいくらでもある。

途中で2回ほど休憩があるが来た時ほどいい場所に止まらないので、何もすることがない。
川の国境を越える前にマレーシア側でパスポートコントロール、川を渡ってシンガポール側でまた同じ、
今度は荷物検査のためにバスから一切の荷物を取り出す。
こうして陸路で一人で国境越えるのはなかなかのものだが、悪くない。
こんなに気軽の国境を越えられるのならば、あちこちに行ってみたいと思う。
バス停にたどり着き、そこから歩いてラサールへ、ダレンと待ち合わせ。
顔を見るとかなり疲れている。
とりあえずタイ料理屋で軽く乾杯して、今日はお互いの疲れも考えて一緒に早めに家に帰る事にする。
もちろんだが、家ではやはりウイスキーで乾杯。
それにしても、つまみ無しならウイスキーを飲むのが一番いい飲酒かもしれない。
またしても深い話をたくさん。
久しぶりにあまり深夜遅くならないうちに二人とも寝室へ行き、ダウン。