CHOPPA Festival 2015 2nd day


シンガポール四日目。フェスは二日目だ。
朝からダレンとのんびり朝食を。
彼がでかけたあと少し休んでとしまるさんとヤンセンと待ち合わせてランチに出かける。
リトルインディアのおすすめベジタリアンレストランで初めての本格的な南インド定食。

手で食べるのは初めてで、難しいのと面白いので非常に楽しい。
どれも食べたことのない味で美味しかった。

少し散歩してからヤンセンと僕はサウンドチェックへ。
昨日の反省を活かして大幅にセッティングを帰る注文をする。
広い会場のほぼ中央に斜め向かい合わせに座り、
二人の間に双方向性のコンデンサーマイクを一本だけモノラルで後ろのスピーカーから
うっすらとだけだして、ほとんど生音にする。
人間の耳は、聴きたい音聴こうとする音に自然とフォーカスを当てる
どんな高性能マイクもかなわない素晴らしい機能を持っている、それに賭ける。
その後は表の屋台で果物を買って食べ歩き、一人で長い散歩に出る。

一昨日行った釣り場までたどり着くと彼はいず、水面を見ると彼の浮きだけがたゆたっていた。
根掛かりで失ったのだろう。もう来れないのかな。
なれないルアーでトライするが、強い風の中ライトタックルなのと投げるのに全く不如意なので
ノーコンもいいところ。
一度だけ赤い大きな魚がかかったけど最後は逃げられた。
その後は目の前に落としても見向きもしない。
こちらの魚はどうも頭が良いように見える。
釣りに不向きの日なのか、誰も来ないし、
さっき掘ってきたミミズも全然ダメなので諦めて海沿いにロケハンに行く。
しかしどこも大観光地で海は汚いし浅いし全く釣りはできない。
ひたすら歩いて会場に戻る前に、
フードコートに駆け込んでビール大瓶と目をつけておいた豚の内臓スープ・ビーフン入りをかっこむ。

あっさりしたスープにゆでたホルモン、とても美味しい。
満足して会場に戻ると3番手だった僕らのデュオがトップになったことを知る。
今食ったとこだよ!
どうもトップの人が一人まだ到着していないらしい。
仕方がない、押した時間で帳尻合わせて落ち着きを取り戻す。
客の熱気や視線、好奇心を物理的に感じられることが出来る近さの中でデュオ。
自分でも、こんなことをやるのか、というような演奏になった。
やりたいことが次々生まれて抑えることができない。
ヤンセンの繊細な演奏の邪魔は絶対にしたくないけれども、自分の野卑な衝動を抑えるのに苦労する。
ほとんど椅子には座らず床を転げ回っていた。
(後でブライアンの生徒でダンスクラスの子が、ダンスとして認識していた、と聞いた)
終わって楽屋でヤンセンに抱きしめられる。
良かった、良かったんだ。
自分でも自分がわからなくなるような、そんな演奏、あれは演奏といって良いのかどうかもわからない、
そんなものだった。
ダレンもとしまるさんもあんなことをするのか、と驚いていた。
自分もです。
楽しみにしていたクレイトンのコントラバスソロは、もうとてつもないもので、本当に素晴らしかった。
昨日と同じマイク一本侠気セッティングで、あんな演奏聴いたことない。
昨日共演したフェンシアとダレンとダレンの同僚のサックスのティムのトリオは、
先週中国ツアーしたこともあってか
まるでフェンシアのバンドのようなサウンドで、
喜劇役者のようだったティムのストレートな熱演と、なによりダレンのドラミングに感動した。
この人は、やっぱり素晴らしいドラマーだ。
(もうここのところ良すぎて賛辞に尽きる)
最後は遅れてきたアンラとクアラルンプールのフェスのオーガナイザーでもあるリークワンとブライアンのトリオ。
今日の中では異色の超エレクトロニクスサウンドだが、中でもブライアンのアップライトベースとエレクトロニクスの演奏が白眉だった。
今日も素晴らしかった!
いい加減毎日飲みまくりで少し疲れてもいるけど、打ち上げは欠かせない。

バスで移動した先のニュートンフードセンターは、
巨大遊園地のような野外飲食場だ。
こんな夜中に信じられないようなたくさんの人たちが飲み食いしている。
我らも陣取り、とりあえずビール!
何故か皆はアサヒスーパードライで僕はタイガー。
それぞれ頼みたい人が料理をとってきて皆で分ける。
おすすめのエイのサンバルソース焼きがかなり美味しい。
みんなやばいくらいにビールを頼みまくり僕も半ばやけくそにビールを飲みまくる。
本来そんなにビールは飲めないのだが、他の酒は高くて頼めない。
話題は今日の感想に音楽やその他の環境の話プライベートアホ話なんでもござれ。
自分の英語力のなさにがっかりするが、仕方がない、努力あるのみだ。
クアラルンプールのフードマスター、ヤンセンが何やらすごいものを持ってきた。
羊の関節の辛いソース煮込みだ。
皆お上品に手で食べようとするが、ええいめんどくさい、
と手で掴んでベチャベチャになって食べるとヤンセンが喜んだ。
この料理は不思議なことにストローがついてくるのだが、これは中の骨髄を吸うためにある。

僕は直接吸いまくった。幸せ。
もういい加減遅い時間でお開きに、会計を締めるとまあそれほどの値段ではなかった、日本と同じくらい。
しかしよう、会計終わったあとにビールあの無バカは誰だ!

ほんとにもう、すごいわあんたら。
という人たちを残して帰るもので帰る。
ダレンの家は近所なので僕らは徒歩だ。
帰る道すがら、またいろいろな話をする。
一つ何度も言われたことは「大祐は情報発信がなさすぎる」ということ。
これはたしかにそうだ。
知り合って5年近くなった、本気で他人のことを慮る優しい友人を得たことを、心より嬉しく思う。
家についたらやっぱりまた極上ウイスキーを開けた。またかよ!
でもこのオクトモアというアイラウイスキーは、
あまりに芳しい美味で飲酒とは違う官能的な体験を持たらしくてくれる。
まるで音楽のように、燃え上がり、リラックスする。
今日も良い夜だ。ありがとう。最高だ。

あとはベッドに倒れるのみ。