solo

急遽スケジュールの空いたムリウイでソロをやることに。
生身そのままのtubaと自分だけの即興演奏。
ソロというのは簡単なことと難しいことがある。
自分だけで音を発するから、ある意味自分の思い通り演奏できる、とも言える。
自分だけで演奏するから、共演者からの演奏によって刺激を受けて演奏を発展させる、ということは、ない。
僕は、自分のソロではあまり主観的にならずに、少し自分から離れて自分を見るようにして、観客のような視点を持って演奏するようにしている。
最近は「自分と共演する」という、うまく言葉に出来ない感覚でソロをしていることが多かった。
この日もそういう始まり方で、途中で変わった。
リウイは店主たけしさんの手作りのお店だ。元々は本屋の倉庫だった場所、何も無い場所にいちから作られたお店。
普通のビルや建物の中に後から入って作られた店ではないので、店内は木張りで、密閉感もあまりない。
もともとここのアコースティックの響きはとても良い、都内でも最もお気に入りの場所だ、
手作り故に、立て付けはがっちりしていない、それがここに生きた。
tubaのある音を吹くと、ある場所が共鳴する。音を変えると違う音が共鳴する。同じ音でも、倍音成分をコントロールすると共鳴するポイントや、共鳴音の音色まで変わってしまう。
こんなことは意図していなかった。ここでは沢山演奏していたし、共鳴することも知っていたが、それが突然聴こえてきた。
それは僕だけではなかったようで、お客さんもそう聴いていて、驚いていた。僕も驚いた。
まるで場所と共演しているような感覚。そして、場所を演奏しているような、感覚。
不覚にも、落涙しそうな。
どうしてもやりたくなったので、この日はわがままにも3部も演奏させてもらった。
深い夜でした。感謝。