BOILERZ+タカダアキコ+向島ゆり子@祖師ヶ谷大蔵カフェムリウイ

BOILERZ:高岡大祐tubaワタンベds ゲスト:タカダアキコdance 飛び入りゲスト:向島ゆり子vln
ボイラーズ東京二日目はムリウイ
この日はかなり急に決まった。
ここ数日のライブの急な中止やキャンセルによって、代替えブッキングを探しているときに、
リウイのライブがキャンセルになっていたのを見つけて店主たけしさんに連絡して「もしよかったらやらせてもらえる?」
と聞くと一言「絶対やれ」。このご時世だからではないが、力強くありがたい言葉。
ここにはいつも助けてもらっている。
これで本来オフだった一日にライブが入った(以前はオフにして東京でワタンベとライブ鑑賞にまわろう、という予定だった)
誰か入ってもらいたい、となるとソウルシスター・タカダアキコ直撃OK。
さらに彼女がよく一緒にやっている向島ゆり子さんが見に来る、というので、それならば楽器も、となりました。
1部最初はボイラーズ二人で始まる。途中でアッコに入ってきてね、といっておいたら、すかさず入ってくれた。
中央には天井から下がる長く柔らかい白い布。まるでサーカスのように息を飲むような動きを見せるアッコ。
踊りとやると、僕はひたすらものを考えないで、流れに委ねて演奏する。結果を、求めなくて良いって、なんて気持ちが良いことだ。
2部にはゆり子さんヴァイオリン入りで。動きまわり弾き歌う彼女。アッコはさらなる変化を魅せる。
ボイラーズはその名に反して表面上は沸騰しないけどくつくつと煮える様な演奏だ。
終演後は、近所のお気に入りの酒屋で買い求めた北陸の酒「豊国」を皆に振舞った。
袋しぼり本生、素晴らしい香りと味。僕の好きな水の味の強い酒だ。
酒屋のおばさんに聞くと、ここも強い揺れで50本以上のお酒が駄目になったらしい。
福島の酒を、というと喜ばれた。いまこそ心あるお店で東北の酒を買う時期だと思う。
飲みながらライブを思い返す。
災害発生後、自分の音楽と社会のかかわりのこともよく考える時間があった。
音楽は、とりわけ自分の音楽は、無力だと思う。
誰かを励ますために、いや、それどころか誰のための音楽なのか。
いま被災地に行っても僕の音楽は何の役にも立たないのではないか。
有り余る体力で荷物運びでもしていた方がましだ。
そう思っていたが、この夜のライブは、もしかしたら、いま、ではないけど、そういう場所でも出来るたぐいのものではないか、と思った。
それは、タカダアキコの力が大きい。
美しくて強くて不思議なものが、目を奪い魂を歓喜させ、一瞬この世のことを忘れさせてしまうかもしれない、何か。
それは逃避だ、という人もいるだろうが、信じられないほどの何かが、人の力で生み出され、何かを忘れさせてしまうようなことを、
僕は愛する。
自分が失った立場なら、それを観て、生きる希望を得るのではないか、と思う。
こんな事態に何をほざく、と非難される向きもあるだろう。
それでも、僕は、このようなことを、強く感じた。


しかしよく飲んだなあ。宴だった。大きく感謝。生きることを、色々と感じた夜だった。