COMBAT DE FANFARES@les ateliers claus

昼1時に集合。サンジルへ。
小雨だがものすごい久しぶりの雨だ。
今日の開場は野外なのだが大丈夫だろうか。
行ってみるととても寂しいことに、フリマも畳まれて人も少ない。
とりあえずアトリエクラウスに入る。
今日の本番はバルトとジョアオと僕とでの急造トリオでファンファーレ。
ファンファーレ(フレンチだとなんとなくファンファール、っぽい発音)はフランス語圏でいうブラスバンドのことだ。
バルトはこうやって地元にいるメンバーを集めてやるのが好みだという。
で、初めて楽譜を受け取る。げ、かなりある。
久々な上に一回リハだけで本番に臨むことに。
どうも雨でプログラムが押している。
雨避けテントを立ててその下で我ら三人で演奏。
しっかりベースライン吹いてメロディもとったりハーモニーつけたり、何だかこういうの久しぶり。
1回目終わったらポルトガルの太鼓バンド、この近所はポルトガル人が多くてコミュニティがあり、そこの地元の人達。
子供も大人も一緒、主役は大太鼓。
様々なサイズの大太鼓が10台以上おもいっきり鳴らされるのはすごい迫力で体の底に来る。

ジョアオに聞くと典型的なポルトガルのリズムだそうだ。
その後には知り合い多数のファンク系ファンファーレ、alimentation generale、
この名前、こちらの人だとすぐわかるが、八百屋荒物屋の名前だ。
バッテリー駆動のエレキギターや移動式ドラムセットなども入って賑やか。
ちょっとニューオリンズ風味。

続いて僕らだが場所が移動で(このころには雨も上がった)次の角の八百屋の前。
行ってみたら気の早いバルトが早速吹き始めていた。
そのまま参加。曲順も決まっておらず言われるたびにあたふた、なんせ曲知らん。
しかしたまにこうやって決め事演奏すると楽しいな。
とかいってたらおもいっきりチョンボで曲の位置を失うが即興演奏にしてしまった。
全員インプロヴァイザーなので全然問題なし。そういう箇所も多くバルトも好みのよう。
通常人数の多いファンファーレを三人でやっているのもおかしい。
楽しく終了。

目の前で豚の丸焼きサンドを売っていて演奏中から気になって仕方がなかったので終わったら速攻ゲット。


照り焼きのような味が付いていて非常にうまい。
ビールはなんとクリスマススペシャル。
この後は自分の演奏はないのでひたすら楽しむのみ。
出演者はアトリエクラウスに戻れば何でも飲み放題でサンドイッチも食べ放題。
バルトの携帯を見ると前から気になっていたのだが、物凄いボロボロ。
すごいねコレ、というと饒舌な彼の説明が始まった。
コンゴの今を知っているか?携帯電話に使われるレアメタルが取れるおかげで
凄まじい殺人とレイプがずっと続いている。俺はコンゴで地獄を知った。
たかだかこんな小さな物を新しくするために多くの人が殺されている、
俺は俺はできるだけ加担したくない、だからどんなに壊れても直して買い替えはしない。
日本の状況を振り返って恥ずかしくなった。
どんな遠い見えないところとでも繋がってしまった現在の世界では、自分の小さな満足のために
どこかで多くの人が犠牲になっている可能性がある。
それは忘れないようにしたい。


気がついたらバルトは次の仕事に向かっていてメールが入っていた。
オステンド、海の町へ、か。さすが一日に三カ国で演奏することのある多忙男。
またやりましょう。


今回のこのファンファーレの戦いで一番気になったのはBAGADSKIというグループ。
アトリエクラウス内でのリハを聞いただけで非常に面白かった、
男性リーダーの指揮ドラムで女性が多数、見たことのない太鼓類やベル、
そこに一人明らかにモロッコ人でグナワの衣装を着た若者がカルカバ。






ブラジルのマラカトゥなどのベースを感じるけどそこにモロッコやアフリカのリズムが混在、
音色の違う楽器で組み上げたアンサンブルもとても良い。
行儀よく収まっている感じではなく非常にエネルギッシュ。楽しい。
太鼓のアンサンブルって安易でつまらないものを見がちだけど、やっぱ元々好きだ。
今回の渡欧中で一番の音楽的収穫かもしれない。
ジャンル名にアラブ/ブリュッセルっていうのが泣かせる。
アラブもアフリカもモロッコも近隣の住民で交わっているここならではの音楽。
ショー的な見せ方もよいがとにかく音が良い。嬉しい発見。
http://mysp.ac/95wr1O
こちらは飲めや踊れやでひたすら楽しんでいるばかり。ええわ。







再開したフリマで気になるものを見つけた。
子供たちがだしている店でなにやら怪しげな機材。

物凄いチープだがなんだか充実。ようしおじさんが子供たちに小遣いやる口実、
なんぼや、
え?
2ユーロ。
君たち欲がなさすぎだ。というかこちらの金銭感覚はこんな感じだんよね。
(日本帰ったら苦労しそうだ)
2ユーロ渡そうとしたら小銭がギリギリ足りん…。
大銭渡しても釣りなんかなさそう、あまりに額から離れているし、
とかもぞもぞしてたら、もうそれでいいよ、と、
子供相手に値切ってしまった…。ついでに日本の小銭をおまけで渡しておいた。
ルックスが凄いのでもって歩いているだけで話しかけられる話題の的になった。


しかしアトリエクラウスの主人、フランツはすごい。
このために手続きをして近隣を全部通行止めにしてファンファーレ祭り。
入場料なんかなくてみんな気軽に店を出したりして近所の人も楽しんでいる。
そしてきちんと全バンドに結構なギャラを払っている。
篤志家なのではなく、楽しいことを作って共有したいという彼の思い。
ここでは彼のことを皆が尊敬して愛している。
バンドはなんども演奏し入れ替わり立ち代り、時に合体し。
ああ、楽しい、ここに入れて幸せだ。
ふとした誘いで友人シルヴァーノの誕生祝いに参加。
会場すぐのポルトガル料理屋で。初めてのバカリャウをオーダー。
3人前が一皿に出てきて凄い見かけ。オイルたっぷりで大振りな白身魚
塩漬けを戻しているのだがそれにしてもしょっぱすぎる。酒が進む。
分けてもらった鰯の丸焼きも豚ステーキもスズキの丸焼きもしょっぱい。
でもうまい。
サッカー中継やってて野郎どもは釘付け(どこか忘れた)
パラグアイが負けたんだっけな?

食事後はグダグダしてたらもう終電近いいい時間。
そろそろバカンスに出てこの街から数ヶ月いなくなる人もいる、
ギリシャ人のヨーティスもそうだ、数ヶ月の別れのあいさつを交わす。
オバカさん、何だか知らないけど僕と遊ぶのが大好きだそうだ。ありがとう。
物凄く久しぶりにトラムに乗れて家に帰れる。いつも1時間以上歩いているから大変だった。
楽しみをかみしめてゆっくり就寝。