yellow jackets @atelier 210 bxl

朝は、なにしてたっけ?
夜はライブでいつもより少し早めに集合して車で移動。


そういえば車中でこんな話をした。
ジョヴァンニってなんでそんなフランス語ウマイの?
彼はイタリアはローマ人だが親の仕事の都合で10歳までアフリカにいた。
カメルーンなどフランス語圏にいたのでまずこれで下地ができて
11歳からパリで一年暮らし、大人になってからオランダで音楽学校にいたときに
フランス語のクラスにいったら、ほとんど完璧になったという。
いいなあ〜、俺も5歳まではフランス語話てたんだけどなあ(本当です)


ったらジョヴァンニ「もうそろそろdaysukeもフランス語話せないとね」
あちゃあ、また言われた。今回少し少しだけ覚えたこともあるけど今度から系統だって
勉強しなきゃいかん時期だなあ。
誰かいい勉強法知ってたら教えてください。


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同じくジョヴァンニと話していて。
ハイチの地震について。


こないだ我らがアフロビートバンド・トランスフォーメイションのライブをバーでしてたとき
後半で突然二人のブラックガイが飛び込んできてそれはそれは凄いダンスを踊った。
いやあアフリカ人はいつもすごいなあ、とその時は思っていたのだが
彼らはハイチ人だったそうだ。

アフロ系の人たちは有形無形の差別もありこの街での生活は時に楽ではない。
しかもいまは死ぬほど寒い。暑い国から来た彼らは悲しそうだ。


なんかうまく日本語に訳せないが、彼らはバーに入ってきて我らの音楽を聞いて
「ここだ、ここに場所があった!」というようなことをいって物凄い嬉しくて
そのまま踊ったらしい。

これはものすごく嬉しいこと。
だけどその数日後彼らの故郷を襲った大地震のことを思うと…。


ここにいると世界情勢は他人事ではなくなる。
日本にいて日本人の友人と周囲だけに囲まれて、テレビとネットで世界のニュースを見て
ふーん、大変、日本は平和だなあ、なんていってられない。


ここに来て僕はものすごい数の国の友人が出来た。
欧州中、アフリカも沢山、アラブ、アジア、あちこち。
どんどん他人事ではなくなっていく。


もしハイチにあなたの友人がいたら、違うでしょ?
神戸の震災ですら「テレビの中のことで実感がわかなかった」という関東人もいたっけ。

ここにいるとニュースのフレームの中の映像ではなく、
生で目の前にいる人たちの喜ぶ顔と悲しむ顔を見ることになる。


あなたがこうだったらどうするのよ?というヒステリックで偽善的な脅迫は大嫌いで
そういうこというやつがいるとサラって埋めたくなる。
そうやないねん、実際に見聞きしてしまうのだ、喜びも悲しみも。

よくみんながいう、it's lifeって。楽しい時もつらいときも。
これは安易な意味ではないんだ。


面白いことにこちらにいて鳩山政権に関しての質問や、日本の政治状況、
関西の震災が与えた余波、天皇制の標へんなどいろいろと質問される。
みんなよく知ってるんだ。しかもごく普通の感じで。


日本でベルギーの政治について知ってるやつなんかいるか?


なぜ彼らがかように日本のことを知っているかというと、その一端は僕にもある。
新しい友人の生まれ育った国はどんなのだろうか、知って話したいという好奇心。
好奇心は猫を殺すかもしれないが人を活かす。
その好奇心をもって世界と自分の間に道を開く人たち。
ここでは皆が僕の先生だ。


++++

閑話休題。本題に入る。
会場のatelier210は本来劇場でそこのバースペースでのライブ。
担当者のクザヴィエは気さくなあんちゃん。赤い内装の古い劇場はとてもいい感じ。
ジョヴァンニはドラムをセット、ピアノもって話しだったけどここのピアノは何故かハンマーが全部なくて
鍵盤が意味をなさない。謎だ。なので内部奏法だけをすることに。
少しサウンドチェックで演奏してみると、ものすごく響きが良い。うっとり。これは楽しみだ。

セットが終わったら賄い。会場に上がると一足先にクザヴィエは食べている。
ボロネーズパスタ。欧州中の定番料理。
ちなみにもう一人のメンバーであるジョルディはなんとダブルブッキングが直前に判明し1部は遅刻すると。
ゆる〜い、このへん本当にブリュッセロアはゆるい。
食べながら三人で会話、皆英語がかなり達者だ。ビールはシメイブランシュ。


9時会場前に壁にある写真の展示を見る。
一見何か分からないけどよく見ると全部カビの写真だ。すげ〜。




こうやりました、という見本のカビだらけのりんごも置いてある。

9時の開演前には客は少ない。ここは少し中心地から離れていてねえ、とかいってたら
あっという間に階段にまでいたるまでの満員状態。うわお。

で、どどんと演奏。1部はデュオだ。
響きの良さに助けられてのびのびとしたいい演奏。最初はたっぷりtuba笛を演奏した。
ああ、楽しい。なんでこんなに楽しいのだろう。何の特別な音も出ない(と思う)のに。
一音一音喜びに溢れているのが自分でもわかる。tubaだとそうは行かない。
でも切り替えて吹いた時の楽しみもひとしおだった。
内部演奏するジョヴァンニの横からピアノに向かってtubaを吹くとピアノが響くの楽し。


休憩中に息切らせてジョルディ到着。自転車できたみたい。サイレント映画に音つけてたとか。
そのまま準備させて、はいソロやってね、って。


バスクラソロ、かなり良かった。入魂してる。ジョヴァンニとそのまま参加。
これまた楽しいトリオだ。今までのこのトリオのベスト。
ここの客はほとんどが集中して静かに聞いてくれる、それだけに話しし続ける少数の客が気になってしまう。
しかしなんでみんな金払ってライブ見に来て、見ずに聞かずに話す?
(フランス語圏の人の習慣らしい)



終わってからもみんなご機嫌。バーのお酒はビールもあるけどジュネヴァ(オランダのジン)を果実漬けした
ここらへんの定番のもいける。久しぶりにちょっと酔っ払った。
クザヴィエは超ゴキゲン、音楽相当好きだって、ありがたい。
終わった後結局1時過ぎくらいまで歓談してた。片付けて帰途。
友人と約束があったので家に戻ってからバーにいったら珍しく閉まってた。なんとま。
治安悪いところなので気をつけて帰って寝る。