ディナーパーティー

夜はディナーパーティー
なので朝から買出し。
ちょうど最寄り駅前で日曜市場をやっている日だ。
ブリュッセルで一番安い、という噂通りもう目から鱗に安い。
 
 

手羽1kg2,2ユーロ、牛挽肉1kg4ユーロ、パクチー三束75セント、蕪2kg2,5ユーロ。
円換算とかする前に感覚的には1ユーロは100円くらい。ああ素晴らしい。
ありとあらゆる食材に目移りする。
マッシュルームスーパー大袋にあふれそうなくらい入れて2,5ユーロ。
これはまともにいくと食うのに1週間はかかる。


食料だけじゃなくて雑貨も豊富。
どのあたりもモロッコ系の商店で掛け声が日本の市場そっくり。
価格と安さを連呼する売り声が楽しい。


前から探していた圧力鍋を発見。小ぶりで安い。15ユーロ。
日本だと毎日のように使うものだが今の家にはなかった。
火を止めて仕事や作業をしている間も料理をしてくれる憎いヤツ。
アラブやアフリカだと火の節約にもなるので重宝されている。
デザインもプリミティブでカッコいい(僕的には)。

夕方にはセントラルの中華街に出かけてさらに買出し。
干し椎茸や各種調味料物色。味醂見つからず。
イカナンプラーが買えて幸せ。
悩んで中国製の米酒を買った。買い物で一番高い4,5ユーロ。
酒使わんと和食にならん主義。
帰り際に忘れていたネギと生姜の買い足しをモロッコ商店で。


パーティー会場であるアレクサンドラ(サーシャ)の家に移動。
最寄トラム停から電話をすると見知らぬ青年が車で迎えに来てくれた。ただの迎えとのこと。
青年はそのまま立ち去りドアを開けると笑顔のサーシャ。
彼女のアパートのキッチンを借りて調理開始。
ほどなく彼女のいとこのサーニャがやってきた。
ふたりともロシア系フランス人でずるいほど美人。


料理をしていると突然電気が全部落ちた。がーん停電だ。
まずいことにここには電気調理器しかないので料理が出来ない。
仕込みをしたままの食材をおいてしょうがないのでワインで乾杯。
アルザルの白ワインは彼女たちの故郷のものだそう。うまい。


停電の中、さらに客人が来た。
友人のミミにジム、初対面のピエールはピアニストで彼女連れ。
ロウソクを灯して電気の復旧を待つ間にみんなで乾杯。
サーシャの作った小麦の生地の間に野菜を詰めこんでオーブンで焼いたもの、
赤ワイン、そしてロシア系ならウォトカでしょ、とそれにあわせる魚の缶詰も。
料理出来ないけど楽しい飲み会だ。


突然電気が復旧し、歓声。僕は飛び上がりキッチンに向かう。
圧力鍋で干し椎茸とキクラゲを戻しておいてよかった。
これで取った出汁が料理の基本。


手羽を少しだけ油で炒めて蕪と煮込む。
味付けはキノコ出汁、生姜、中国醤油、イカ醤油、酒、他色々。
その横でキクラゲと干し椎茸とマッシュルームの炊き込みご飯を大鍋で炊く。
コンロが二つしかないので一つができたらすぐに洗って、そこでマーボー豆腐。
椎茸と生姜をたっぷり効かせる。ネギも大量に。


サーシャは得意のボルシチを作ってくれた。
ああ本物の味、久しぶり。おいしいなあ。牛肉の出汁がものすごい効いてる。こうじゃないと。
いとこのサーニャが食べているがたしか彼女はベジタリアンだが、
形がなければいいとのこと。そうかあ。
サーシャはみんなにサーブした後に鍋をひっくり返してしまう。あちゃちゃ。
このあたりでジムの友人でこないだワタンベを空港まで送ってくれたハミルトン到着。


いよいよ僕の料理の出番。
きのこご飯は淡い味わいでおこわのような雰囲気、僕は好きだが彼らにはあっさりしすぎか。
手羽と蕪の煮込みは濃厚味付けで好評。
最後の大盛り麻婆豆腐はバカウケ。ジムは殊の外喜んでくれた。
みんなたくさん食べてくれたが、日本人より食細いよなあ、やっぱり。
残ったものはみんなのおみやげに。


電気が再開して料理したとき、非常に幸せだった。
やっぱり僕にとって音楽することと料理することは似ている。
皆が喜んでくれたら非常に嬉しい。自分のためだけでも大好き。


ここにいたのはベルギー・フランス・ロシア・セネガルコンゴ・ブラジル・モロッコ・日本と
いろいろな血がミックスされた人たち。
料理と音楽はこういう交流に非常に向いている。


ミュージシャンと違いみんなちょっと気質で早めのお開き。
ピエールは日本の高円寺百景とかと共演経験ありということでびっくり。
ハミルトンに送ってもらって寒空を歩かずに済んだ。無事帰宅。