BOILERZ,tranceformation@java bxl

起きたら昼、さすがにふらふら。今回初めての軽い二日酔い。

なんとか起き上がり店主にコーヒーをもらい出発。
ブリュッセル以外でトラムに乗ることは稀でさてどうしたものかと店の前の駅で
行き先を見ているとすぐにトラムがやってきて運転手に行き先を確かめて乗る。
街中に入ると昼間から賑やかだ、そうだ今日はクリスマスイヴだった。
終着駅だと思っていたアントワープを少し通り過ぎて降りる。

歩いて少し戻り腹がへったなあといろいろと道の店を見るとどうもブリュッセルよりすべてが少し高いので
気が引けて買わずに駅へ。チケットは買ってあるので楽。
なかなか良い電車がなく各停に乗ったがこれが本当にのんびりで多分後のに抜かれた。
1時間くらいでブリュッセル到着。ワタンベと別れてルラ邸へ。
家につくと置き手紙がありルラとアンジェルはこの二日間実家に行っている模様。
猫の世話を頼みます、ということ。
とにかくやたらに空腹なのでキッチンにあるものでいろいろつくる。
紫玉ねぎとチコリとマッシュルームのサラダ、汁物がわりにラーメン、野菜と挽肉のレッドカレー
暖かい食い物を食べてひとごこち。
ちょっと寝ておこうと思ってベッドに潜り込むもなかなか寝付けずそれでも夜の体力のために寝転ぶ。


なんだらかんだらして起きて準備してライブに出かける。
初めて演奏するカフェJAVAはルラ邸から歩いてすぐの中央街にある。
今回はちょっといわくつきで、本来ワタンベとジムとブッキングしてボイラーズのライブをメインに、
ということだったのだが、気がつくと告知ではボイラーズではなくトランスフォーメーションのライブに
なっていた。いくらなんでもそれはおかしいと厳重抗議すると、揉めた。めんどくせえなあ。
それでもどうしてもワタンベが帰るまでに一度ボイラーズをやっておきたいんだよ。


中に入ってジムと少し話、こういう時彼は非常にすぐに謝る。欧州人とは違い少し日本人っぽい。
まあいいよ、ボイラーズできるなら。とセッティング。
トランスフォーメーションのメンバーも続々登場、今回ジョヴァンニは欠場、代打でサックスのダニエレが登場。
しょっちゅうライブの場であっていてそれ以外でも飲んだり遊んでいるのに彼と共演するのは初めてという不思議。
ドアがあいて大きな笑顔のジョアオが入ってきた。おお帰ってきたんだ、おかえり。
そんなすぐに来てくれてありがとう。
ブラジルでの楽しかったことを大声で教えてくれてなんだかすごいエナージック。
これから日本語の勉強もして8ヶ国語(!)しゃべれるようになるんだ、と元気。


さすがに昨日の今日でヤル前には飲む気にならず(ワタンベはウェストマル飲んでたけど)水飲んでスタート。
床にドアがついていてたわむステージに気をつけながら、音数も音量も少しずつ練るように。
気がつけば沸騰、ボイラーズの音に。
こっちにきてずっとふたりだけでやる機会はなかった、クルワサンやセッションの中で彼と共演している、
ふたりだけで演奏するとぜんぜん違う、フィット感、バンド感。
一旦きっちり途中で途切れ拍手をもらい再開。最後は馴染みのエンディングの直後にメルシーと叫ぶ。
大きな拍手。
一番前までやってきていたジョアオが大絶賛をしてくれた。ものすごく嬉しい。
友人だが、世界中の音楽に触れている最高のドラマーだ。
普通のカフェの客たちの中からも良いライブだったことを伝えられる。
ここの常連のジムいわくここら辺の客も店もインプロに触れるのは初めてのことだったらしい。
嬉しいじゃないか。


次はトランスフォーメーション。
ワタンベとグレッグとダニエレがステージに上がってキュウキュウ。
オリヴィエとハディは板の下で演奏。
グレッグはサックスの音量を通すためにワタンベに音量を下げる旨をいっている。
それじゃあ面白くなかろうに。気にするこたあねえよ。
このバンドはパーティーバンドでかつグレッグのバンド、彼の意向を多く汲み取るのも事実。
最高だったのは2部の最後、アフロビート曲でぶっぱなしたダニエレの長い長いソロ。
彼はフェラクティのバンドメンバーたちと演奏や交流のある筋金入りのアフロビート好き。
それだけではないと思うが思ってもみなかったくらいどかんどかんにやってくれて、ものすごい良かった。
 

終わったら落ち着いて乾杯。汗で昨日の酒を抜けきった。今日はイヴだ。
こちらでのイヴは殆どの人が家族と過ごす、いわば日本の正月のような感じ。
普通店なんて開いてもいずライブなんかしても誰もこないよ、といわれていた。
加えてブッキングの揉め事の時に言われたのだが、ボイラーズなんてやったって、
イヴの夜に誰もインプロなんて喜びやしねえよ、とあろうことかミュージシャンの口から言われた。
バカヤロウふざけるな、何のために音楽やってると思ってるんだ。と怒った。
まあそんなの相手にする方がバカバカしい、宗教が違うようなものなのでほかっておいた。
誰も喜ばない、上等だ、やったろうやんけ、とやってみたら、ボイラーズの演奏はとてもよく、
こちらのバーライブはだいたいうるさくて仕方がないというのに皆が聴いている感触が手に取れた。
ワタンベがこっちにいる間にやれて、本当に良かった、と二人は思った。
僕らだけではない、少数の心の狭い奴らを覗いて訪れた多くの人達に届く音だった。
いい夜だ、こんな楽しいイヴはない。
 
しかも新しくとてつもなく面白い人と会えた。この話は内緒。

ビールを重ね、次にはメスカルに移行。一杯飲むと、あ、これはヤバいと体がいう。
もとより早めに帰るつもりだった、とはいってももうすでに3時過ぎだ。ちょいとひっかけて帰る。
皆に感謝の旨を告げて。
ここで酒をストップしておいて本当によかったと思う。


一人でセンターから大通りを歩いて帰る。ここ数日はそれほど寒くなく道路の雪も消えてきている。
通りに人影は少ない。
楽しかった夜をかみしめて歩いていると、向こうから若いアラブ系の男が二人やってきた。
すれ違ってから戻ってきて一人が執拗に絡んでくる。
こういう手合いは相手にするだけバカバカしいので適当にあしらっていると、
しつこく体に触ってきて、挙句の果てに足をひっかけて蹴ろうとしてくる。
ふざけるな、と突き放し歩を急ぐがしつこい。ちょっとやばくなってきたので
鞄の中から今日の演奏で使ったアフリカの鉄製ベルを突き出して、なんじゃこりゃあ、とばかりに
威嚇したら走って逃げていった。
このあたり、それほど治安がいいわけじゃないんだよなあ。しかし俺としたことが。
まあ目を見るととても尋常まともではなかったが。
この後繰り返すと嫌なのでベルをそのまま手に持って叩きながら家まで帰った。
案の定、他にも声をかけてくるのがいたのだ。アフリカベル最高。
帰ってお茶のんで就寝。