eric,craig,watanbe,daysuke@salle jeanne

いよいよ録音の最終日。今日は僕は3時入りなのでらくだ。

忘れ物をして駅から家まで戻ったのが辛い。tuba担いで3階まで登るのが。
ついたらみんなは食事中で僕はセッティング。今日は僕のエレクトロニクスも試すことに。
借りていたミニアンプにこれまた借り物のミキサーと持ってきていたカオスパッド、マイクを繋ぐ。
tubaにはつながない。
今日はさらにゲスト、アルゼンチン帰りのヴァイオリニスト・アナンタがコルネットヴァイオリンで参加。
ニコの書いたカントリーのような歌物の曲をリンと三人で録音。
インプロとのギャップがクラッピーの魅力だ。
裏ではジョヴァンニがダブルアルバムにしようかなどと言っている。
「パラサイト」というホラー実話をもとにした曲で僕も参加。エレクトロニクスなんて久々だ。

6時になったら僕は退散、夜はワタンベとライブ。
MIDI駅からアントワープへ。途中の北駅周辺で目をきょろきょろするワタンベ。



途中メッヒェレンで乗り換えたほうが早い旨を車掌にきいてそのとおりに。
少し遅れて到着したアントワープ中央駅はハイテクなホームだけどエントランス付近は壮麗で華厳。
いつ見ても驚くが初めてのワタンベも驚く。

広場の大きなクリスマスツリーで待ち合わせ、エリックはサンタクロースのようだ。
彼の車で一路deurneへ。
車中でいろいろ話す彼はご機嫌で、ここ最近はゆっくりと自分の時間を持てて調子が良いらしい。
明日のクリスマスイヴには一番下の娘に日本語の教材をプレゼントするとのこと。


ついてすぐに積み下ろしセッティング。
ここに住んでいるクレイグも今日は参加。
ドラマーズはステージ上に乗ってステージしたにクレイグと僕が対面する。

ツインドラムと爆音ギター、そこに爆音tuba。
エリックはライブ前からやけにご機嫌でライブ中はマックス。
あんなノリノリの彼を見たのは初めて。
後ろからやってくる太鼓の音は二つの上半身を持つドラマーの連打のよう。
クレイグは得意のほとんど自動演奏と化すギターとアンプ2台。
僕は渾身に吹いた。即興で立って演奏するの久々、音がすごく体に来たから。


1時間を超えたあたりでむちゃくちゃになってきた。
エリックは僕の隣にやってきてギタレレを弾きながらなんか叩いている。
空いた彼のドラムにクレイグが座って叩きだす。
客席の子どもたちに鳴り物を渡して一緒に演奏するエリックは
まるでつの犬さんだった。


クレイグはそのあと突然クッションに頭突きを繰り返して叫び
おお、そういえば島木譲二に似ているなあと爆笑していたら僕も思いっきり
クッションでドつかれて0,5秒くらい気絶した。
ワタンベは一心不乱にたたき続け、エリックは子どものペンを取り上げて
猛烈な勢いで絵を書き始めた。


もうなにがなんだかわからない。けどものすごく楽しい。
最高なクオリティの即興演奏からバカバカしいまでの騒ぎまで。
アフリカみたいだっただろ、ってエリックが笑ってた。
そういえば彼はアフリカのシャーマンたちと交流がある。


終わった後は乾杯してゆっくりエリックたちと話す。
彼の話は演奏同様ものすごく引き込まれる。
予想し難い話の展開をする上に英語力が高いので注意して聞かないといけない。
この底なしの魅力はどこから来るのか、追いかけてみたい。
少しずつ彼の秘密に迫っていく。

この日は彼の一番上の娘も見にきてた。
17歳、カーリーヘアの超べっぴん。
そういえばフラミッシュパート、ベルギーのオランダ語圏に来ると小さい子供まで
英語をしゃべる。
彼女はもう若いエネルギー全開って感じ。この父にしてこの子あり。

夜遅くなってエリックは帰っていく。
明日はクリスマスイブで、末娘に初めてプレゼントを贈るんだ、って。
なにあげるの?ってきいたら娘がせがんでいた日本語の教材だって。
宮崎アニメの影響で日本語を学びたいとのこと。
エネルギーと探究心はこの人の血にあるようだ。


楽しい夜の後、この未亡人が経営する女と子供と家具と劇場の館で
ワタンベと二人、酒は飲み放題。これが危険。
カウンターの中で飲みまくる。いろいろと話。
途中で買い物に出るがブリュッセルと違ってこの町は眠っている。
帰りに凍結した道に足をとられて二人同時に滑り、ワタンベは思いっきり転んだ。
そのくらい酔うてたいうこと。


気がついたら朝の6時やんけ。
隣の劇場に用意されたベッドに倒れこむように就寝した。