crappy miniband/kuruwasan@josef,berlin

ゆっくり起きてみんなで朝食。
ドイツはパンが安くてうまい。
居間兼寝場所で楽器練習してたらニコとグレッグが乱入、ジェンベとバラフォンもったエルスもやってきて
結構な音量でのセッションがはじまった。
みんながノリノリになっているとドアベル、さすがに苦情が来た
オーノー、という顔をするみんな。僕はそりゃそうだ、と思うのだが。
やっぱベルギーとはドイツは事情が違うよ。ブリュッセルは特別と見た。


収まりのつかない(特に)エルスの提案で公園にいって音を出しに行くということに。
ぶらぶら歩いてみたかったし(鍵のスペアがあまりないので出歩けなかった)話に乗る。
途中ニコとグレッグは路上演奏家張りにノリノリで歌いまくり、地味な市民を驚かし、
僕はエルスにベルリンの音楽事情を聞く。
彼女は北方ベルギー人(だと思う)んだが、最近こっちに引っ越してきた。
ベルリンは文化大都市だと思うんだが、ここだけで自分の音楽で食べるのは至難だという。
みんなお金を払いたがらない、昨日の受付見ていてなるほどと思った。
なのでここにいるミュージシャンたちも外に出稼ぎして稼いでいるとか。
どこもあまり事情は変わらないなあ。

公園はいかにもドイツ、って感じで、真ん中にある今は噴いていない噴水のど真ん中に荷物を広げる。
四方はいかにも集合住宅なんだが、大丈夫だろうか。
そんなことに頓着しているのは僕だけでみんなはご機嫌に制限ない音量で演奏している。
まあ僕も乗る。エルスは本来ヴァイブラホン奏者でバラフォンはマリで買ってきたらしい。
微妙にリズムが前に行かないんだけどご愛嬌。



しかしキーが固定されやすい割にはヴァリエーションに乏しく、だんだん飽きてきた。
これではジェンベ野郎とあんまり大差ない。
まわりには浮浪者風おっちゃんや散歩中の家族などが少し遠巻きに見ている。
このままtuba吹くのも乗らないのでジェンベ借りてみた。
僕は全然普通のテクニックで叩けないのでアラブ風とかアブストラクトなリズムカウントで遊ぶ。
まだこっちのほうが遊べる。
ドイツの夜は早い、夕方4時ころにはかなり暗くなってきた。

真っ暗になってきてエンド。片付けて家へ。
パン屋で軽食を買って軽く食べて別宅組に合流して出発のしたく。


車で移動、最初にパクヤンを拾いに来た川沿いのクラブ・マリアの隣にあるヨゼフが今日の会場。

入るとなんだかにぎやかに設営をしてDJVJも気合入っている模様。
オーナーのエマニュエルが熱烈な挨拶をしてくる。
会場はただの箱なので設営場所の相談でなかなか決着がつかず。みんな引かないなあ。
結局対角線上にクラッピーミニバンドとクルワサンがセッティング、僕は生でいいがパクヤンはセッティングが往復で大変。
会場には小さな小屋が設置されていてその前のテーブルにはものすごいたくさんの野菜が積まれている。
これが食えるのか、と思ったらそうではなく、なにやらパフォーマンスに使うと聞いて残念。
そうこうしているとエマニュエルたちの行動が変、天井から紐をたらしそこから鶏肉や生魚をつるしはじめた
このときに気がつけばよかった・・・。

これもなんかに使うらしい、いいけどにおいがかなわん。
第一食い物をおもちゃにしているようでいやな感じだ。


セッティングも終わりとりあえずビール。
ここには久しぶりに見るチェコのウルケルがあった。懐かしい。これはうまい。

食材は山ほどあるのに食事は出ないというので皆で外に出かける。
近隣には何も店はなくちょっとした通りまで少し歩いた。
皆が方々に選ぶ中、いつものように自分の間で好きなところに入る。
美しいタイルが並ぶファラフェル屋。頼むと野菜団子をひとつずつ丁寧に揚げ始めた。
あたりの予感。たくさんの野菜と包んでしかも鉄板で全部を挟んで焼いてくれる。
ほかほかのファラフェルサンド、とてもうまい。昨日とえらい違いだ。


欧州は結構こうやってテイクアウトで食べ歩けるような軽食屋がたくさんあっていい。
皆でめいめいの好きなものを頬張りながら、たまにある壁の残骸なんかを横目に戻る。


会場にはすでにまあまあ人も入っていて昨日よりずっといい。
タイミングを計ってクルワサンからスタート。
強めのミニマルな繰り返し、僕はtuba笛で変なトランス。ひとつのアイデアが長い。
グレッグのバリトンとブローをはじめて盛り上がってきたところで台無しの事件発生。
目を開けるとカッパ姿の若い女がでかい生魚をグレッグのサックスのベルに突っ込み、
強引に彼の腰をつかんでどこかに連れて行こうとする。
バランスを崩して危ないグレッグ。魚にはちょっと後まで気がつかなかった。
気がついて唖然。怒りよりも落ち込みのほうが大きいらしく、抗議の後演奏をリタイア。
まあ気持ちは分かるが、こちらは演奏はやめない。思わずトリオになってしまった。
かなりたってからグレッグは戦線に復帰し参加。しかし影響は否めない。
なんとか終了。
見ていた仲間たちもこちらも激怒。一瞬騒然となる。
どうやらオーナーともども、似非アーティスト気取りの馬鹿な行為。
かなり激しく抗議するが向こうに反省の色はない。
客に罪はないので(たぶん)気分は微妙だが続いてクラッピーのライブ。
昨日よりもインプロ多め、リンはうまく怒りをエネルギーに昇華している。
良いライブだったと思う。

終わってからもいろいろと騒然としている。
僕はあまりタッチせず(ろくなことにならないから)ビールやゼクトという発泡ワインを飲む。
もはや我慢できない、という感じでジョヴァンニとオーナーが激しいやり取り、さすがに心配で駆け寄る。
顔面つき合わせて怒るのようなヤンキーのような口喧嘩。
原因分からないがとりあえず収め引き剥がす。
しかしもう全員これは無理だ、とすばやく撤収の準備。
後で聞くとあげくのはてにギャラの計算の約束をたがえて大幅に少なくして渡そうとしたらしい。
こちらはそんなアホアートイベントやってくれとも、金のかかるDJ読んでくれともいってないっつーの。
まあ正式に抗議したら金は支払われたが、「それでは今すぐ私の家を掃除して出て行け」だとさ。
パクヤンやジョヴァンニたちはやつの家に世話になっていたのだ。
OK,と走って撤収。
こういう自己顕示欲にまみれたイカレポンチアート野郎などとかかわってはなれない。


おかしかったのはみんながその魚女に
「君はとてもとても(very very っていってた)ラッキーだ、
もしtubaのベルに入れていたら僕らは救急車を呼ばなくてはいけなかったんだ」
っていってたこと。
女はさっぱり分かってなかったけど。


撤収中は横のマリアに行列ができていた。
ジャンキーらしいひどい格好の若者がこの寒空にぐちゃぐちゃの地面で転がっている。
もうここに来ることないんだろうなあ俺たち。
さいなら。


まずは荷物をエルスのリハ部屋につみおろしてエルス邸に戻る。
皆でせめて暖かい食事をと、いちばん近くのトルコ軽食屋に入ってスープなど。
ここも良いサービスで安くてうまい。

ベルリンのいいところである。
みなで軽口や慰めを飛び交わす。
部屋に戻り冗談の押収。相当遅い時間、5時くらいにやっと寝た。