jordi,giovanni,daysuke@goutte a pepe bxl

昼前まで眠れた。睡眠はばっちりだ。
いつものようにサラダとパンハムチーズ、昨日の残りのスープは昨日より味が出ていてうまい。
昼過ぎに来客あり、ヤニックとデグルチーニがグレッグにコントラバスを返しに来た。
ヤニックとは2ヶ月ぶりか、再開の挨拶をし近況報告。これから二人はアントワープに行くらしい。


昼にグレッグと出かける。
このときカメラを持ち歩いていないのが悔やまれた。


一階にはインターネット完備のロビー。
共同だけど、キッチン、トイレもバスタブもある!
アフロビートカルテットを一緒にやっているパーカッション奏者のモロッコ人ハディも住んでいる。
4階のその部屋は、見晴らし最高、公園に面していて景色はとてもよい。
部屋の大きさは8畳よりはでかいな、10畳位か。
掃除をしたら即OKだ。


建物は駅から歩いて1分、通っているスーパーも市場もすぐそこ。
この2年間暮らしていたなじみの町、サンジルの中にあって
グレッグやパクヤンたちの家からも歩いてすぐ。
むしろ少しだけセントラルに近くなった。
一階にある窓にはなぜか大量のサングラスが飾られている。
これが有名な目印らしい。


来週のベルリンツアーから帰ってきたら、部屋を借りて一人暮らしをはじめます。
海外で、はじめてちゃんと一人で家を借りることに。
異様に安い家賃は一月100ユーロ。感覚的には1万円。
一番安いギャラでライブしても二日で払っておつりが来る。
安さの理由は、ここはスクアットらしい。


スクアット、不法占拠物件。
日本では考えられないが、こちらには所有権がフローしている建物に
そのまま居座る人が多い。
大きなライブハウスもそうやってるところがあるし、何度も世話になった。
で、スクアットというと、背徳の巣窟、見たいに思う人も多くて
実際に若いころに住んでいた友人に聞くと
「とにかくパンクスはルールのように犬を買うのでそこらじゅう犬だらけ、
酒か麻薬でべろべろになっているやつらがあちこちに転がっていて
夜は暗黙の了解のようにあちこちで性別問わずに乱交パーティー
だったそうである。


なんで、げ、daysukeスクアットに住むの、といわれるが
住んでいる人たちはほとんど知り合いで、普通のアパートよりきれいなくらい、
オーナー(といってよいのやら)がこの建物を占拠しているので
問題なし!ということらしい。
日本だと想像もつかないな。
まあ、こちらはこんなふうにたまに官憲よりも市民のほうが強いこともある。
ここはひとつ甘えて暮らそう。


今晩近所でライブがあるということでベルギスタンのメンバーも集結していた。
みなにも挨拶。
一人家に戻り少し作業。
夜7時にジョヴァンニの家に行って今晩初共演するジョルディと三人で夕食。
ジョヴァンニは良いコックだ。

野菜のこくの聞いたベジタリアン・タジンとクスクス。野菜が甘い。
荷物を車に積み込んで出発。
一度ジョルディの家によってからまたすぐ近くのイクセルの中。
goutte a pepeに来るのは初めてだ。
なんか見たことのあるないそうだと思ったらこれまで結構出ているmurmureの系列店だとか。
早速セッティング、している間にビールも届く。
今回初のロシュフォール8。ベルギービールの王様だ。

ジョヴァンニは今回ピアノもドラムも演奏するという、ジョルディはバンスリ、各種笛類、
バスクラにソプラノサックスなど。僕はtuba一本勝負だ。


店には宴会のような若い客もいてかなり騒がしい、こういった状況でインプロするのにはもう慣れた。
20分くらい押して開演、かなりのがやがや。
気にしていてはしょうがないが、閉じてやってもしょうがない。
こちらが開いていって、相手に届けるまでだ。
会場のノイズをそのまま取り込むように演奏する。
ジョルディと共演するのは初めて、ひとつひとつは端正な演奏、しかしアイデアがころころするのか落ち着かないのか
しょっちゅう楽器を持ち替える。少し焦りも見られる。
こういうときはじっくりひとつの楽器でアイデアが出切るまでやったほうが効果的なんだけどな。
だから僕はひとつの楽器からいろいろな演奏することを選んだ。
イデアの出し惜しみはしない。客をキャッチする。
ジョヴァンニはドラムとピアノ往復で忙しいが、そんなにテクニックがないドラムでも彼の音楽の意図は明快で
いい絡みができる。ピアノもかなり打楽器的アプローチが多い。
僕のリズミックなアプローチは全小節繰り返しなし、のようなもので、自分でも飽きない。
どんどんエスカレートしてありとあらゆることをやる。
30分ほどの連続演奏で終わると、大きな拍手。
これで休憩するのかな、と思ったら今日はこのままやるらしい。ぶっ飛ばす。
どこで終わるのかぜんぜん分からないのだが、気にせず全力で。
後半30分、客の笑い声やノイズを最大限に生かす。
終了、さらに大きな拍手と歓声。まさかのアンコール。
うるさい酒場でインプロして、アンコールがあるって、すごいよ。
短いセットを受けて、ユ−モラスに〆。
うるさい宴会客からも万雷の拍手。


終演後は落ち着いて飲み。
ここはビール天国、久々のウェストマル。
しかし最近は坂部ではせっかくということでハードリカーをもらう。
ここの名物らしい、大きな水槽のようなビンに入ったジンジャーウォトカとジンジャーラム。
入れ物もすごい、端っこのはなんと金魚鉢になっている。


やっぱここmurmureの系列店だ、もう信じられないほどの換気の悪さ。
タバコ嫌いじゃなくてもこれは本当にきついよ。
ほとんど外にいた。今日は比較的暖かい。
ここでもたくさんの再会に恵まれた。
ギターのクレモンは「君の英語、欧州発音になったね」というが
今回僕はさらに開き直ってどうしようもないピジンイングリッシュにしたつもりなんだけどなあ。
僕の英語力はかなりひどい。


客からもバーテンダーからも、良かったよ、と肩を叩かれる。
これがありがたい。ダイレクトな反応を感じれることは音楽家の喜びだ。
コミュニケーションの達人たちである彼らは、初対面で臆さずに気持ちを伝える。
僕はこれが好きだ。


ジョヴァンニがバーテンダーをさして、彼はとてもよいコニャックを持ってるよ、
というのでお勧めにしたがってみんなでそいつをいただく。
ほんの少しの量で、強い、たまらない香り。
本当に久々にコニャックを飲んだが、これは本当にうまい。やみつきになりそうだ。

ベルギスタンのライブが家の近所でやってるからいけるかな、と思ったら、もう2時近く。無理だ。
最近夜になると眠気がやってくる。、時差ぼけは一切ないが、健康的な眠気。
ジョルディにさよならを、ジョヴァンニと車に乗ってサンジルへ帰る。
グレッグはまだだ、軽くパンとサラダを食べてお茶を飲んで就寝。