グレッグとギョームとトリオ@inter art city

朝は来客で目が覚める。
グレッグも寝耳に水、忘れていたらしい。
楽器修理の相談を受けて出かける彼。
僕はスーパーで買出しへ。
こちらで食料を買い物に行くのはいつも楽しみだ。
クルジェット(ズッキーニ)が安い。
定番のトマトやマッシュルーム、パン、ハム、チーズも。


楽しい一人ランチ。
穀物入りの丸パン、ゴーダチーズと生ハム。
トマト、オニオン、チコリ、セロリ、マッシュルームのサラダ
鶏肉とクルジェット(ズッキーニ)セロリとマッシュルームのスープ。


こちらにきたら定番の食事。やはりうまい。
野菜は力いっぱいで味が濃くて大きくて安い。
数日は食いつなげるだろう分を思い切って買っても15ユーロ。
僕は通貨を両替換算しない。住んでいるからだ。
生活の感覚でいったらいつだって1ユーロは100円くらい。
安いなあ、うれしい。
音楽だって安くって上等だ。
今晩は今回の初ライブ。
グレッグsaxとギョームds、gongと僕の新しいトリオ。


ブラックライトオーケストラのリーダー、ダニエルがやってきた。
弦楽器を携えた女性たちと一緒で、階下の音楽室で新譜録音のリハらしい。
僕は読書や事務作業。
2月にドイツからやってくるデュオのブッキングをいくつか、3月からやってくるベルジャンのも。
リハを終えて帰っていったダニエルがすぐに戻ってきた。
君と話がしたい、という。
お互いの近況や来年の彼らのことなど。
楽しく悩むリーダー・ダニエル。


夕方から夜にかけては楽器の練習をする。
ここにきて何が良いって、いつだって楽器を吹けることだ。
石の壁に向かって微音を吹く。
ひとしきり吹いたら同じく練習中だったグレッグと一緒に吹く。
ほとんどライブのような二人練習。


ちょっとしたら外出の準備。
車でギョーム邸にたちよりお茶をいっぱいもらってから出発。
今日はギョームはドラムを持っていくのをやめてドラとスティック類のみに絞った。
いろいろと理由はあるが、直前に出演をキャンセルされそうになったのも大きい。
こちらではイベントのドタキャンは多い。なんとか対策をしてせっかくの今回初ライブを不意にしないようにした。
会場はROGIERの駅近くの高架下のようなところにある、いっけん廃墟部屋のような場所。
interart cityとうい連日のアートイベントだ。

すでに別の催しをやっていて、エレクトリックツインヴァイオリン二人と打ち込みのライブ。

ひとしきり見て楽屋に荷物を置き待機。
次の出し物は映像と舞踏。東洋人の女性ダンサーが白塗りで、車椅子にしつらえた映像投射機で凝った映像を
プロジェクターで投影していく。

ここらでなんだか眠気が来てそこにあった寝椅子に寝転びまどろむ。
いい時間になって起き上がってみると驚いたことに打ち込みだと思っていた音楽は
3人のシンセによる生演奏だった。高価で珍しいヴィンテージばかりを使っている。


次が僕らでギョームのドラを中央においてセット。
客は静かにざわざわしているが気にしないで聴こえるか聴こえないかくらいの微音からはじめる。
ギョームのドラ弓弾きは多彩な音色を放ちグレッグのアルトも気息音と倍音豊か。
これに比べるとtubaの音はシンプル極まりない。しかし自分の音を聴きこむかのように吹く。
途中からものすごい変な感覚にとらわれた、tubaのマウスピースが異様に小さいものの
ような口の感触。
持ってくるサイズを間違えたかと思ったがそうではない。一種の幻覚だ。

少しずつ練るかのようにリズムも繰り出す。ギョームは硬く細いスティックで応戦。
さまざまな展開があったと思うが、あまり良く覚えていない。
都合45分ほどの演奏。
終わったら暖かい歓声と拍手。いい始まりだ。


次の出し物のフルートとギターのデュオを見ながら、見に来てくれた友人たちと再会の挨拶と歓談。
wellcome back!と何度も言われる。
数人のお客からも話しかけられた。
踊り終えた東洋人舞踏家はやはり日本人でこちらに長く住んでいるアイさんという人。
ひとしきり話をしていろいろ伺う。

なかなかいい時間になってきて退出。
ギョーム邸近くで投げ銭の振り分け。
グレッグ邸に戻り少し話をして就寝。
さあ、はじまった。