レコーディング、ライブ鑑賞

珍しくまともなtubaらしいレコーディングの仕事。歌もので。
プレイバックを聞くと自分の音は「シンセで作ったtubaの音」に似ています。
tubaらしい太く柔らかい音ではなく、ローパスフィルターかけて削って
レゾナンスをきつくして、ディストーションかけたみたいな音。
きちゃないのです。


こんな音を出すと承知の上で、呼んでくれたプロデューサー様、
一緒にやってくれたミュージシャン様方、こんなゲリババみたいな音を録音してくれた
エンジニア様方、ありがとうございます。
僕は人間的にもtuba吹き的にもまっとうな人間ではございません。
こんなヤクザものに・・・ううう感涙。
(ミュージシャン的にも、とは死んでも言わない、俺の音楽を変態とかというミュージシャンはどいつもこいつも低脳の馬鹿だ)


その昔初めて特殊奏法で演奏を録音したらそのときのプロデューサーは
「tubaの音じゃないという苦情が来たらどうする」といい消去しやがった。
いつまでも忘れない、俺の生んだ音を殺しやがって。


堅気の世界でまたtubaを吹くことはあるかな。
いつもは無理だけど、日の当たる場所で楽器を吹くのも楽しいです。
飛び道具だけどまともな扱いされてうれしい。


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自分が生まれる前から第一線で活動している人がこんなアホの若輩に丁寧に話す。
それだけで世界は明るく感じられる。


昨日久しぶりにあった年長の、何年も一緒にバンドをやり、世界中を共に旅をしたこともある
あのミュージシャンは、久しぶりだというのに、絶対に俺に挨拶はしない。
お前なんかに笑いかけても一文にもならない、といわんばかりに苦い顔しかしない。
いくら世間に認められてようが、俺の友人たちが絶賛してようが
あんな野郎には死んでもなりたくない。


ベルギーに長く住んでいる日本人の友人は帰るときに必ず「さようなら」という。
親しい人が「さようなら」と言うのを物凄く久しぶりに聞いた。
これだけで一日が明るく過ごせる。


ベルギーのレジ打ちかかりはたいてい要領が悪い。時間かかる。
しかしマニュアルではなく「こんにちは」「さようなら」「良い日を」という。
それだけでまた買い物に来たくなる。


非常に日常的に挨拶を交わすあの国の作法は、片頬をくっつけキスの音を立てる。
ラテン気質の強い人は、堅く抱き合い背中を叩きあう。
孤独感に苛まれて自暴自棄になることはない、誰かと物理的に触れ合うだけで
沈んでいた気持ちも浮き上がる。
少しでも誰かに触れたら、自殺したいなんて気持ちにはけしてならない。


人に救われていることをいついかなるときも全面に出している奴らが気に食わない。
「だから人っていいよね」みたいな奴。
そういう奴は状況が変われば、自覚もなく平気で人殺しに加担すると思っている。


俺も人に救われる、感謝もする、しかしそれを売りにするようなのはごめんだ。
俺は人を救った後に、感謝されたいなんて思わない。なんでも、したいからするんだ。


日本に帰ってきて、いろいろびっくりして、考えたりもした、柄にもなく。
でも帰ってきて一発目に時間をかけてやった、初対面に近いよく知らない仕事仲間たちが
会えてよかった、皆さんその業界のプロフェッショナル、
これから新しい友達になれたらいいな。
滅茶苦茶ラッキ−だ。俺はついてる。こんなことはそうそうない。
感謝してます、俺は俺を今まで貫いてきて、良かったよ。


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で、すげえ大荷物もって一度置かせてもらって六本木に走る。
ライブが見たかったのだ。東京で。
毎日のハードな仕事、毎日朝までの打ち上げや飲み会、連日4時間しか寝てない、などで
久々に体調に大きな不安を覚えるが、
それでも音楽が聞きたい、生演奏が、東京ならではの音楽が。


走りまくったら間に合った、汗だくだ。
並んで入る。


sim+otomo, d,v,d paraどれも堪能しました。
楽しかった、面白かった、ためになった。
実は数回立っているだけで気絶しそうになったけど(3時間半たちっぱなしはキツイ)
本当にきてよかった、今のタイミングで。


simはかなり久々でotomoさん入りは初めて、後二つは初めて。
いつも知らないものが見たい。
成功が確約されている音楽のライブなんて見たくない。
良い悪いって言いたいから行くんじゃない、感じたい、知らない自分に出会ってもみたい。


ベルギーで毎日最高に音楽が楽しかった。
日本に帰ってきても最高に楽しみたいんだ。
やっぱ向こうのほうがいいよねえ、なんて言いたくない。
日本に東京に、このシーンに最高の音楽にかけてやっている人たちがいる。


言うとあれですが、simが始まって、音を聞いたときに
「ああ、こっちこっち、俺こっちの人」って思った。
ここ数日やっていた仕事も充実していたけどちょっとした出張(悪い意味ではない)。
これからまた自分の音楽に戻るわけだし、ああよかった。


3つ聞いて思った、日本は工夫の国だ。
イデアも方法も工夫された音楽。
これを欧州の彼らに聞かせたい。


俺はどうだ?
俺は工夫の人間ではない。
動物が音楽をやったらどうなるだろう、みたいな。
そんな感じか、わからんなあ。
熊がtubaを持ったらどうなるか。
あいつら、人を襲うときに山の上から駆け下りたら100m5秒で走るんだぜ。
一撃で車のボンネットぼこぼこにしちゃうし。
タクティクスに長けているし群れないし。
熊みたいな音楽がしたい。
なんじゃそりゃ!


ああもう、疲れと感動のハイで恐ろしく元気だ。

CDもたくさん手に入ってうれしい。(しかしこのコピー最高)がくんと睡眠。