オフ、カメルーンランチ

約束があったのを思い出して起きる昼12時、さすがに眠い。
外に出るとライブサウンド、今日はfete de la music、フランス語圏ベルギーあげての音楽祭だ。
パルヴィの広場に特設会場、ちょっとしたフェスの規模の大きなステージ。
変わった音がするので見たらコラとパーカッションと電気トリオのフュージョンなバンド。
チラ見で通りすぎって約束のランチ会場へ。


ジョヴァンニとパクヤン、パリからやってきたサックス奏者のアレクサンドラ。
表の席で音を聞きながら注文、ここはジョヴァンニお勧めのカメルーン料理の店。
飲み物も食い物もなかなか出てこない、さすがアフリカ。
どうやらそこのフェスにも出店しているようで忙しそうだが、それ以上に遅い。


やっと出てきた料理、アレクサンドラと僕はpoule DGという鳥と野菜のミックス料理、
ジョヴァンニは鶏とピスタチオの料理、パクヤンはなんか野菜。
鶏は一度から揚げにしたあとにこってり煮込んである。野菜はクッキングバナナがメイン。
すんごいこってりのパワーフード。弱い奴には食えねえ。
バナナが芋みたいで非常においしい。コメと食べるのがうまい。
ジョヴァンニのをちょっともらったら、ピスタチオよりマニオク、
かなアフリカ特有のでんぷんの粉の、ちょっとおからっぽくてあっさりして凄いおいしい。
噂には聞いていたがとんでもないボリューム、見た目はたいしたことないけど動けないくらい。
さすがアフリカン、強い、とまた思う。


この後ライブのあるジョヴァンニたちと別れて家に戻り少ししたら徒歩で移動。
今日は夏至、そこらじゅうでお祭りをしている。
ジョヴァンニとアレクサンドラのデュオ会場はミュルミュルのすぐ近くでお洒落カフェ。
近くのplace de flageyではブラジルとポルトガルのコミュニティが大パーティー
これもフェス規模のステージ出して出店もたくさんで大賑わい。
豚の丸焼きうまそうだが食えない。

カフェはすかした感じで昼ライブ、友人ちらほら以外の客は本当に誰も音楽聴かない。
真横で平気で携帯鳴らして大声で会話。もうなれたけど。
ジョヴァンニのオリジナル中心のデュオは非常にクリアな世界。
評判のアレクサンドラはソプラノで、過度にエモーショナルになることなく淡々と演奏する。
淡々、というのを説明したら喜んでた。
とりたてて奇抜なところは何もない演奏なのだが、何か気になる、良いライブ。
入れ替わり友人たちがやってくる、ポルトガル人のウーゴは赤ちゃん連れてきた。
この子がとてつもなくかわいい!顔やしぐさもさることながら、歩き回り踊りまくる、
音楽に対して向かう、突進して歩いていくのをウーゴが引っ張ってとめる、
砂浜でくつろいで踊っているかのような彼女。
抜群のところで手を上げて、帰る前にはハイファイブまで(!)して帰っていく14ヶ月。
すごい。




3ステージの演奏を終えて友人たちと別れの挨拶をし、僕ら4人は車で移動荷物を置いて
compilotequeコンピロテクゥへ行く。
日本人参加ライブイベント鑑賞、これも祭りの一環で勿論全部タダ。
以前良く演奏した日本人好きのこの場所、運河そいで風が強くて外は寒い。
中では日本人と白人交えたライブ。
自作楽器で物音演奏している若者は身近でよく知っている。いろいろと面白い。
後は、まあ。
合間に見回すとたくさんの友人知人がいるので挨拶。
アトリエクラウズのフランツはビールおごってくれた、物凄い酔っ払ってたみたい。
最後のバンド少し聴いて、もういいや、と独りで退散。
日本でアマチュアが出るライブハウスにきたみたいな感じ。
こういうのがこちらの人には日本っぽいサウンドなんだろうけど、今楽器下手なの聞く耳がないんだ俺。
友人たちに帰ることを伝える、いや、俺は時間に対してケチでね。


歩いて帰ったことのない道を黙々と独り歩き続ける。
いろいろなことを考える。
いい間違いから思いついた言葉、music is not part of my life,life is part of my music.
音楽をする、ということについて、ここでよく考えさせられる。
日本で活動している僕とは、ここのミュージシャンは基本的に根本からスタンスが違う。
誰も望んでいないのに命張ってやらないとやっていけない日本での俺、
比べると多くの人が望んでくれてリラックスしながらやっていけるこちらの俺。
どちらが良いとかはない、タダの違いだ。
しかし日本でやってきて良かったと思う。苛酷な環境でスポイルされないでやってきたからのことはある。


気がつくと知っている道まで出てきた。不法滞在者収容所とか近く通ってまあまあ物騒。
アフリカンバーから聞こえてきた下手糞だけど強くて自立したポップスが良かった。
トラムに乗って最寄り駅まで、もうすでに祭りは終わっていて酔っ払いの惨状の後ちらほら。
家に帰って最後の独りの夜、羊を蒸し煮にしてチーズ出して赤ワインで独り晩餐。
刺激のない音楽に何かが起こるのを待つ退屈な時間の百倍は楽しい夜。