eric/lynn/rudi@cafe vertigoに飛び入り

今朝はまた新しいミュージシャンと知り合った。
フランスから来たアドレアン、サックス吹き。
今日からベルギスタンのツアーでスペインに出かけるグレッグの代打でブラックライトオーケストラに数日参加する彼。
これから三日間ルームメイトだ。


朝からの移動で疲れもあるみたいで一緒にブランチ。
俺の作った謎スープと白米。おいしく食べてもらえて幸せ。
つうか、フレンチベースのエスニック料理をフランス人に食べさせる日がこようとは。


数日前に作った野菜と羊の赤ワイン煮込み、羊がなくなったところで、鶏肉と各種野菜を追加、調味料も少し調整してまた煮込んで作っておいた。
薄味なのにやけに複雑な香りは羊だ。


さて今日はアントワープに一人で出かける。
エリックdsとリンのライブに飛び入りだ。
ハイパークオリティの彼らのライブに参加。
知らないギタリストもいる、彼らの新しいプロジェクト。
年甲斐もなくわくわくどきどきする。


電車でアントワープへ一人旅。
ってもエクスプレスだと1時間もかからないんだけど。
でもブリュッセルからアントワープに行くまでに言語もフランス語からオランダ語に変わるし
なんか遠くにいている感じがする。
乗った電車の終点は隣国オランダのアムステルダムだし。


わが町サンジルを出る途中に高砂出身東京在住のコピーライター旧友に良く似ている
男から声をかけられた。
あ、2年前にライブ一緒にやったフランス人のtuba吹きパスカルだ。
もうすぐ帰ることをいうと、
「前のライブは良かった、ただドラマーが最悪だったから(うわっ)今度もっとちゃんとやろう」
と連絡先を交換する。


そのまま駅に歩いていくとパクヤンがやってきた、アントワープ帰り、入れ替わりだ。
明日の予定を立ち話していると、独特な雰囲気の明るい男がやってきた、
花形ベーシストのアクセルだ、3人で挨拶、アクセルの家は目の前だった。
なんもしないで歩いているだけで友人に会えるのがサンジルの楽しいところだ。


アントワープ


今回の滞在では独りで動くことが多いのでグーグルマップを良く使う。
目的地調べて、手書きのメモ地図を持って出かける。
普通の地図も路線図も何も持っていない。

縦横の道に慣れている大阪人にはここの地図は奇怪だ。迷路みたい。
ここらの標識はほとんどオランダ語だ。
迷路の抜け道のような地図で徒歩20分でなんとかたどり着く。
あ、この辺、前にライブで来た事あるなあ。


音がするカフェに入るとサウンドチェック中。
ギターの大音量、エリックとリンも音がデカイ。
ひとしきり見た後に挨拶。


そういえばこの日はエリックの40歳のバースデー、お祝いを言って
貰い物だったけど、日本の風呂敷をあげる。
40歳になった気分は?ときくと「うーん、今日は腹が少し痛い」
とぼけたスーパードラマー。

表でみんなで飲食。
僕はビールだけ。
会話はオランダ語でフランス語よりついていけない。
ただみんな英語は喋れるので隙間でみんなと会話。


1時間以上押してスタート。
店内は物凄い人だ。
少しだけのきっかけを決めてインプロで作曲するというコンセプトのトリオ。
ギターのルディは大音量でリフのようなものメインで、あまりにミニマルでロックで
たまにアフリカに聞こえる。
リンはエフェクト一杯の歌を頭上高く吊ったアンプから振り下ろし
エリックはこれまで見たことのない非常にロックな音のドラム。


三人ともノイズ轟音の時間も多い。


最後の方で2,3曲飛び入り。
とにかく音がでかいのでそのつもりで生音爆音tuba。
今回の滞在で俺のtubaは便利だなあ、と思うのは
バンドがアンプリファイを使っているところに生音で飛び入りできること。
カフェとかたいていPAないもんな。
時間さえ限定すれば、どんなギターの轟音にも負けない音量は出るし
音さえ限定すればどんな早弾きより早く音は出る。
はは、みんなが笑ってる。


終わったあとは面に出て僕はロシュフォール8で乾杯。
ルディはここでは誰でも知っている成功したロックバンドの人で
新しいことをしてみたいという彼との試行錯誤のトリオだそうだ。


あと印象的だったのは、リンが綺麗な靴を履いていて、
ほら、ここフランダースだからみんな見た目とかばっかり見るのよ、って
俺サンダルで来ちゃった、あはは。
だからリンはブリュッセルが好きなんだって、みんなばらばらでごちゃごちゃの。


時間を見ると長い1セットだったのでまだ早い、終電に間に合うならそれで帰ろう。
見知った顔に別れを、特にエリックに。
彼に気づかされることはとても多い。
なにより、ドラムがめちゃくちゃかっこいい。目も耳も奪われる。
なんか知らんけど、日本人の持ち物である覚悟や気合を感じる。
何が特別なのか言葉には出来ないけれど、彼のドラムには惑いがない。
エリックティールマンス、40、惑わず。
11月に来た時には新しい事を一緒にはじめよう。
来年は日本に来るかも、だ。


小走りにアントワープ駅に戻る。
一度通った道は忘れないたちでよかった。
途中の真っ暗の交差点に正装真っ黒のユダヤ人たちが無言で集まっているのが不気味。


巨大な駅に入るとほとんど空っぽ。
チケットを買いに販売所に走ると閉鎖してる。
券売機はクレジットカードのみだ。


参った、カードで買う男にどうやったらかえるか聞く。
ああ、あそこにいる制服きた猿みたいな奴、あいつに言うと買えるよ、でも少し高い、
なんなら俺がカードで買ってやるよ、とのこと。
割り切れる銭が少し足りない、そしたら、いいよ小銭はと太っ腹。
こういうコミュニケーションに立脚した気軽な親切は、こちらでとてもありがたい。
感謝を述べ握手、トイレに走り電車に走る。


車内はそこそこ、酔っ払い多し。
鈍行なので真っ暗な駅にたくさん止まる。
ブリュッセルに入ったあたりで突然長い停止。
フランス語オンリーになった車内放送でなんかいってる。
ともかく待つしかない。かなり長い時間。
売春婦たちも仕事収めている北駅を通り列車は無事南駅へ。
駅には人の影もなく、駅前はちょいと物騒なので気合を入れて歩く。


寒空の中一人やたらに薄着な奴に声をかけられたけどノンメルシー。
ここらはホームレスが多い、彼らの多くはアル中かジャンキーだ。
再開発が進む駅南側の瓦礫の合間に彼らはいる。


無事家にたどりついたら2時半前くらいか、電車、倍以上かかった。
倒れ寝。