greg,yann,hadi,daysuke@cafe murmure

鶏に煮込んで朝飯。
昼間にグレッグは家でレッスンがあるので外へ散歩。
気持ちよい晴れ、独りでカフェで読書。
たまに目を休める、道行く人を見るだけで飽きない。
本を読み飽きたら公園へ行く、陽だまりで上半身裸になっている人たちに習って日光浴。
池のほとりにさまざまな水鳥たちが集う。


戻ってなんだかんだして夜の準備。
少し曲の確認。相変わらずリズムの譜割などが理論的に分からないところがあるが演奏は出来ている。
車でミュルミュルまで移動。
日が沈むのが10時半くらいになってきた最近の夜はずっと明るくて表で遊んでいる人たちがたくさん、とても平日の夜とは思えない、まるで日曜の昼間だ。


案の定ミュルミュルもまだガラガラ。明るいうちはバーは暇だ。
セッティング、今日はグレッグ、ハディ、僕、それにヤンと管打楽器のみの編成。
最近知り合った日本人グループも見にやってきた。

馴染みのカフェミュルミュルの割には客が少なくて満席に少し立ち見くらいだったけど
ミュージシャン一同燃えた。
グレッグbsと僕tubaでツインベースとメロディ両方やって、飛び入りのヤンssは隙間を縫い
ハディperはジェンベ、ダルブッカ、カルカバと縦横無尽に叩き出す。
素材はアフロビート、フェラクティ、エチオピークジャズ、モーリタニア砂漠の民の歌とか。
元ネタと編成が全然違う、のでずっと吹き続け全パートを網羅しなくてはいけない。
きつい、しかしとにかくリズムが気持ちよいので苦にならない。

ハディはさすがにアフリカ人モロッコ生まれ、ほんまもん。
なんか不思議なのはデカイ音量でバックが鳴っているところでのtubaソロ、
音量的にも苦にならない。まるで歌うかのように楽な気持ちで自分の即興演奏を
他人のしているかのごとく楽しく吹ける。


今朝起きてすぐも昨夜演奏していたフレーズをえんえんと繰り返しながら料理してた。
新しいバンドの誕生に一同喜んだなあ。
日本に友人たちも狂喜するだろうこのバンドのサウンドはいまのところここブリュッセルでしか聞けない。


昨日言われた、「お前はもうブリュッセラーだ」(ブリュッセロア?)
ごたまぜのこの町で自分でいろんなものを混ぜ込んで暮らす人たち。


ある人が昨日行ってた、
「この町にはじめてきたときに言われたんだ、君がもし何かになりたいのなら、
 ここならなんにだってなれる。カメラマンでも水泳選手でもなんでも」


僕はもしかしたら、ずっとなりたかった自分に、ここでなれているのかもしれない。
自分で気がつくほど、僕はここで、ずっと笑っている。
人と挨拶を交わすときに微笑が絶えない。
こんにちは、ありがとう、また会いましょう、さようなら、という基本的な挨拶を欠かさない。
これだけで少しだけ日々の暮らしが楽しくなる。


いよいよ来週には日本にいるということを自覚するとき、
今見ている風景がそこにないことを奇妙に感じる。
この雑然とした汚くも美しい町並みに、強い現実感を感じる。
こないだ帰る前もそうだった。ここにいる、強い現実感。
生きていることも人に会うことも音楽をすることも、とてもリアルだ。
場所に限ったことではないんだけどね。


ライブ後良く飲んだ、酔っ払ってるのが久しぶり。
地ビールいくつか、トラピストビアいくつか、ワインいくつかと景気づけのウォトカ、
さらにいくつかと、さいごのパスティスがきいている、これはフランス語圏のアホが飲む酒だ。
管楽器と打楽器だけでよくぞあそこまで吹ききった叩ききった叫びきった。
とにかく強かった。
放出しきった、ブリュッセルで今回おそらく最後のライブ。
ごちそうさまでした。
新しいバンドが出来た。
かえって空腹を収めてバクスイ。