突然のライブキャンセル、jean-louisに飛び入り

ハプニングの連続の日。


昼前に起きて飯のしたく。
ニンニク豚バラいためてセロリとトマトときのことオリーブ煮込んでスープ。
これにグレッグか昨夜作ったココナッツカレー。うまい。
夕方までいろいろとうだうだと、最近よくグレッグと話をする。

夕方というか夜にジョヴァンニのところにいく、セッションしていたみたいで
コントラバスのウーゴとすでにジョアオもいた。
ジョヴァンニのリガトーニ野菜ソースご馳走になる。
あほなこといいながら野郎三人でディナー。
終えたら積み込みしてカフェへ向かう。


まずはバッドハプニング。

こないだライブやったカフェlombardにUKIYOでいったらスタッフのはてな顔。
なにしにきたの、みたいな。
どうやら店がダブルブッキングした模様。
すでにもうひとつのバンドメンバーもきている。
ジョヴァンニ大激怒。猛抗議。
しかし店は今準備しているバンドで告知しているのでどうしようもない、といわれる。
がくーっとした顔のジョアオ。
しかし店の提案で明日の日曜はどうだといわれ、みんなに聞くとこれが奇跡的にみんなOK.
よしそれでいこう、と早めに手打ち、店の人間も誤っているしね。
荷物も今日のうちに置けるし。


そこにこないだ知り合ったフランス人クラリネット/サックス奏者のヤンがやってきて、
昨日タイバンだったフランスのバンドjean-louisが極近所でライブやるとのこと。
そういえば昨日去り際によければ楽器もってこいよ、とかいわれたなあ。
僕は道知らないのでヤンに連れて行ってもらう。
いまだふてくされ中のジョヴァンニとほげーっとしているジョアオ置いといて。


ゴージャズなバーの奥のほうからドスのきいた轟音が聞こえる。
電気で押し潰されたtp ファズでぐしゃぐしゃのコントラバス 野獣ドラム。
告知があんまりないみたいで人はまだそんなにいない。後で増えた。
なんだか昨日見てたときより柄が悪いぞ。

合間にメンバーのほうから声かけられて2部で飛び入りすることに。
「適当なところで俺らにアタックしてこい」やって。


とりあえずまずは様子見。
ドラムのフランチェスコは金属系のガラクタを多数用意しているが
それを硬い石の床に向かって放り投げまくるし
ラッパのエーメリックは太い棒で店の壁とかシンバルとかどつきまくってるし
コントラバスのヨアヒムは暴れすぎて床でエフェクターがひっくり返って裏返しになってる。
ドラムは爆音で二人はアンプばりばりの轟音。
ここに俺は生音で入るわけだ、久々に自分に渇を入れる。


曲は切れているような切れていないような、いつ入るかは自分次第。
合図なんてくれやしない。おっしゃ。
音の塊の中に入っていく。
曲はなんとなく昨日聴いたが複雑すぎて一回で覚えれてたまるか。
数え切れない複雑な拍子と休止の中で即興でもうひとつのパートを作曲するように
演奏するのはどちらかというと得意分野だ。


馬鹿みたいな爆音の嵐に負けないように常に最大音量で吹き続ける。
コントラバスのソロ中に立ち上げるフランチェスコとエーメリックが寄ってきた、
三人で馬鹿みたいに大声で吼えて叫びまわる。
頭わりー柄わりー、久しぶりに同じタイプの馬鹿と会うなあ。


まるで曲を知っているかのような顔でもして最後まで通す。
呆然とする、狂ったように踊る、叫ぶ客を置き去りにジエンドはなぜかモンク1コーラス。


終演後狭い通路の奥にある隠れ家のような楽屋に連れて行かれそこで宴会。
エーメリックはマグマのメンバーとバンドやっててマグマにも参加していたらしい。
そこらへんにいるの全員初対面でよく知らんのだがやけにウマが合う。
明らかにブリュッセルのノリと違う、ちょっと危なくて危険な感じ。
悪いだけならここらの不良にもいるが、これが良いクオリティのミュージシャンが悪くて
なんだか居心地が良い、俺にとっては。
知的なのと暴力的なのが同居しているのが好みやねん。


ウォッカを呷りビールをチェイサーに、隅っこを見るとエライ悪いことになってる。
2年前から友人のパトもきてさらにどんちゃん
日本のことパリのこと、音楽事情の意見交換。
真剣な話と超くだんない馬鹿話。
「お前と一緒にツアーがしたい」なんてうれしいこといわれる。


なんか、いま自由だ俺。
ここには誰も前からの知り合いがいない。
誰も僕のことは知らなかった、ただこの場で音を聞いて出しただけの僕のことしか知らない。
なんのしがらみからも捕らわれることなく、ここにいる。


このまま彼らと旅に出て誰とも連絡をたったら、
そしてこの晩のようにまたどこかで未知のバンドと知り合って、新しい旅に出る、
これを続けたら、誰も俺のことを捕まえられないんじゃないか。
tubaだけ持って、どこにでもいけるというのは、我が理想だ。


「ありがとう、いつか一緒に行こうぜ」と、この夜は返した。


トラブル転じて新しい世界へ。
楽しかった。ありがとうメルシー。
再会を約束し別れる。


+++


ここはセントラルだからがんばれば自力で帰れる、でもあればなあ、とメトロの駅へ、
そこには誰もいず、酔っ払いが一人で寝ている。
しかし音楽がかかっていて電車きそうな感じ。
参ったなあ、と思うと青年が階段下りてきたから声をかける。
「エクスキュゼモア?」といったら、
「あ、ごめん、俺フランス語駄目なんだ」って言われた。
いや、実は俺も駄目なんだ、で爆笑。
お互い終電探してて時刻表みたらどちらの方向も今終わったところ。
あはは、しょうがないね、どこから来たの?USAさ、俺日本。
グッドラックと握手を交わして反対方向に別れる。


最後の駅の放送をきくと、どうやら最終電車は出たから閉鎖する、駅から出て行け、
とのことらしい。急いで出て徒歩でサンジルへ向かう。
楽器背たろうてはちょっときついが今日の楽しみが背中を押してくれる。


途中でちょい空腹になり、揚げ芋でも食おうと思うとなかなか店がない。
みんなが「ここだけはやめておけ、めちゃくちゃ不味いから」という店があって、
どのくらい、どうまずいのか知っておくために買ってみる。
たかだか1,ちょっとユーロの小銭だ。 
こんな深夜までやってて女性店員の愛想もなかなかよい。
食ってみたら、ああ、なるほど、芋がやらかいそのぶん油が染みちゃってるんだ。
でも日本のマクドより全然うまいよ、コンビニの100倍うまいよ。安いし。
音楽も食い物も、若干レベルが違うんだよなあ。

ようようついてでもなんか元気で、無理やりがたっと寝る。


最後にそのjean-louis
http://www.myspace.com/tranchemusic
映像で見ると良さが分かりにくいけどこれも。