crappy miniband@Salle Jeanne in Deurne

朝ゆっくり起きていろいろ。
グレッグがシャワーを浴びているとお姉ちゃんのマドレーヌが叫びながら飛び込んできた、
どうやらシャワーの水が地下室に漏れているらしい。
というわけでこれから当分シャワーが使えない。トイレじゃなくて良かった。


シャワー借りにいきがてらジョヴァンニの家へ。まるで銭湯通い。
さっぱりするとジョヴァンニのホームセッションの準備をしている。
邪魔せぬように抜け出して家に戻りいろいろ。
今日は少し肌寒い一日。


7時にまたジョヴァンニたちと待ち合わせて向かうはアントワープ郊外。
"Salle Jeanne" in Deurne、こないだエリックdsとやったところだ。
方向音痴のパクヤンとはじめていくナビのジョヴァンニ。

車内の音楽、向かう道中で聴いたチャールスロイドとザキールフセインのトリオのCDが凄い。
最近のものと聞いて2度びっくり、これは買わなくてはいけない。
こっち来ると友人から教えてもらう音楽の豊かさ多さも財産。


ついたら中はどうもパーティーのようだった。
女主人ジャンと再会の挨拶、お互い2回すぐにあえることを知らなかった。
ステージにセッティングしているとなんか奥のこないだ僕が寝た巨大な部屋で
シークレットライブがあるとかで、音出さすそちらへ。
空腹だったためにビュッフェのご飯もいただく。
ラザニヤ、サラダ2種、チリコンカルネ、パン、大皿に大盛りで演奏会場へ。
クラリネット、チェロ、コントラバスアコーディオンの四人組、DAAUという人気バンドらしい。
サラダをかむ音が聞こえてしまいそうな静寂の中アコースティックライブ。

シンプルで美しいアンサンブル、即興と楽曲の聞き分けがつきにくい。ここら辺非常に好み。
うーん、これとうまい飯山盛りとベルギービール・ウェストマール、贅沢最高。
ひとりだけディナーショーの気分を味わった。


終わったらさらに少し準備。時機を見てスタート。
なんかアンプ系の音がやたらにでかい、ラウドな感じだがそのまま通す。
パーティーの客だとみんなが知り合いでとにかく会話に熱中しがちだから
耳目を引くようなことも結構たくさんやる。
音量はまあまデカイ、会話のために避難する客もちらほら。
「デカイ?」と聞くと「デカイわ!」という人と「もっと!」という人がいるので
でかくする。あほやなあ。

休憩中にエリックティールマンスがやってきた、多忙お疲れの中にありがとう。

ごった返す店内の騒然さが増す中、さらに2部。
daysuke先導インプロやってくれっていうから「変態と綺麗なの、どっち?」ときいたら
「変態の」って言われて物凄い変なことする。
人の目なんか気にしてられるかっての。いろいろやってどかんと終了。
ブリュッセルメインのこのバンドとしては初めての客ばかりでアウェイだけど楽しんでくれた客も多い。
なにせこの場所はとってもいい感じでやっていて楽しい。


ライブの後はitunesDJの音量が上がり自然とダンスナイト。
ここは楽しそうな迫力のある女性たちが多い。オランダ系で背も高い。
誰かに合わせて、ではなくてもう踊りたくて、という感じで、あちこちで
ガンガン踊りが始まる。
踊りたくなったからカフェで思いっきり踊る、こんなのが凄くいい。
連日の録音仕事で倒れるように疲れている、といっていたエリックdsは
そんなこと忘れたかのように爆笑しながら踊っていた。





未亡人ジャンの大きな家具屋と劇場付自宅。裏庭にはキャラバンカー、テラス、
僕ら以外に地元で人気の美しい音楽を奏でる鋭い室内楽バンドも呼んで
人たちは終わることないのかってくらい楽しみ続ける。
ここはアンダーグラウンドな場所、といってたなあ。
日本とは印象が違う。自分の持っている場所や物を開放してみんなで楽しみまくる。
かたちなんてない。

こちらでアングラ、といわれている場所や人にはこういうのが多い。
きっと、楽しんで楽しんで楽しみまくるのが、くそったれな物事に対する
一番の反抗でもあるのだと思う。


++++


今回の滞在中を経て昨日あたりのこと。


自分がやりたい音楽のイメージの中にやっと初めて
自分のtubaの音が入ってきた。
内側で奏ではじめる音の重なりの中のひとつに
自分のtubaの音が聞こえる。
いまだ耳では聞いたことのない新しい響きの中に
自分がいる。
これから、それを音にしていけばいい。


これだけでも遠い空を経てここにきて、良かったと思う。


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昨日はありとあらゆるイメージに洪水の中だったのだが
もうひとつ、強いイメージがひとつ。


我、終生の友を得たり


彼は来年あたり日本に来ようか、といっている。
大尊敬している彼のこと、僕はもちろん大歓迎だ。
彼はただ旅をしたい、といっているのではない。


旅は日本を含めて3ヶ月はベルギーを離れるだろう、
そのために今住んでいる家は手放す。
必要な荷物だけを持って、新しい世界を見に行く。
僕から見ると地位も名誉も仕事も何もかもある彼は
一度そういうものをリセットしたいという。


キヨシローの、旅の荷物はそんなにない、本当に必要なものだけが、荷物だ、
という言葉を思い出す。


7年前に一度そうやって新しい自分を生み出したのだそうだ。
それから7年間、ここベルギーで昼夜もなく働き動き続けた。
新しい未知の自分と出会うことを、心のそこから楽しみにしている、
それが必要なんだ、と彼はにこやかにいった。


年も環境もまったく違い離れている男。
初対面のとき、僕の話を少し聞き演奏を聴いて
「お前はそうやって生き延びてきたのか」と一言いった。


あほなこというクラブオーナーの話を聞き捨てて
「あーこんなとこでやった俺が悪うございましたよ、
 くそったれ、何のために音楽やってると思ってんだ、自由になるためだろうが!」といった。


高潔にして人間臭さすぎる
この男eric thielmans


誰に嘘をついていてもいい
僕に言うことが嘘でもかまわない
自分に嘘をつかず、恐れず、おごらず、そのままに生きる。
僕はそういう人が好きだ。


この人と過ごす時間の貴重さは音を共に出す時間と同じく大事だ。


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今も心に響く美しいあの言葉


くそったれ、なんのために音楽やってると思ってんだ


ふと、まったく違うのに
大好きな師 やまとあつしさんを思い出す。

ああ、やっぱりきて、良かったよ。


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踊りまくっていた人々も残り少なくなり、我らも片付け。
明日病院にいくパクヤンは実家に戻り、ニコの車に残り4人乗って退散。
道中車内は有名英語曲のありったけ知っているものを全員で生カラオケ。
1時間以上馬鹿みたいなでかい声でみんなで歌い続ける。
さっきまでライブして呑みまくり踊り続け最後は歌い続け。
いったいどこまで続く遊ぶ体力。
ニコにまわってもらってようようグレッグんちへ。
寝たらやっぱり4時前。