クリストフ訪問マチューと夕食、ジャズマラソンが始まる

グレッグの動きで目が覚めて起床。
今朝は約束があるので身支度して出かける。
極近所に住んでいるトロンボーン吹きのクリストフの家へ。
(ちなみにこちらは名前が共通して過ぎてごっちゃになる、現在身の回りだけでクリストフ4人マニュ3人だ)


今回の訪問は楽器拝見。
界隈でも有名な楽器コレクターである彼。
部屋に入れてもらうと、ありゃあ。



ここベルギーはアドルフサックスという人がいたおかげで管楽器発祥の地。
この人はサックスで有名だがこの人が体系だてて作ったサクソルン属という金管楽器の一族に
僕の使用楽器tubaも入っている。
大きな発展はイギリスとドイツ、フランスで遂げたが本場はここベルギー(のはず)。


壁にかかっているサクソルン属勢ぞろい。
ユーフォニウムのようだが「まったく違う」というバリトン類のひとつは彼のお父さんが吹いていたもので
世界初のコンペセイティングシステムの楽器だそうだ。
そのほかにも古楽器であるサックバット(トロンボーンの先祖)tubaとバリトンサックスが融合したような
オフィクレイド、スーザホンの元祖のヘリコンバス(無茶苦茶大きい)、部屋にある以外では裏手に
ケースに入ったtubaやスーザホン、その他いろいろ多数。
博物館クラスのコレクション(1700年代からある)だが本人は演奏するために全部購入したという。
一つ一つ音を出してもらって、いくつかは吹かせてもらう。
プラスチック製だが一番古いtubaの先祖の復刻であるセルパンはマウスピースを木の特注のものにした、
吹き味がものすごく良い。
うーん、これはさすがにここでしか手に触れれない、というものがたくさん。
博物館は触れないしね。
クリストフの家族はみんなファンファーレ、こちらのブラスバンドで何らかの楽器をやっているらしい。
お父さんも兄弟も姉妹も奥さんも娘さんも、とにかくみんな。
マチュアでもファンファーレの需要があるこの国ならでは、聞くとフランス北部には
各会社や村ごとにファンファーレがあったとのこと。


僕は楽器マニアではない、ほとんど楽器の細部やメーカーにはこだわらないが
さすがに発祥の地に来るとある程度興味は沸く。
僕が惹かれるのは中古品ばかりだ。
たっぷり1時間半ほど遊ばせてもらって退出。


家に戻る途中にスーパーによって買い物。今回は結構スーパーを使っている。
道端にちょうどよいカゴかばんが落ちていたので拝借して直行。
道に不用品を置いておく習慣はこういうときに助かる。
いつもより多めに食料品の買出し。
久々の米、セロリトマトベーコン玉ねぎなど炒め煮して醤油で味付けてご飯にかける、うまい。


夕方からジョヴァンニと地下室リハ。明日はドラムとデュオで気合もはいる。
怒涛にやって汗かいてビールのみに行こうぜ、とパクヤンと三人で広場へ。
夜の7時くらいだったがお日様はかんかんでり、肌がひりひり痛いくらい。
先に評判のBIOアイスクリーム、ピスタチオが最高においしい。
ヒューガルデンレモン入りを飲んで日に当たり談笑。
パクヤンがアイスを地面に落っことしたら通りすがりの犬が全部綺麗に舐めていった。
日は照りっぱなしだが約束があるので8時に移動。
中心街にいるマチューの元へ。
初めて訪れる家でちょっと迷う、電話するとすぐ迎えに来てくれた。
家に入ると彼の息子のアンジェルがお出迎え。彼とは友達だ。
はじめてみる猫もいる、チチ。面白い顔をしている。

マチューといろいろ世間話をして、足りないものをお使いに出かける。
ビールと塩。
かえったら夕食会だ。
アンジェルはオーディオに爆音でボリショイズをかけてくれる。
これはいつ聴いて自分でも良いアルバムだと思う。
アンジェルは彼用のメニュー、僕らはマチュー特製のローストチキン。
チキンは丸ごとでとてもおいしい。たくさん食べる。
しかしアンジェルの中身入りパスタだけってかわいそうでないかい?
マチューといろいろとゆっくり話し、明るい話より大変な苦労話のほうが多い。
まあそれだけ胸をあけてはなせるのだが。


pcで映画を見ているアンジェルにバイバイ。マチューにもサンキューを。
アンジェルの母親ルラには今夜は会えなかったがまたの機会に。


この後更に約束、イタリア人ナイスガイサックス吹きダニエレが購入した新居拝見。
このあたりかと見当を付けていたら彼の友人が通りかかって連れて行ってくれた。
かなり中心街に近い便利な場所。ただしエレベータなしの5階。
天井が高いので日本の7階かそれ以上あると思う。
まだ家具も何も入っていないが最上階で屋根裏部屋付、ものすごく広い。
彼の友人(多くはイタリア人)たちが集まってシャンパンで乾杯。
家の床にもたらすのがこちららしい感じ。
窓の外を見ながらみんなで立ち話。ほんとみんな良く話す。
どんどん人が増えてきて盛り上がる。
主な言語はイタリア語と英語。英語があると少し楽だ。

酒が切れたところで買出しに出かけようか、という話になるが、いや今日からジャズマラソン
少し町に繰り出そう、ってな話。
この三日間ブリュッセルはジャズマラソンという耐久的ジャズイベントで
朝から朝まで三日間町中でジャズジャズジャズ。
チャージはオールフリー、市やスポンサーがミュージシャンにギャラ払う。
見やすくするために市内のバスは夜8時から朝3時まで全部タダ。
こんなことできるかっつうの。


セントラルにたどり着くと何が起こっているのかというとんでもない人ごみ。


野外フェスか、と思ったらそうじゃなくてこれに乗じてたくさんの人たちが飲み歩いている。
もうすでに時間は1時過ぎているが無茶苦茶だ。
人の話す声が重なってものすごい騒音になっている、みんな手に酒もって別に音楽聴いているわけじゃない。
バーというバーは全部馬鹿みたいに混雑していてそこかしこで音がする。
ちょっと独りになってそこら辺を散歩して探索。
たしかにこのジャズマラソンは有名なイベントだが僕の周辺のミュージシャンたちは結構敬遠している。
コマーシャル過ぎる、とみんながいう。
しかしそれにしてもこのパワーは凄いと思う。
日本で地域を元気に、とかなんとかいってるのはお題目だけでしゃらくさい。
本気で遊びたい奴の桁が違うのだろう。
とにかく町中が暑苦しく盛り上がりまくっている。
みんなのもと、前に演奏したゼブラバーへ戻りちょっと演奏を聴く。
ギタートリオ、まあまあ、ギターはなかなかいい感じ。

とかいってるけど日本だとかなり個性的ってことになるんだろうなあ、ジャズの世界では。
なんか日本で音楽するの馬鹿馬鹿しくなるよなこういうの見ると。
こちらだとジャズバンドでもみんなどこか本来の意味で即興性が高い、
日本だとジャズを自認する人たちが「ジャズ」と「フリージャズ」に線引きしているようんば腐った世界。
ほんとに馬鹿馬鹿しい話。


さりとて比較の問題でよい悪いといえるかどうか、それは知らない。
ただ僕には「ノーマル」な演奏だったのでさっと見て、人あたり疲れ酒酔いもあり
もうすぐ3時ということもあって一足先に徒歩で帰る。
まあまあ疲れているので足取りは重い。
途中でパクヤンたちの家によって荷物を拾うとチャリで帰ってきていた彼らはすでについていた。
グレッグ邸に戻り軽く腹に入れて(トマトおじや作って)寝たら4時くらい。