レコーディングへ

起きるとやはり馬鹿でかい部屋に驚く。

ヒラリーもおきてきて中庭で朝食。
ここの女主人(確かジャン)とその子供たち、そして更に女たち。
ここにはなぜかたくさん女の人がいる。家具屋の従業員だろうか。
明るい裏庭でパンハムチーズ、血のように赤いハムが肉臭くてナイス。

ほどなくしたら今日の録音の主人公である歌手のkaatが僕とヒラリーをピックアップ。
録音スタジオはアントワープとゲントの真ん中らしくて高速道路移動。結構飛ばす。
典型的田舎の住宅地の中にレンガ造りの小さなスタジオ。庭が広い。

エリックdsとアレクサンダー(通称ナダ)それにエンジニアも登場して準備。
今日はどうやら一曲のみ、それも音を出すのはヒラリーと僕だけ。
エリックはプロデューサーでナダはコ・プロ。
譜面があるのだが見ると目が点。
どうもMIDI搭載の例のおもちゃエレキサックスで出力したものをソフトでそのまま
楽譜にしたものみたいで、これがものすごい。

学理の試験だったら一発落第という楽譜。
もしくは難解にわざと作られた現代音楽か。
10数年前にpcもソフトもまだ未熟なときにこんなのもらったなあ。
見ただけでは到底演奏できないので困惑。
どうやら全体的にリズムはなくてのびのび吹けばよいらしい。
が、ヒラリーのtbと同時だと難しい。
意外に思われるが人とあわすのも楽譜もまあまあ得意なのだがこれは・・・。

まあなんとか読み取ってナダのわらかすくらい妙な指揮でついていく。
その後にドローンの録音。
ヒラリーと僕で何度も何度も循環呼吸で5分くらいか吹き続ける。
そしてまたフレーズ。デュオで、そしてひとりずつも。
最後にはさらにカートの歌と一緒に。

終わったときにはまあまあくたくたになった。
エリックは良いものが取れたと上機嫌だ。
このあとどうなるか楽しみ。またベルギーに足跡が残せた。
この後ライブがあるヒラリーと打ち合わせがあるエリックは戻り、
僕とナダはカートの車でアントワープ方面へ。
エリックとはまた日曜に共演する。
アントワープの駅で降ろしてもらい礼を告げる。

ここで思うと僕は初めてある程度の距離を独りで電車に乗るんだった。
適当にカウンターにならんでチケットかって、ブリュッセル行きはたくさんあって楽だ。
すぐ発車するものに飛び乗りがらがらの車内で落ち着く。
車窓の風景はそれほど変化に富んでいるわけではない。
途中で下着姿の若い女性が見えて、おお、と思うとその辺一帯にそういう人がやたらにいた。
大きな窓の前で並んでいる、ああこれがブリュッセルの飾り窓か。
北駅のすぐ近く、凄い風景だ。


ほどなく南駅に到着し近道であっさり帰宅。
二人にライブや録音の報告をして一休み。
夜になったら近所で友人たちがライブをしているのでパクヤンと見に行く。
ジョヴァンニは入れ替わりでアントワープでライブだ。
ピアノファブリックという大きな文化施設
ちなみにピアノ工場、という名前なのにここにはピアノがない・・・。
今晩はニコとヤニックとエリックとアニャという歌手のバンド。
予定の時間にはなかなか始まらない、さすがブリュッセル

地下のいい感じの広い会場でライブ始まる。
アニャはギターボーカルで、英語やフラミッシュを混ぜて歌う。
まあ普通に音楽ってかんじ。
ちょっと形が崩れたところはおっと思う。

2部の最中に楽器を取りに戻る、このあとジャムセッションがあって誘われたからだ。
ついでに空腹を収めるために軽くサラダを作って食べて戻る。
最後のパートを見届けて、また歓談。

なかなかセッションは始まらない。
ちらほらと楽器持参の人も多い。
ここらへんではライブの後にジャムセッション、といのはよくある。
ただ、ぐだぐだになったり、見せびらかしに来る人もいていつもそれほど期待は出来ない。
ほどなくベース弾きと友人のマルタンがドラムでなんか始まるがグダグダ。
このベース弾きは「プロのジャムセッション参加者」といわれるだけあってどこのジャムにも
顔を出すみたい。
アメリカのフュージョンみたいなアプローチでベースなので支配力があってちょっとたまらない。
ニコやエリックたちも参加するが音はルーティンな感じのままだ。
ニコがいろいろと崩そうとしているが崩れない。
途中でやってきたサックスのトワンも参加。
前に感じた印象よりジャズっぽくない感じが多く彼はいい感じだ。

しかし
僕は昨日と今日と素晴らしい音楽の時間を過ごしていたので演奏することに飢えはない。
おいしいものをたくさん吸収した後で、ファストフードはいらない。
パクヤンと話して途中で帰る。


帰りにフリッツを買って持ち帰りキッチンで軽い夕食と晩酌。
パクヤンと二人でディープに話し。
奥のほうのところで二人ともアジア人である共感。
パクヤンが先に寝て遅くに帰ってきたジョヴァンニとまた晩酌。
彼のDJでオーネットをたくさん聞いてご機嫌。
毎日かなり早くから遅くまで起きているのに何か元気だ。
音楽の滋養のおかげである。