KURUWASAN@JAZZ SUR L’HERBE!/ERIC’S SESSION@ANTWERP

朝自動的に目が覚めた7時半。
昨夜は早寝したから非常にすっきりだ。
余裕で朝飯、生マッシュルーム、チコリ、ドライトマトのサラダ、
田舎風フランスパンにチーズと生ベーコン。
準備も万端、グレッグは白シャツで決めてやってきた。


パクヤンと三人で車でゲントへ。
今日は昼から公園が会場の一種のジャズフェスで演奏。
主催はライブで何度もお世話になっているネゴシートというカフェ。
バンドはクルワサン(こちらではgeisha house mountainってかいてた)、
パクヤン、グレッグと僕にジョアオのトラでエリックティールマンスが参加。
昨年知り合った凄く尊敬しているミュージシャン。
気骨正しく意思強い野生動物のような人。
再会を喜ぶ。

こちらの公園に良くある天蓋付舞台みたいなのがあってそこが場所だ。
こちらではキオスク、というらしい。
売店でやるのかと思った。
舞台が円形なので方向を決めてセッティング、パクヤンとエリックが向かい合わせで
グレッグと僕が挟まれる感じ。
グレッグは昨日MARK?のテナーサックスものすごい良品を買ってホクホクだ。


ほどなくしたら開始。
とても天気が良い、今日は国民の休日らしくて昼間散歩休みに来た人が観衆。
野外で即興演奏はなかなかいろいろと難しい。
が、なにせエリックと演奏できるのでものすごくうれしく周りのことが余り気にならない。
パクヤンの音が最初は聞こえにくかったが徐々に上がってきた。
エリックはたんたんとしながらも音世界にずっぽり入っていくという彼独特のライブスタイル。
思わず見入ってしまう。




2部の最初は「公園に向かって演奏しよう」という彼の提案でめいめいいろいろやってる。
僕はtuba笛で、公園にものすごい気持ちよく響いていく。
エリックはうろうろ歩きながらさまざまな小物を取り出して小さなノイズを引っ張り出す。
プラコップを潰しながらヴァイオリンの弓で弾いている音が面白い。
1部よりずっとアブストラクトな演奏だった。


終わったらやっとビール、そして昼飯。
チケットが渡されているのでその中から工面して。
僕はサラダプレートとなにやら肉のパイ包みオーブン焼きのようなものを。
サラダにはワカモレとチーズ各種多数で大満足。パイはなぜか少し甘い不思議な味。
トリプル・カルメリットもどんと美味い。
陽の照る中の公園ランチは気持ちが良い。

ほどなくしてパクヤンとグレッグはブリュッセルに戻り僕はエリックに連れられてアントワープへ。
彼に誘われて今日は夜もライブがあるのだ。
道中彼と音楽の話。この人は本当に芯が強くぶれがない。
アントワープ市外の彼の家へよる、ここでアメリカから来ているエリックの友人でサックス奏者の
アレクサンダーと初対面。
みんな朝から忙しかったり時差ぼけだったりでとりあえず昼寝をする。
とてつもないでっかい大太鼓の横で気持ちよく寝る。

いい時間になったら車に乗り込んで市内を移動。
着いたカフェはとてもいい感じ、女主人に挨拶。
ちゃんとステージがあって程よく古くていい感じだ。
隣には大きな家具屋が併設されていてオクの中庭にはキャラバンカーもある。
ここでもう独りの共演者ヒラリー(男)と初対面。
イギリス出身で今はアムステルダムに住んでいて話すとtbのsantiこと松本和志さんとも友人だという


準備より先にみんなで晩御飯を中庭でいただく。
キッシュのようなピザのようなもの2種とオリーブ入りマリネサラダ、さらに野菜とトーフのオーブン
焼き。
赤ワインと楽しい歓談と。


エリックがセッティングしている間、管楽器三人は横の家具屋でウォームアップ。
アレクサンダー、通称ナダはカーヴドソプラノだ。
このひと、練習中もライブみたいに演奏する。
ヒラリーは久しぶりに共演する金管奏者だ。
エリックのセットはドラムではなく、スネアと三連ロートタムに小物多数、
中には自転車の車輪もある、それにミキサーと各種マイク類とエフェクター
僕ら三人は並んでいてそこにも一本マイクが立っていてエリックが操作する。


どうやらちゃんとしたライブではないようでお客さんもちらほらだ。
しかしこちらはやる気まんまん。
めいめいがかなり好き勝手にやっているのだが、強引に持っていったりしないので
いろいろな可能性が浮かんでは消えていくような不思議な演奏。
ナダはカシオのおもちゃのような電子サックスも吹いている。
これがつまらないかといえばそうでもなく、いわばカシオトーンの吹く版のような使い方。
彼は普段はおどろおどろしいマスクをかぶって「ビースト」というプロジェクトもやっているらしい。
ヒラリーは正統派トロンボーン吹きかと思えば僕と共通する特殊奏法も次々と駆使。
横においていた人形を演奏に使ったりして真剣にあほなこともやっている。
エリックは僕らの演奏をサンプリングしたりそれこそやりたい放題。


おもしろいのはみんなかなりユーモラスで、ちょっとアホっぽいこともどんどんやること。
でもなんかおちゃらけにならないのは人柄か歴史か。
1部ぶっ続け60分の最後はナダが僕のtubaのベルにその変な人形を突っ込んできて
僕はうまいこと声を使った奏法がはまってものすごい変なエンディングで〆。
お客さんも楽しんでいた様子だ。



終わったら乾杯を。
ナダはほとんど飲まない人みたい、見かけはいかつかいけどタバコも苦手っぽい。
ヒラリーと楽しく杯を重ねる、話も弾む。
そこかしこにいる人たちと楽しい時間。
勿論呑み放題でシュフやウェストマールなどベルジャンビアで楽しく過ごす。
ここの女主人もご機嫌さんだ。
どうもこの季節のベルギーは日が沈むのが遅いので時間の経つのを忘れる。
朝7時半おきだったけど2時半くらいまで起きていた。
そろそろ寝時、というところで女主人に連れて行ってもらうと僕の寝床は
ものすごい広い劇場のような一室で、そこにぽつんとマットレスがおいてある。

50人は寝れるぞここは。
こうやって知らない人たちばかりのところで幸せな気分になるとなんだかなきたくなるような不思議な
気分。
凄い贅沢を感じて独りでぐっすり就寝。