月曜のオフ・ガトーショコラ

気持ちのよい晴天。

朝ごはんは教会の前の通りにある軽食屋で。
ここのモロッコ料理はなかなかいけるらしい。
ミートパイとカフェオレをもらう。
天気は良いが凄い風だ。


この後ジョヴァンニと僕は中心街に出かけて楽器屋に機材をチェックしたり
レコード屋をめぐる。
こっちはやはりまだまだヴァイナル愛好家が普通にいるのだなあ。


車の車検に向かう彼と別れて独りでその辺を散歩。
今回は特に物欲もなく足りないものもない。
何を買うでもなくふらふらと。
数駅歩き坂も多いこの町だとちょっとした運動になってよい。


帰ってきた彼らと軽くサラダランチをして僕はまたでかける。
夜はまだ肌寒くて上着を持っていないので馴染みの古着屋を巡る。
ちょっとシーズンが外れていて秋冬物は少ない。
それにしてもいつ来ても安い。
特に革ジャンがいい。日本では絶対買えない値段で手に入る。
しかも僕のサイズが一番多いんだから最高だ。
しかし特に気に入ったものもないのであきらめて外へ。


僕はブリュッセルにいるといつもサンジルという街に滞在している。
中心街からはトラムで10分過ぎくらいだけど、ここはとてもいい。
ずっと落ちついているし、市場はいくつもあるし、アラブ人たくさん住んでて
スナック(ケバブとかそんなかんじの屋さん)も多いし、いいカフェもバーもあるし
とにかく暮らしヤスい。
そのためかミュージシャンがたくさん住んでいる。友人だらけだ。
散歩していて友人知人に会わないことはない。


月曜日は市役所の前の駐車場でやってる市場へ行く。
お目当ては毎回、ガトーショコラ。
小さな屋台で毎週やってくるおばあちゃんの手作りのお菓子。
僕が食べたどの洋菓子よりも、すべてがうまい。
ここのガトーショコラは世界一うまい。


あんまりに通うから久々なのに覚えてくれていた。
おばあちゃんはフランス語しか話せない、僕は言葉は全然駄目だ。
しかし共通の友人であるグレッグのことや、いつここにきたかなど意思は疎通する。


居候先のお土産にホールで買う。1つ9ユーロ。
ベルギーチョコがこれでもか、というほど詰まっている。
菓子作りをする人たちも、いったいどうやったらこんなにうまくたくさんの
チョコが染み渡っていくのか、謎だという。


これを一緒に食べた日本人たちの反応はすごい。


ワタンベ:洗濯に行く途中に歩き食べ、一口ごとに放心状態になり
「なんやこれ?なんやこれ?」とえんえん繰り返して痴呆になる。
カメ&アキコ:大笑顔とともにマジで地面に崩れ落ちる。


包みを持って歩くだけで笑いが止まらない。
食べれる魔法、幸せのかたまり。
道を歩いていると、世界が僕に笑いかけてくれているような気分になる。


夜は9時過ぎになってやっと日が沈み始めて10時ころに暗くなる。
向かいの天井に当たる日が美しい。

昨日のディナーはローマ人ジョヴァンニの渾身のリゾット。
西洋アザミ、アーティーショーとチーズのリゾット。
ひゃああ、うまい。
子供の頃から大好物のア−ティーショーは日本では高くてまっずいので食べない。
この独特の香り。
こっちではどこでも手に入るもんなあ。


プリモドルチェはイチゴのレモン和え。
酸味が強くて誠においしい。
セコンドはもちろんガトーショコラ。


ああ、至福。
口の中で、重いレンガのようなチョコレートの塊が
滑らかに解けていく。


重くて口の中は一瞬どろりとなるのに、後を引ききったあとに消えていく。
すぐ次が食べたくなる。
恐ろしいチョコレートケーキ。


こればかりはお土産に出来ないので勘弁。
ここにきたときだけの非常な楽しみ。
まだ冷蔵庫にある、うヒヒ。


満腹でひっくり返りそうになっているとニコから電話。
フレジェイに歩いていってカフェでビール。
ノロやヤニックにも会える、ほんと偶然は素敵だ。
気がつけば夜中まで。
帰りはニコに送ってもらって帰宅。


ジョヴァンニがターンテーブルにおいたのはarve henriksenというトランペッターのCD。
http://www.myspace.com/arvehenriksen
スーパーサイレントは持ってるけどソロは初めて。
うわ、なんだこれは、すごい。
あちこちで言われているけどほんとに尺八みたいな音をした不思議な音色。
エリックシールマンスにも通じる音の美学。
最後まで一気に聴いてしまった。じんじんする。
僕は音楽情報に非常に疎いので遅れているのでおせえよとか言われるだろうが
同じ金管奏者としてうれしい驚きと発見と、いくつか以前からやっていた同じアイデアが感じられた。
非常に気持ちよくこのまま寝床へダイブ。