初ライブ、UKIYO

子供たちの声で目が覚める、楓とアントワーヌは元気だ。
こちらも負けずに元気におきて7時半。
少しメールチェックしたら外出、マーケットをチラ見してスーパーへ。
馴染みのDELHAIZ大型店。
今日の昼ごはんは公園で、と決めていたので即席サンドイッチが出来るチョイスを。
しかしこちらに来ると買わないものも含めて食料品棚の興味深いことよ。
穀物入りのでかいパンは機械に切ってもらって、マスタードシード付ハムとベーコン(勿論生食OK)、
チーズはミモレットとゴーダ、サンドライドトマトの瓶詰め、レモン味のマヨネーズ、ミックスジュー
ス。
へたすりゃ何日も持つだけかって15ユーロ、嬉しい。
手元に食料品があると幸せだ。


天気はあまりよくないが坂を登った森の公園へ。
平日昼間なので勿論人はあんまりいない。
少し奥に入って大きな木からたくさんの花が落ちている場所でブランチ。
久々の生ベーコン、チーズも思い切って使える。
サンドライドトマトは驚くほど甘い、ケチャップ?とういくらい。
ハーブとオリーブオイルに漬かっていておいしい。


食べ終わってからもゆったり森を見る。
ここらは犬の散歩コースで首縄を解かれた犬たちが全力で遊んでいる。
中型の狩猟犬が思いっきり走っている姿は美しくて見飽きない。
狩しか出来ない、というような姿をした細い犬がどの犬に追われてもぶっちぎっている姿は
まるで地上を疾走する矢のようだ。
動物の動きは、見ていて飽きないしものすごく勉強になる。
彼らの普通の足の運びくらいに、美しく無駄のない演奏が出来たら、と思う。


十分休んで街に下りる。
今回の旅で売り物にするCDのパッケージ作成。
ケースなどは現地調達。
皮の余り布に宣伝文句。

みんな漢字好きだからね、暴利所為頭(ボリショイズ)。
暴利を貪る頭、素晴らしい。
作業中にグレッグからもらったCDを聴く。
昨年滞在中にレコーディングに参加したファンファーレ・ドゥ・ベルギスタンの新作。
表紙は巨乳の女性の大笑い写真。
ファンファーレはこちらでいうブラスバンドだが、ベルジャンらしくいろいろな要素が
入り混じっていて非常に面白い。
ロッコ・ジプシー・サイケデリック・トランス、いろいろな色が見える。
ただのパーティ-バンドだよ、といつも言われるが信じられない。
日本だったら、お芸術だよ。
これを聴くたびに日本の下手糞なくせに威張っているバンドを根絶したくなる。
自分のソロが入っている曲はラストになってた。
川に浮かぶ大きな船の中のスタジオで取ったっけ。
うわ、あほなソロださすが。
帰ったらいろいろな場所でかけてみよう、楽しみだ。


昼ごろに突然誘われていた明日のリハがこれまた急にキャンセルされて
その時間にグレッグのうちでタジンランチに誘われたのでそこへ行く。
グレッグの友人もいて、三人でおっきなタジンを囲む。

アラブパンと手だけで取り皿もなしに食べるのが好きだ。
彼らがフランス語話し合っているので僕は味に集中。
スパイスが少なくてごめん、とかいわれたが野菜の味がたくさんしておいしい。
下のほうからご褒美のようにブフ(牛肉)が出てくる。


満足してご馳走様。
僕は楽器の準備をしてジョヴァンニ・パクヤンのうちへ。これも歩いてすぐ。
1ヶ月ぶりの再会のジョヴァンニと久々のパクヤン。
再会を大いに喜ぶ。早口で近況報告。
ローマ人の彼と中国系ベルジャンの彼女の会話は英語、彼らのコミュニティには入りやすい。
パクヤンは今晩マチューと初ライブ、ということだが迎えは1時間以上遅れているし連絡はない、で
かなり気にもんでいる。
ジョヴァンニと僕はのんびり支度。
かなり遅れてマチューたちがやってきたようでパクヤンは出発。
程なく僕らも荷物をまとめて出発。
久しぶりに運ぶフェンダーローズ、相変わらずクソ重いわ。

少し渋滞するリングを抜けて会場のos a molleへ。
ここは初めてこの町に来たときも演奏した。
老舗のジャズクラブでチャーリーパーカーやウェスモンゴメリーも演奏した場所。
ここで何をするかというとジョヴァンニと僕とポルトガル人ドラマー・ジョアオの
エレクトリックアコースティック即興トリオUKIYOだ。
ジョヴァンニは忘れ物をして家に戻りその間にジョアオと再会。
なんかあまりの多忙で倒れそうになってた、ときくが元気そうだ。
愛すべきやせっぽちの、音に入り込む素晴らしいドラマーだ。

僕は持ち込みのミキサーがうまく動作せず持ち込みマイクを直接送る。
エフェクターたくさんのローズとシンプルなドラムセット。
ジョヴァンニが四天王寺の朝市で見つけたという小さな鉦の音が素晴らしく良い。
帰ったら買わねば。


準備中にベルギービア、久しぶりのオルヴァル

やっぱその土地で専用グラスで飲むと本当にうまいよ。
このライブは4箇所連動で行われているシリーズで、ここのオーナーは
エスニックなものをやりたかったらしく、「ナニ日本人がいるのか?それは決まりだ!」
といったらしい。アジアのtuba、きかせたろやないけ。


このあたりは繁華街からも遠くて客足はちょびちょび。
こちらでは客集めるのは場所の仕事だもんね、問題なし。
久々のUKIYOスタート。
三人がばらばらに別の言語で語っているような電子音と生音の入り混じる(あるいは混じらない)。
エネルギーのダイナミズム変化。

休憩の間に店からの賄いで出前のピザが届く。
ジョアオといえばピザだ。
みんなで頬張りまたビール。
客席にはみんなの友人たちが集っている。
日本大好きのダニエレといろいろアジア話。


2部は僕のソロから。
読経tubaと勝手に名前付けた奏法、ちょっと変な声明みたいな音がする。
生音の金属音が四方から、それにあわせてtuba笛奏法も。
気がつけば音量はどんどん上がっていき、1部よりも高いエナジーの持続と疾走。
ああ、こうだ、別々に歌えばいいんだ、という解放感。
途切れ途切れがスリリングにつながりジエンド。
拍手。


ジョヴァンニの紹介とともにCDあるよ、といったらそれだけでいきなり2枚売れた。
ありがたいことです。
終わったらまた友人たちと歓談。
〆のビールは大好物のトラピストビールの至宝ロシュフォールで。

サンジルに戻ったらジョヴァンニがアレをしよう、日本語でなんていうんだっけ、
あ、それは「打ち上げ」だ、ということで人気カフェでトリオ打ち上げ。
もうかなり遅い時間で鍵がかけられていたが何とか入れてもらい乾杯。
ここでは馴染みのウェストマール。重い呑み口のトラピストビールだ。
今日のライブのことや日本でのことなど、今来ているポールブレイのこと、
彼をポルトガルに呼ぶのはジョアオのお父さんらしいこと。
もうさまざまなこと。


パクヤンが帰ってくるのにあわせて彼らの家に場所を移し更に乾杯。
こkにきたらレコードしかない、ってんで、ジョヴァンニ愛聴の富樫雅彦やプーさん、
パクヤンがブラジルから持ち帰ったエルメートやたくさんの楽しい音楽。
そう、彼らといるとずっと音楽といれるのだ。
僕よりみんな若いけど知らないことをたくさん教えてくれるしリアル。
ふらふらで帰ってきたパクヤンも交えて盛り上がる。
ここで飲んでいたのはレフ・ブロンド、普通にすきなのだ。
そうだこれがミュージシャンの夜の過ごし方、ってんで、気がつけば朝の4時越えた。
まだ盛り上がる感じだがさすがに7時半おきだったんで眠くなってきた。
パクヤンらとは明日会える、ジョアオはポルトガルに戻るので再会は来月。
お休みの挨拶をして立ち去る。

空腹を収めるに軽くパンをかじり5時前には就寝。