パクヤンとデュオ@アトリエモメン

この数日の中では一番のんびりしたほうの日。
朝飯昼飯はグレッグ邸で一人で取る、彼はレコーディングに朝早くからでかけた。
パクヤンのお母さんの店で買ってきた干しシイタケと昆布を戻しておく。
味噌汁とご飯で十分腹いっぱい。



夕方にパクヤンと待ちあわせて車で出発。
彼女はイマイチ方向音痴で2年以上住んでいるこの町の道と場所が覚えられない。
たまに僕がナビをする。
今日も早く出すぎだよ、と言うが不安なようで早く出た、ものすごいわかりやすい場所であっという間についてしまった。
アトリエモメン、去年ここでやったソロは格別の思い出だ。
ただここは古く大きな建物の4階で、機材を持ち上げるのがものすごいしんどいのも格別だ。
僕はともかくパクヤンのキーボードのセット、アンプでぜーぜー。
最上階のドアの前に着くと開いていないなあ、と待っていたら中で音楽かけてて気がつかないだけだった。
フレッド・シャママ、ここの主人で僕の大ファン。
今回の滞在で初めて会えた、でっかい笑顔、再会を喜ぶ。
今日は彼がオーガナイズで僕らは詳細をよく知らされていない。
セッティングしながらおいおい話を聞いて準備。
どうも事情があるらしく、こないだブラックライトオーケストラとマチューのバンドの合同ライブをやったときに
ものすごいたくさんお客が来て中はぎゅうぎゅうでさすがに近隣から苦情もきて、その事態の再現を恐れて
今回はあまり告知をしていないということ。
ここはアトリエであり彼の家だ。
ということでいろいろなミュージシャンにもあまり声をかけず、セッションライブというのはどうなるかわからなくなってきた。



まあのんびりいこう、はこちらの流儀でフレッドは何かと気を配って世話してくれる。
うまそうな飯は後で食うことにしてビール、ここで教わったタラスブラヴァブリュッセル地元ビールでうまい。
時間が過ぎてもトンとミュージシャンの姿は見えず楽器なしでふらりと現れたマルタンだけ。
彼は飲み専門だ。
どうやら二人でやることになりそうだ。
お客の数もさすがに告知していないということで多くない。
ほぼはじめてのデュオライブの始まり。
パクヤンはフローするアプローチが多くて結構上ものだ。
逆の方向をとると僕の演奏が固定されてしまうのでいろいろとやってみる。
フローする、ということはリズミックなアプローチは苦手みたいで追いかけるのもぎこちない。
電気楽器なので逆にダイナミクスが平板になりがちでこちらで色をつけるのに忙しかった。


2部はお互いのソロ。
こちらが先にやる。
お客はしんとして聞いてくれる(これはここでは珍しい)のだけど、なにか歯車の届く時間が少し遠い気がして
少し先走った演奏になったかもしれない。
お客は大拍手、思い出したここのこの感じ、ものすごい受けるんだ。
次にパクヤンのソロ。
これが彼女の初ソロらしい。
日本にいたときのヤニックのソロも僕の呼びかけで初だった。
こちらの人はあまりソロライブをしない。
単音をエフェクターで変化させたものでループをつくりその上で即興。
目新しいところはないが聞き応えはあってなかなか面白い。
聞いているときに、ああ日本人っていろいろ工夫するんだなあ、と思った。
こちらではエフェクターの使い方がまんま、って人がかなり多い。
日本人は音源主義、というかオリジナルの発振の仕方にこだわりがあると思う。
最後にまたデュオ。ソロでほぐれたのでよい感じに持っていけたと思う。
大拍手まさかのアンコール、続けてアンコール即興。


終わってから食事をいただく、プレートディナーやピザ、うまい。
ぼーっとくつろいでいると突然知らないヴァイオリニスト女性が演奏を一人で始めた。
踊りながら歌いながら弾く。まあまあいいのだが声のでかさと押し付けがましさが鼻につく。
なんか違う気がするんだよなあ。聞き流す。
あまり長いしたくない感じに二人でなってきたので帰り支度をするとなぜかこちらを向いて演奏するが
さらに鼻につくので完全無視で片付ける。
フレッドに聞いても誰か知らない、という。
パクヤンや数人は、ああこの人知ってる苦手、いつも飛び入り即興でやってコンサート企画してばっくれられたことがある
ということ。まあそんな雰囲気か。
自分の演奏しかしない人はそんなもので、そんな音しかしない。


フレッドに例を言い便乗客も入れて帰る。
フレッドの好意や愛情は本当にありがたいけど、ここはもうライブ向きの場所ではなくなったかもしれない。
昨年の僕の2回目のここでのソロライブは口コミで100人を越える客が来た。
あの興奮は忘れられない。
あの状況になることで彼の家に迷惑をかけることはしたくない。
これと僕の愛情や友情は別の話。
なかなかここから外に出ることがない彼のために、僕はまた遊びに来るだろう。
ありがとう、フレッド。


まあまあ疲れてしまい、明日も早いので軽く準備をして就寝。