撮影会/ゲントでライブ鑑賞

昼から友人クリストフが友達のスタジオを借り切って撮影会。
完全アナログの世界、たった8枚の大判フィルムのために朝から夕方まで。
美しい町並みの奥にひっそりとあった数百年前の建物の中の大きな場所。
工房にあるきりきりした時間がそこにはなくて、時間が止まったかのような
写真そのもののような場所だった。


デジカメの世界は正直嫌いだ。
シャッターを切ったときの人の顔がアナログと違うの、気づきますか?
あれだけ手間を愛情をかけた時間をこめて取る、
失われ行く瞬間を愛する力が凝着する瞬間。


あんなに人が幸せそうにシャッターを切るとき、生きていることを喜んでいる顔を見せるのを
僕は見たことがなかった。
しいていえば、ミュージシャンの最高の笑顔に似ていた。


ここにはこんな魔法の時間がまだあるんだ。


帰ったらグレッグの姪っ子のルーシーがきてた。
こちらの子供たちのお絵かきは最高だ


++++


夜はたくさんの誘いを断ってライブを見に行くことにする。
遠いゲントの初めての場所。
こじんまりしたこれまた古くて美しいバー。
演奏中は完全に静かにしろ、という店主の注意書きが
ここの音楽への愛情を一目で教えてくれる。


なんてったってベルギーだもんね。


チェロ、クラリネット、バイオリン、コントラバス、ピアノ。
美しい室内楽の世界。
しかし全員が即興への愛にあふれているままに作曲の中にいる。
美しかった。
ジョバンニ、ありがとう。


そしてゲントはおとぎの風景の町だ。

夜家に帰ってきたらまだパーティーやってて、残り物のタジンをうまうまいただいて
ねむくてしょうがないのに、ギター達人ベンの生ギターで踊って
ニコと夢の中のはなしで歌って踊って、おいしいビールを飲んで眠れるお茶を飲んで
帰っていくみんなにお休みのキスをして、寝床に入ったら午前3時だった。
起きたのは朝7時、それからフル回転で動いてた一日のオフ。


一日たりとも無駄も無為もない。
ゆったりのんびりすごすのっていいよね、なんて戯言もない。
人と人の有意な導きあいが、僕らみんなを幸せなところへ連れて行ってくれる。
毎日が普通で特別。
僕らの大好きな、ただ普通の平日の日常でした。