アントワ−プ道教野菜料理を食べに行く

今日はオフで、夕方からアントワープへ。
パクヤンの実家でディナーパーティー
仲の良い友達みんなあつめて車で行く。


パクヤンの実家は道教のお寺で、家族全員ベジタリアン
お母さんはプロの腕前の料理人で、さらにもう一人プロのシェフを連れてきて
今日はすごいフルコースを用意しているとのこと。
これは結構前から予定していたもので、楽しみ。


こちらだと下手すりゃ一日一回は友達の家に食事を呼ばれる。
心づくしの料理も良いし、みんなで語って笑って過ごす時間がとても暖かい。
この町では会話が大きな娯楽だ。
みんなの生き方を交歓するような、未知の発見が素敵だ。


人種も年齢も違う、子供のころの共通の話題やテレビの話題なんて全然ない。
お互いの好奇心を刺激する、お互いの未知をおいしくいただく。
僕の大好物です。


ではいってきます。
その前に朝ごはんは、こちらの赤ジャガイモ、
トマトとマッシュルーム、パクチーのサラダには
パルミジャーノを信じられないくらい思いっきりオロシ機でぶっ掛けて
トルコのパンとフランスパンと、近所の名店の手作りベーコン。
オリーブオイルはBIOでお茶もBIO。


作業から帰ってくるグレッグには、メキャベツとたまねぎ、生姜とにんにく、
ズッキーニもたくさんつかった野菜スープを仕込んでおく。
夜おなかがすくためのメニューに徹する。


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タイの内戦で友人マチューの安否を気遣う。
http://www.afpbb.com/article/politics/2544482/3573913
空港は閉鎖され市民団体は座り込み軍隊は突入を準備しているとのこと。
今日帰ってくるはずだったんだ。
空港は封鎖されている、全フライトがキャンセルされた。
軍隊は包囲していて攻撃の準備もしているという。


報道とは違う情報を彼はメールで送ってきた。
空港のすぐそばで、帰国の便を待ち続けるマチュー。
あの日の大阪で、であってすぐ新曲にdaysukeと名づけ、僕を兄弟と呼ぶ男。


どうか無事でいて欲しいと強く願う気持ち。
それで思った、
どこかのだれかも、必ずこのような強い思いでどこかの誰かを思っている。
友人だけが助かればよいのではない、できれば誰かの誰かも同じように
無事であって欲しいと強く祈る。


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アントワープベジタリアンパーティー
友達の鍵盤弾きパクヤンラウはベルギー生まれの中国人で実家は道教のお寺。
キッチンの隣に祭壇があって圧巻、撮影は可だったけどアップは不可だそうです。


おかあさんとそのお友達が工夫でこさえた野菜料理。
これがまた圧巻。
生春巻きはぼくの手首より太い、きいたらこれでも小ぶりに作ったそうです。
久々の餃子、香辛料の香りがたまらない。
一番不思議だったうなぎそっくりのもの、これは海苔と麩で作ってると思う。
食べると魚の味がする。
ちまきは米自体が何重にも味付けられていて奥には少し甘い豆や凍み豆腐などがある。
特別滋養なスープはきくらげと淡竹、その他優しい味で自分をアジア人だと痛感する。

食べきれない量、飲みきれないお茶。
悔しい。
とてもおいしかった。
いったいどれだけ手間をかけたらこんなものが作れるんだろう。


おもしろいなとおもったのは、ここにいる中国人たちは
広東人でマンダリン(ペキニーズ)ではない、
僕ら日本人がわずかながら知っている中国語だと思っているものは
だいたきマンダリン、北京語なんだ。
イーアルサンスーもシェシェも通じませんよ。



食後に演奏をプレゼントってことになった。
ここにはミュージシャンがたくさんいて、しかしこれは予定になかったことで
僕は楽器を持ってきていない。
祭壇近くにはピアノがあり連弾二人、グレッグとニコはそれぞれ楽器あり、
他は適当に持ってきてもらったおもちゃみたいな楽器をそれぞれ手に。


適当な即興演奏を二つほどやったあとパクヤンのお母さんから
何かあなたたちみんなが知っている歌を、というリクエスト。
これがなかなか大変。
ジャズの素養がある人間とない人間などの違いもあるがそれより
ここには国籍が七つ、
ベルギー、中国、イタリア、スペイン、ギリシャ、メキシコ、日本。
共通の歌がない。
そこでニコから飛び出したのがビートルズ
なるほど、これにはこういう効用があるのか。

しかしこれがなんかすかん。
みんななんとなくうまくないし適当。
途中でリタイアするがヘタレ歌声喫茶が続いて、できるだけ距離をとる。


あ、わかった。
ガキのころに周りの大人たちが大好きなビートルズを嫌いだったわけが。
こんなんだったんだろうな。
自分が好きだからという理由だけでへだらで押し付けがましい歌の連続。
25超えるまでビートルズを聴くにもならなかった。


おいしい晩御飯の後にくそまずいデザートがえんえん続くようで最低。
いくら大事な友達でも最低なものは最低。
ひとんちのお呼ばれで怒るわけにも行かず、えんえん12時過ぎまで。
異様な満腹を満たすためにたって歩き回る。


なんとかおわってお開きに。
英語がしゃべれないパクヤンの父さんはしかっめ面をしていたので
怒っているのかと思っていたら
「今度もっとちゃんとしたx中国料理食べさせるから3日は早くこの町に来なさい」
とのこと。ずこー。
というわけでこれよりすごい超中国料理をいただくことになりました。


ちなみに25越えてビートルズを聞けるようになったのは
身近でよいミュージシャンの良い演奏、下手でもどこかがいい演奏を聴いたから。
意固地に嫌いなまま、というのは何にも自慢になりません。
嫌いな食べ物を罵倒する人と同じ。
(何かを嫌い、とか書くと俺も私も、と同調するときだけにコメントを書く輩がいるので牽制)

関係ないけどすごい広告の写真だ。


眠くて眠くて車で帰ったらすぐ寝た、比較的早寝だ。