kuruwasan@le chat pitre

朝は昼ごはんの買出しにグレッグお勧めのBIOショップへ。
有機無農薬とかフェアトレードとかノーアニマルテストとかがあるお店で
この町には結構ある。
近所のこの店は眉毛が悪魔みたいなベンという凄腕ギタリストのシスターがやってる。


お目当ての白にんじんもあったし好きなベルギーの蕪、ほかにも良い野菜がごろごろ。
僕は知らなかったがBIOの化粧品はこちらのご婦人に人気だ。
ばらの石鹸やハーブティーとか日曜常備品もあわせて買う。
BIOは高いけどいいよ、といわれていて、こちらの野菜は量り売り、
持参した草で編んだ籠にいっぱい野菜を突っ込んでレジへ。


感じの良い女性から、はい、っと13ユーロくらい。1300ちょっとくらいてなかんじ。
こんだけ買って???
これなら俺もBIOで暮らしていけるよ!
スーパーの野菜でも感動ものなのに、すごいぜ。


帰り道、路上にトイレが捨ててあるのを見た。

たまに落ちてる、なんで?
ちなみにホームセンターにも大量の便器が売ってあってみんなトイレ自分でつけるみたい。



かえって昨日の味噌汁の残りで炊き込みご飯としこたま野菜スープ。
根菜とポロねぎ、生姜が利いて塩コショウだけで十分味が出る。
いただきます、ボナペティ、ヴィスミッラ。
欧州人には味が薄いよなあ、と思ったけどグレッグは一口食べて
「うまーい」と日本語で叫んだ。
ありがとうメルシーシュクラン。


ドルフィーのアイアンマンをレコードで聞きながら楽しい食事だった。


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昼間はオフになったグレッグとゆっくりすごす。
ゆったりゲンブリを弾き語ってくれる。
ロッコのあの時間と同じ空気。
心も体も大きい彼の優しさといれる、気持ちの良い時間だ。


夜は小さなジャズクラブでクルワサンのライブ。
グレッグから「この町で一番換気の悪いバー」といわれてた。
ぎょえ〜、この町の店はほとんど全部猛烈に換気が悪くて、
タバコの煙が宙に浮いたままうごかないでそのまま、みたいなんだ。
その中でも極悪、とは。


なんちゃない普通のバーって感じ、もはやこの町に慣れていると。
7時開演が普通っていうけどそんな時間に客がいるはずもない。
ゆっくりドラムをセットするジョアオはなんとピザを食べながら準備。
サウンドチェックまでピザ食ってて爆笑、「ピザドラマー」の名をつける。

1時間半か2時間くらい押して開始。
クルワサンはグレッグとパクヤン、僕とジョアオのカルテットだ。
インプロと小曲が交錯する。


ここももちろんノーチャージでカンパすらない、ギャラ保証制。
なので客は無関心な人も多い、おしゃべりが娯楽の人たちなので
渾身の演奏中もがやがやうるさい。
もう慣れた、その中で集中を保つことができる、これはかなりの財産だと思う。


ここの客層、ちょっと僕らの周りにいる人たちとはムードが違う、ちょっとダサい。
多分これが普通のベルギー人なんだろうなあ〜と思う。
面白い発見だ。
インプロに興味ない人たちが宴会している中でやってるみたいなものだな。
関係ない、俺は飛ばさせてもらう。


今回グレッグはサックス3本(アルト、テナー、バリトン)、マイクにエフェクター
ゲンブリや口琴、笛に小物にパワースピーカーまで持ち込んでフル装備。
どうやらちょっとスクエアなこの場所にぶちかます
2部ではゲンブリ登場。これはもうバキバキにいかせてもらう。

満員立ち見ギチギチの場所にこだまする生音轟音tuba。


ジョアオのドラムはもう最高だ。

見に来たジョヴァンニが「知る限り欧州最高だ」という彼の限りなく自由を与えてくれる音。
演奏は、その人間そのものだと思う、まったく。
俺はなんという幸せな出会いをしてしまったんだろう。
パクヤンはこの男衆の中で異彩を放つ、彼女の色は寒色だ。
そのコントラストが、このバンドの持ち味だ。






寒暖・大小・遅速、さまざまなダイナミクス、いかにもブリュッセルらしい雑流。
ベルギー・ポルトガル・中国・日本。
そのどこにもない音楽がこの欧州のセントラルで産まれている。
ここにいれてすごく嬉しい。


終わったあとはビールもって外へ。
とにかくひどい煙と空気である。
照明から照らされる室内がレーザーに当てられたように光っている。
さすがに吐き気がしてきた。
外にはスモーカーなんだけど耐えられないようでジョアオも出てきてた。
楽しいなあ、この面子は。


思えにいたら初老の大柄な白人男性が駆け込んできた。
英語はしゃべれるか、といわれほんの少しだけと答える。
こんなライブは見たことがない、見てくれこのハンカチを、
と差し出すハンカチはびしょぬれ、このひとライブ見て号泣してた人だ。
ただ俺らは一生懸命やってただけ。
こないだも一人号泣してたっけ。
こんなことがあるのも、この町だ。


中ではパクヤンのキーボードとジョアオのドラムをつかってなにやらミュージシャンたちが
ジャムセッションを始めた。
これがこの店の水曜の名物らしい。
昔は僕も世界のいろいろなところでやりまくった。
最近は本当にやりたい人とだけやりたい。
もしかしたら良い人とやれるかもという可能性を探してやりまくったけど
もう僕には今でさえやりたい人が一生分かもしれないほどいる。
もういいんだ。
乱交は若いうちにどうぞ。


少し腹が減ったので近所のはじめていくスナックへ。

巻きピタのサムライソースを頼む。
この店の名は「SNACK XL」、そのあほみたいな名のとおりデカイ!
ベルギーだからね、中には揚げ芋フリッツがぎっしりでおいしい。
これでほかほかあったまってから店に戻り、演奏をしているパクヤンとグレッグ、
外でだべっている我が友たちにさようならをつげて徒歩で帰る。


タバコのにおいをオーガニックのバラ石鹸で洗い落としたら速攻寝た。