大阪特急@schaff/UKIYO+yannik,akiko igaki,kame@Roskam,bxl

昼:kouz(elec oud)yannick dupont(ds)akiko,kame,daysuke
夜 Ukiyo:giovvanni di domenico(key)daysuke takaoka(tuba)joao lobo(ds)
yannick dupon(ds,electro)akiko igaki(vln)shinji kameda(sax)

ブリュッセルは毎日寒い冬の日と雪続き。
11月では異例のことらしい。


ダブルヘッダーの日、特別な日。
昼間は有名な広場の近くで久々に出演するカフェ・シャフ。
有名なタトゥー屋が近いので店員も客も墨率高し。


オウド弾きクーズのオーガナイズで、ヤニック、クーズ、アキコ、カメ、daysuke。
大阪特急、と題された即興イベント。
クーズとヤニックはいとこ同士で、この日は彼らの家族がたくさん来ていた。
外は大雪、寒いの弱いはずのアキコはんはこの日もはだしで石の床を踏み鳴らしていた。
組み合わせ即興で2ステージ。
なかなか面白い場面もあった。
 

この昼はみくさんの下の息子さんのかえでくんとマチューの息子のアンジェロが
入れ替わりで遊びに来てくれた。
僕の大好きな小さな友達たち。
雪合戦して大笑いして、飛び回る。
ちょっとモロッコのことを思い出した。


終わったら急いで移動、次はセントラルのカフェ・ロスカム。
フラミッシュのカフェということで雰囲気がいつもとはまた一味違う。
やんちゃな子供たちがドアマンをしてくれた。

奥にある映画でも映しそうなステージ部分での演奏。
この日は当初ジョバンニのキーボードとヤニックのドラムのはずだったが
そこに22日に大成功デビューを収めたUKIYOのメンバーであるジョアオも参加。
すげえ、マイフェイバリットドラマーが三人そろっている。


ツインドラムで片方はエレクトロニクスも、
ジョバンニはフェンダーローズにエフェクトフル装備。
アンプ3台ドラム2台に対し、俺、マイクなし生音。
しかも2ステージの演奏後だ。
さらにこの3人は俺よりも若い。
死ぬ気でやる。


この音楽の熱狂はなんなんだろう。
騒がしく広いカフェの観衆の意識がどんどんステージに集まるのが肌でわかる。
物理的な力を持つ、視線と聴取の力だ。
気を抜くと殺られる。
気だ、気なんだ。
エレクトロニクスとドラムスの暴れ狂う嵐の中に、たったひとり祈るように完全な生音で
貫き通す音が、喜びそのものと化す。
ひりひりとする。
心地よさはない、そこにあるのは圧倒的な生の歓喜だ。
狂喜に近い叫び、tubaで。


1部を見て狂ったように興奮しているアキコとカメをステージに誘う。
ジョアオはあとでアキコを「ヴォルケーノ!」と叫んだ。
ヤニックが端正なドラムをかなぐり捨て叫びだす。
熱く煮えたぎるいくつもの渦が、秩序を嫌いぶつかり合い消えていくように生滅する。


よかった。
こんなライブはそうそうない。
音楽的には22日のウキヨ(ジョバンニと俺とジョアオ)のほうがすごいものがあったと思うが
そうではない、人間の力の噴出を見た夜。
そしてこの夜はアキコとカメの最後の夜。
歓喜と去り行く悲しみがごっちゃになって感情の嵐の中にいる二人を見る。
よかった。

それぞれ雪道の中を移動、最後の乾杯をしようと皆が集う。
あそこ、400種類のビールがある馴染み。
ペンキ塗り作業でくたくたのエリックも、寝る準備し終えていたグレッグも来てくれた。
みんなで乾杯。
くっだんさい店員がいてみんな怒るけど、最後の客になるまでい続けた。
少しでもみんな一緒にいたいんだ。


これが始まりなんだよ、と悲しむ昨年の僕を抱きしめたみんなが、
また同様に帰り行く彼らを抱きしめる。
楽家はすばらしい生き方だ、とヤニックは言った。
本当にそうだと思う。
強く心のそこからそう思う。


深く愛し合える友人が見つかるということは、そうたやすいとは思わない。
この数日、ベルジャンもイタリアンもスパニッシュも日本人も、
一緒にいるみんなが、私たちはなんて幸運なんだろう、と言い合った。
別れはいつもさびしいけど、私たちはこんなに愛し合って慈しみあっている。
子供のころから信じて求めていたことは、ここにあったよ。


引き剥がすように、抱き合いキスしサヨナラを繰り返し深夜に分かれた。
最後は子供のように大笑いしながら雪合戦をして。
おめでとう、ありがとう。


この深夜に荷物引きずり今晩グレッグ邸へ。
一人暮らしの彼の家、しかも彼は大きいので物の作りも大きくて僕にも余裕。
広いベッドでぐっすり休む。