play with jamal

daysuke2008-11-06

少し遅く起きてぎりぎり朝食に間に合う。
昨夜はpcのセットアップで手間取って遅寝になったのだ。


今日は一番の快晴で日差しが強い。
みんなで屋上に出て日光浴。
欧州人たちは太陽が好きだ。
地元ではもう寒くてたまらないし夏も短い。
日差しがあるとどこでも裸になるのも彼らの習性だ。


女性たちは上半身下着姿でお茶のみながらおしゃべり。
グレッグはpcを持ってきてなにやらレコーディングに励む。
僕はそこら辺に寝転んで昼寝。
どうも屋上にはハエが多い、さすがアフリカ大陸。
もう慣れたのだが寝ていたら、ぷちっと痛みが、噛みやがった!
これで寝てられなくなって起き上がる。


ぼーっとしていると気がつけば昼ごはんだ。
大きなとんがり帽のようなふたのついたタジン。
中身は肉団子、ケフタと卵のタジンだ。
 

アクセルがどこかに電話していてなかなかはじまらない。
みんなで大きな皿を囲んではやし立てて待つ。
やっと食べれる、いただきます。
いつもどおり取り皿はなく、右手に持ったモロッコパンでうまくとって食べる。
ケフタと卵のタジンはモロッコについた初日にカフェで食べたが、こっちのほうが断然うまい。
考えてみれば知らない他人に出すのと友人や家族に出すのだったら、違うよな。
なによりみんなでにこにこと楽しくひとつの皿を囲んで食べるのだ、おいしい。


終わったらもちろんお茶をして片付け。
もう甘さがないと物足りない身体になりそうだ。
ジャマルがお使いに出てくれたのでジュースや甘いものも食べた。
それにしてもここにはハエが多い、よく見ると臭いを発する皮が置いてある。
たぶんゲンブリ用のらくだの皮だ。


宮本武蔵のエピソードをグレッグに言うとやおら立ち上がり、ハエを捕まえようとする。
結局長い手足を使って壁にバンバンたたきつけてハエを殺しまくるグレッグ。
ハエ侍グレッグである。


このあとジャマルと空手ごっことかして遊んでじゃれる。
この子は本当にかわいいし利発だがやはり小さな男の子、遊ぶのが大好きだ。


階下に降りてtubaを吹く。
最初は今回の旅中で自分用に書いた自作の曲を吹く、なかなか難しい。
そのうち気がつくと隣にジャマルがやってきてじっと聴いている。
これで熱が入りもっと吹くとハッサンもやってきてマリーもやってきた。
みんな熱心に聴いてくれるのでもっと熱が入る。
毛布をかぶって寝転んでいたみんなに向かって優しく太い低音をかぶせる。
振動にみんな大喜びだ。


このあとはみんなで演奏大会。
口琴や鼻笛、tubaもまわしてみんなで楽しむ。
ここでもジャマルは大喜びだ。
 
 
 

少し時間がしてからグレッグとマリーの三人で町に出かける。
何の目的もない散歩だ。
旧市街の中でも端のほうに向かう。
途中で男の子たちがマリーに何か話しかけるがまあ物乞いだろう。
何か汚い言葉を吐きつけられたようでマリーがバラカを口にする、お祓いだ。
ここから数十メートル歩いたところで後ろから衝撃があった。
結構な大きさの石を投げつけられたらしい。僕の腰の辺りに当たった。
二人には心配されるが厚着していたので痛くても怪我はないという。


外国から来ている僕らは彼らにとって紛れもなく金持ちで嫉妬や嫉みの対象になるだろう。
こういうこともあるのだ。
痛みが残るよりは悪意の痕跡のほうが残った。
グレッグはこのあたりの路地で昨年、強盗に切りつけられている。
今も着ている上着にはそれを繕ったあとがある。
そういうことにあいたくなければ来なければ良いのだ。
これも旅の一部だ。


本来フリーマーケットをやっている一角はさすがに時間が遅くてほとんどやってない。
ロッコのフリマはほとんどガラクタだよというグレッグ。
それでも生活用品が見てみたいと思う。
旧市街の外壁沿いに道を歩く、このあたりには何もない、人もいない。
カオスの迷路でどこにも何もかもあふれているところばかりだったから逆に新鮮だ。
赤い壁と蒼い夜空、銀色の半月がとても美しい。
右手には古い壁、左手には新しく作られた町だ。
なぜかそちらには行きたいと思わない。

ゲートをくぐりまた壁の中に入り家のほうに戻る。
グレッグとジャズとクラシック話三昧。


家に戻ってちょっとネットしてるとジャマルがやってきて遊ぼうと誘う。
昼間に遊んだのでいい遊び相手が見つかったと思ったらしい。
そうなるとネットなんぞしてられない、ほったらかして遊ぶ。
昼間も遊んだ笛がお気に入りのようでそれと口琴なんかも。
小ぶりなゲンブリを取り出してぶんぶん弾き始める。
カルカバを持って踊るのがとてもよかった。
まだ小さいのに見よう見まねだろう、回転するしぐさや沈む飛ぶなどかわいいけどかっこいい。
大きくなったら立派なグナウィになるのだろうなあ。


ハッサンたちの部屋に行って今度はビー玉遊びだ。

これはメディナの中の子供たちがあちこちでやっている。
並べた玉に自玉をぶつけるやつで、日本で子供のころにやっていたのとほぼおんなじ。
これに熱中したあとは球を両手に握って振り片手に握ったものを偶数か奇数か当てるもの。
最初はなかなか勘が働かず負けてばっかりだったがうまくいくとゲームになった。
いつまでたってもやりたがるジャマルの元気さに押される。
空手ごっこの連続回し蹴りだってかなりの迫力だ。
やっぱりアフリカ人は身体能力が違う、と思う。


そうこうしているうちに夕餉だ。
グレッグとマリーが用意してくれた野菜の煮込みとアボガドペースト。
白米とモロッコパンが付け合せ。
僕らの寝室兼客間でみんなでいただく。
煮込みを白米にかけて、そこにナッツの粉とバナナの輪切りを追加する。
アボガドペーストはにんにくとレモンがとことん効いていておいしい。
やはりみんなで囲む食事は最高だ。
隣にはジャマルがバナナをたくさんとってほおばっている。
日本の食習慣の話で笑いを取る。


そのままお茶とフルーツの時間、家族的なこの感じがいつも素敵だ。
アクセルが何かはじめた、タロットカードの一種だがこれがZEA TAROTてなもんで。
ちょっとまともに受けれなくて適当に流しておく。
僕の啓示は「泉」だそうだ。
僕は海童道の尺八を聞いてうとうとする。
そのうちみんなが三々五々眠りはじめお開きに。
毎日が普通で毎日が特別だ。
何かがわかってきたような気がする。