アントワープでダンスと、夜はライブを

daysuke2008-10-29

朝7時過ぎに目が覚める。
どんどん寒くなっていく、今僕のいる部屋は北向きだ。


朝飯にはパンハムサラダチーズ、ついでに昼ごはん以降用に野菜の煮込みも作っておく。
エリックとコンタンは階下で朝からリハーサル。
今日は午前から動かないといけない。
支度してパクヤンのうちへ。
今回はトラム(路面電車、たまに地下にももぐる)を間違えない、無事flageyekiで下車。
歩道からすこし引っ込んである、パクヤンのうちの前にマットレスが引いてある。
数日前からホームレスが住み込んでいるらしい。
家の玄関の目の前で人が寝ていたら普通は起こるか嫌がるが彼女は
生活支援団体に連れて行こうとしたり、毎朝スープやパンを与え、お金まで渡している。
そんなことをしてもうまくいかないよ、と僕ら友人は言うのだが
彼女は持ち前のはきはきした性格で笑いながらそれらをする。
俺は考えさせられるよ。


今日は彼女のリハーサルにお邪魔参加する。
ダンサーとミュージシャンのコラボだ。
同行の女性ダンサーのダフネは小柄なギリシャ人でこないだライブ見に来てくれてた。


アントワープまでの車中は日比谷カタンのCDを聞きながらおしゃべりや計画話。
カタンさんはこないだキャバレー新宿というブリュッセルのイベントで演奏していて
見てないものにも話題を残していたので、これをかけると会話が弾む。


町並みが少しブリュッセルと違うアントワープ、Siegelという施設に到着。
ここは音楽学校やさまざまなアートの施設が合体しているみたい。
ダニエルジョンストンのコンサートもあるみたい。
いかにも音楽練習室(ただし巨大)というところに向かう。
中には若い男性ダンサーとマリンバや打楽器奏者がいた。
挨拶をしてセッティング。僕は相変わらず生音で楽だ。


遅れてエフェクト類とサックスの男性も参加。
彼らとパクヤンはフラミッシュというこちら独特の言葉で会話する。
漫然とした全体セッションをウォームアップにして少し制約をつけてインプロ。
ダフネが飛びぬけてすばらしいのでデュオをやらせてもらう。
ライブを同じテンションで、自分もよく動くことに。
やっぱダンサーは踊りが美しくないとね。
すばらしく楽しんだ。


結構長時間やり終えて片付け車に乗り込み一路ブリュッセルへ戻る。
今度は安東ウメ子「ウポポサンゲ」をかける。
激しく興味を持つダフネに下手糞な英語で日本人とアイヌ人の違いを説明する。
ぶっ飛ばすハイウェイを、トンコリのミニマルな音とたゆたうような歌が、
そして右手には大きな紅い太陽が沈む夕暮れ、楽しい会話。
いい時間だ。


途中でダフネを降ろし再会を約束し、僕はルードサヴォアで下ろしてもらい一時帰宅。
キッチンに行ったら作り置きしてた野菜煮込みが半分がたなくなっていた。
ここは共同生活なのでこういうこともある。このあたりゆるいしね。
家賃代わりにせっせと食材を買い込んでおいて使ってもらってるようなものだ。
急にどかっとしたものが食いたくなって、今回初スナックへ。
スナックとは、サンドイッチとかピタとか、フリッツ(揚げ芋)とかそういうものが深夜まで
売っている軽食屋のことで、日本のあのスナックではない。
昨年みんなと散々行き倒した。
ミトライエット(軽機関銃)と呼ばれるサンドイッチはフランスパンにサラダと肉類、
そこにてんこ盛りのフリッツがはさまれた、がっちょり男飯で
ベルギーでは非常にジャンクフードだと思われている。
日本で言うジャンクはケミカルなものが多いと思うのだけれど。
まあこれがすごいボリュームで大食漢か若者でないとまあ無理。
朝早起きで作った飯がほとんどなくなっていたのもあってどーんと頼む。
チキン鉄板焼きとサラダ、残念ながら今回はポテト挟んでもらえなかったけど
これで2,5ユーロだもんね、安い。
ちなみにスナックをやっている人はアラブ系が多くハラルと呼ばれるアラブセレクトなものもある。


もって帰り途中で買い込んだビールで夕食。
ああ、このバカっぽい食い物、いいなあ。
日本もコンビニなんて要らないからスナックがあればいいのに。
ソースはサムライソース。
といってもマヨネーズピリ辛味で日本とまったく関係ないがこちらの人の多くは
日本にもあるものだと思っている。
昨年そう聞かれたので
「日本にはサムライソースはない、しかしもっと辛くて腹が裂けるようなハラキリというソースが在る」
とうそを付き捲っていたのだが、彼らは今も信じているだろうか。


野菜煮込みこれ以上食われたら悔しいのでぱくっと全部食べる。
あわせてばかげた量、アー食った食った。
部屋で軽く休んでエリックからの連絡を待つ。
今晩セントラルで少林寺クンフーコンテンポラリーダンスを融合したショーがあるそうで
その団体の評判はすこぶるよいのでいってみたい。
エリックなかなか連絡がつかなくて、ぎりぎりの時間に連絡があり、とりあえずトラムに飛び乗る。
乗りそこなう・・・。
こちらはひとつの駅に何本も違う路線が走っており、素人にはわかりにくい。
とりあえず乗ってみる、では失敗するのだ。
時間もなかったのであせってた、でもなじみの駅を通り過ぎ地上に出ちゃったからすぐわかった。
折り返しを待っているところでエリックから電話「チケット完売だった、ごめん」。
一気に力が抜けて、あはは、と笑い飛ばし安心してゆっくり乗車準備。


パクヤンがコンサートに行くといってたっけ、連絡してみたら合流を約束。
間違いなく2回乗り換えて再びflageyへ。
どこにいるかな、と探すとすぐに迎えに来てくれた。
界隈で評判のおいしいピザ屋ママローマでジョアオもいる。
ここの四角いピザはおいしくて安いのでいつも行列だ。
僕は食ってきたので少しワインを分けてもらうだけで立ち食い話。


車に乗っていざ出発。
ちょっと市内から離れたところらしい。
アートカフェでギャラリーみたいなところ。
いやいや立派なカウンターがあって、きちんとライブハウスだ。
今日の出し物はパクヤンらも知り合いのサックス吹き、コントラバス、ドラム。
ニューヨークで活動しているらしい、そんなとれとれのジャズバンドのライブが入場無料。
客はカウンターのあふれるまでぱんぱんだ。


ものすごくジャズ。しかしとはいえジャズマンのスタイルの中にもフリーな様子がちりばめられていたり
するのがやはり面白い。
聞いている場所が悪かったのか、ちょっとタルイ。
たらたら自己表現的なものがジャズの形で続くと、すぐ飽きてしまうのだ。
朝早かったからかなり眠くなってしまった。
ビールおいしいしね。


2部でがらりと雰囲気の違う曲を演奏。
これはなかなかいい感じだ、何かが起こるかわくわくする、と思っていたら
やっぱちょっと眠気が。
それが切り裂かれたのはドラマーの仕業だった。
突如アンバランスなまでに暴発する音の連打や、あまりにきつすぎる音。
何かがおかしい、見てみると、一打一打が強い、あまりに強すぎる。
フロアタムがあっさりと裂け、キックのペダルが踏み壊れ、明らかに異様な雰囲気。
シンバルを投げ捨てマイクスタンドごと打ち倒し、スネアをひっくり返し
グラスを蹴り割り、暴力的、というか暴力であって、これは引く。
黒人で巨漢のドラマーは不機嫌の塊って感じでドラムを破壊していく。
楽しめない。何度もステージから下りては上がる彼。
残された二人は引きつった顔でレパートリーをこなしていく。


もうぐっちゃぐちゃのドラム周辺を見て、もうこれは楽しいことはないな、と思ってたら
最後の曲でいきなりドラマーが戻ってきて、スネアもシンバルもない、
タム一個とキックのないベードラハイハットの上を左手に下を適当にそこらに引っ掛けただけで
突然演奏に再参加。
これがたしかにアグレッシブな演奏ではあるが、難しい曲の決めも完璧で勢いもあり
こんな無茶な楽器セットにもかかわらず、曲をこなす以上の表現力で演奏する彼に脱帽。
最後は気持ちよく拍手できた、まあ微妙か。
何が起こったか全然わからないのであるが、非常に印象的なギグだった。


同じくドラマーであるジョアオに、何が起こったと思う?ときくと
たぶんあの安物のグレッチのドラムに腹が立ったんじゃないかな、とう。
マジ?それだけ?
片付けのスタッフ、多分誰かの楽器かレンタルだろう、もうひどい有様で悲壮感漂う。
ドラマーは有名な人らしい、しかしこれはいかんだろう。
誰も彼に近寄らない、会話好きのベルジャンだってこれは違うんだろうな。


ライブあとはいつものようにみんな猛然とおしゃべり。
帰るタイミングはいつも遅れていく。
こちらはやっと飲めたロシュフォールにうっとり。


車で家まで送ってもらいつつ、またしても家の近所の400種類ビールで乾杯を。
エリックもきてにぎやかに会話。
後ろから抱きしめられる、あ、バンジャマンだ!
昨年ボリショイズでお世話になったラフィラチュウというライブハウスのオーナー。
ヤニックと幼馴染で、あまりに音楽が好きだから自宅のアパートをライブハウスにしちゃった馬鹿野郎だ。
前回の滞在で知り合った中でも屈指のお人よしの涙が出るほど親切男。
今日の出演者たちと打ち上げに来たらしい。再会を喜び、さっそくみんなでライブの実現に向けても盛り上がる。


ここらへんは、さまざまなアーティストやミュージシャンが自然に生身の付き合いをしている。
何の約束をしていなくても、ネットや電話がなくても、歩いていれば出会いがある。
この感じがたまらなくて、僕はここが好きで、観光とか行く気にもならずこの町に居座っている。
ジョアオをゆっくり話せたのもよかった。
ポルトガル人の友人を持つのは初めてだ。
日本、とても興味があるそう。
いろんな話をした。これもいい時間。


ちと酔っ払った挙句にこういった。
ここにいると、やたら楽してしまう。
黙っていてもライブのオファーが山ほどやってきて、暇していると友人たちから毎日誘いがある。
日本ではいつも自分で全部作らねばならず、お誘いはたいてい自分からだ。
ベルギーが好きなんじゃないだよ、大事にし合える友人がたくさんいるから、この町が好きなんだ。
まだ到着して1週間、すっかりこの空気に馴染んでいるが、ときに引き戻される。
多分一生、この行き来は無くならないんだろうな。旅は続く予感。


さすがにへろって来たのでみんなで退散。
こんないい時間をわずかな小銭で近所で楽しめる、気持ちよい。
小腹をキッチンで朽ちしエリックとまたトークを少し。
フルで遊んでくたびれた体を横たえたらあっという間に気絶。

朝7時過ぎに目が覚める。
どんどん寒くなっていく、今僕のいる部屋は北向きだ。


朝飯にはパンハムサラダチーズ、ついでに昼ごはん以降用に野菜の煮込みも作っておく。
エリックとコンタンは階下で朝からリハーサル。
今日は午前から動かないといけない。
支度してパクヤンのうちへ。
今回はトラム(路面電車、たまに地下にももぐる)を間違えない、無事flageyekiで下車。
歩道からすこし引っ込んである、パクヤンのうちの前にマットレスが引いてある。
数日前からホームレスが住み込んでいるらしい。
家の玄関の目の前で人が寝ていたら普通は起こるか嫌がるが彼女は
生活支援団体に連れて行こうとしたり、毎朝スープやパンを与え、お金まで渡している。
そんなことをしてもうまくいかないよ、と僕ら友人は言うのだが
彼女は持ち前のはきはきした性格で笑いながらそれらをする。
俺は考えさせられるよ。


今日は彼女のリハーサルにお邪魔参加する。
ダンサーとミュージシャンのコラボだ。
同行の女性ダンサーのダフネは小柄なギリシャ人でこないだライブ見に来てくれてた。


アントワープまでの車中は日比谷カタンのCDを聞きながらおしゃべりや計画話。
カタンさんはこないだキャバレー新宿というブリュッセルのイベントで演奏していて
見てないものにも話題を残していたので、これをかけると会話が弾む。


町並みが少しブリュッセルと違うアントワープ、Siegelという施設に到着。

ここは音楽学校やさまざまなアートの施設が合体しているみたい。
ダニエルジョンストンのコンサートもあるみたい。
いかにも音楽練習室(ただし巨大)というところに向かう。
中には若い男性ダンサーとマリンバや打楽器奏者がいた。
挨拶をしてセッティング。僕は相変わらず生音で楽だ。

遅れてエフェクト類とサックスの男性も参加。
彼らとパクヤンはフラミッシュというこちら独特の言葉で会話する。
漫然とした全体セッションをウォームアップにして少し制約をつけてインプロ。
ダフネが飛びぬけてすばらしいのでデュオをやらせてもらう。
ライブを同じテンションで、自分もよく動くことに。
やっぱダンサーは踊りが美しくないとね。
すばらしく楽しんだ。


結構長時間やり終えて片付け車に乗り込み一路ブリュッセルへ戻る。
今度は安東ウメ子「ウポポサンゲ」をかける。
激しく興味を持つダフネに下手糞な英語で日本人とアイヌ人の違いを説明する。
ぶっ飛ばすハイウェイを、トンコリのミニマルな音とたゆたうような歌が、
そして右手には大きな紅い太陽が沈む夕暮れ、楽しい会話。
いい時間だ。


途中でダフネを降ろし再会を約束し、僕はルードサヴォアで下ろしてもらい一時帰宅。
キッチンに行ったら作り置きしてた野菜煮込みが半分がたなくなっていた。
ここは共同生活なのでこういうこともある。このあたりゆるいしね。
家賃代わりにせっせと食材を買い込んでおいて使ってもらってるようなものだ。
急にどかっとしたものが食いたくなって、今回初スナックへ。
 
スナックとは、サンドイッチとかピタとか、フリッツ(揚げ芋)とかそういうものが深夜まで
売っている軽食屋のことで、日本のあのスナックではない。
昨年みんなと散々行き倒した。
ミトライエット(軽機関銃)と呼ばれるサンドイッチはフランスパンにサラダと肉類、
そこにてんこ盛りのフリッツがはさまれた、がっちょり男飯で
ベルギーでは非常にジャンクフードだと思われている。
日本で言うジャンクはケミカルなものが多いと思うのだけれど。
まあこれがすごいボリュームで大食漢か若者でないとまあ無理。
朝早起きで作った飯がほとんどなくなっていたのもあってどーんと頼む。
チキン鉄板焼きとサラダ、残念ながら今回はポテト挟んでもらえなかったけど
これで2,5ユーロだもんね、安い。
ちなみにスナックをやっている人はアラブ系が多くハラルと呼ばれるアラブセレクトなものもある。


もって帰り途中で買い込んだビールで夕食。
ああ、このバカっぽい食い物、いいなあ。
日本もコンビニなんて要らないからスナックがあればいいのに。
ソースはサムライソース。
といってもマヨネーズピリ辛味で日本とまったく関係ないがこちらの人の多くは
日本にもあるものだと思っている。
昨年そう聞かれたので
「日本にはサムライソースはない、しかしもっと辛くて腹が裂けるようなハラキリというソースが在る」
とうそを付き捲っていたのだが、彼らは今も信じているだろうか。


野菜煮込みこれ以上食われたら悔しいのでぱくっと全部食べる。
あわせてばかげた量、アー食った食った。
部屋で軽く休んでエリックからの連絡を待つ。
今晩セントラルで少林寺クンフーコンテンポラリーダンスを融合したショーがあるそうで
その団体の評判はすこぶるよいのでいってみたい。
エリックなかなか連絡がつかなくて、ぎりぎりの時間に連絡があり、とりあえずトラムに飛び乗る。
乗りそこなう・・・。
こちらはひとつの駅に何本も違う路線が走っており、素人にはわかりにくい。
とりあえず乗ってみる、では失敗するのだ。
時間もなかったのであせってた、でもなじみの駅を通り過ぎ地上に出ちゃったからすぐわかった。
折り返しを待っているところでエリックから電話「チケット完売だった、ごめん」。
一気に力が抜けて、あはは、と笑い飛ばし安心してゆっくり乗車準備。


パクヤンがコンサートに行くといってたっけ、連絡してみたら合流を約束。
間違いなく2回乗り換えて再びflageyへ。
どこにいるかな、と探すとすぐに迎えに来てくれた。
界隈で評判のおいしいピザ屋ママローマでジョアオもいる。
ここの四角いピザはおいしくて安いのでいつも行列だ。
僕は食ってきたので少しワインを分けてもらうだけで立ち食い話。


車に乗っていざ出発。
ちょっと市内から離れたところらしい。
アートカフェでギャラリーみたいなところ。
いやいや立派なカウンターがあって、きちんとライブハウスだ。
今日の出し物はパクヤンらも知り合いのサックス吹き、コントラバス、ドラム。
ニューヨークで活動しているらしい、そんなとれとれのジャズバンドのライブが入場無料。
客はカウンターのあふれるまでぱんぱんだ。


ものすごくジャズ。
しかしとはいえジャズマンのスタイルの中にもフリーな様子がちりばめられていたり
するのがやはり面白い。

聞いている場所が悪かったのか、ちょっとタルイ。
たらたら自己表現的なものがジャズの形で続くと、すぐ飽きてしまうのだ。
朝早かったからかなり眠くなってしまった。
ビールおいしいしね。


2部でがらりと雰囲気の違う曲を演奏。
これはなかなかいい感じだ、何かが起こるかわくわくする、と思っていたら
やっぱちょっと眠気が。
それが切り裂かれたのはドラマーの仕業だった。
突如アンバランスなまでに暴発する音の連打や、あまりにきつすぎる音。
何かがおかしい、見てみると、一打一打が強い、あまりに強すぎる。
フロアタムがあっさりと裂け、キックのペダルが踏み壊れ、明らかに異様な雰囲気。
シンバルを投げ捨てマイクスタンドごと打ち倒し、スネアをひっくり返し
グラスを蹴り割り、暴力的、というか暴力であって、これは引く。
黒人で巨漢のドラマーは不機嫌の塊って感じでドラムを破壊していく。
楽しめない。何度もステージから下りては上がる彼。
残された二人は引きつった顔でレパートリーをこなしていく。


もうぐっちゃぐちゃのドラム周辺を見て、もうこれは楽しいことはないな、と思ってたら
最後の曲でいきなりドラマーが戻ってきて、スネアもシンバルもない、
タム一個とキックのないベードラハイハットの上を左手に下を適当にそこらに引っ掛けただけで
突然演奏に再参加。
これがたしかにアグレッシブな演奏ではあるが、難しい曲の決めも完璧で勢いもあり
こんな無茶な楽器セットにもかかわらず、曲をこなす以上の表現力で演奏する彼に脱帽。
最後は気持ちよく拍手できた、まあ微妙か。
何が起こったか全然わからないのであるが、非常に印象的なギグだった。


同じくドラマーであるジョアオに、何が起こったと思う?ときくと
たぶんあの安物のグレッチのドラムに腹が立ったんじゃないかな、とう。
マジ?それだけ?
片付けのスタッフ、多分誰かの楽器かレンタルだろう、もうひどい有様で悲壮感漂う。
ドラマーは有名な人らしい、しかしこれはいかんだろう。
誰も彼に近寄らない、会話好きのベルジャンだってこれは違うんだろうな。


ライブあとはいつものようにみんな猛然とおしゃべり。
帰るタイミングはいつも遅れていく。
こちらはやっと飲めたロシュフォールにうっとり。

車で家まで送ってもらいつつ、またしても家の近所の400種類ビールで乾杯を。
エリックもきてにぎやかに会話。
後ろから抱きしめられる、あ、バンジャマンだ!
昨年ボリショイズでお世話になったラフィラチュウというライブハウスのオーナー。
ヤニックと幼馴染で、あまりに音楽が好きだから自宅のアパートをライブハウスにしちゃった馬鹿野郎だ。
前回の滞在で知り合った中でも屈指のお人よしの涙が出るほど親切男。
今日の出演者たちと打ち上げに来たらしい。再会を喜び、
さっそくみんなでライブの実現に向けても盛り上がる。


ここらへんは、さまざまなアーティストやミュージシャンが自然に生身の付き合いをしている。
何の約束をしていなくても、ネットや電話がなくても、歩いていれば出会いがある。
この感じがたまらなくて、僕はここが好きで、観光とか行く気にもならずこの町に居座っている。
ジョアオをゆっくり話せたのもよかった。
ポルトガル人の友人を持つのは初めてだ。
日本、とても興味があるそう。
いろんな話をした。これもいい時間。


ちと酔っ払った挙句にこういった。
ここにいると、やたら楽してしまう。
黙っていてもライブのオファーが山ほどやってきて、暇していると友人たちから毎日誘いがある。
日本ではいつも自分で全部作らねばならず、お誘いはたいてい自分からだ。
ベルギーが好きなんじゃないだよ、大事にし合える友人がたくさんいるから、この町が好きなんだ。
まだ到着して1週間、すっかりこの空気に馴染んでいるが、ときに引き戻される。
多分一生、この行き来は無くならないんだろうな。旅は続く予感。


この夜はすごい霧だった、fogy day.




さすがにへろって来たのでみんなで退散。
こんないい時間をわずかな小銭で近所で楽しめる、気持ちよい。
小腹をキッチンで朽ちしエリックとまたトークを少し。
フルで遊んでくたびれた体を横たえたらあっという間に気絶。