KURUWASAN@cafe murmure BXL

daysuke2008-10-25

KURUWASAN:daysuke(tuba)gregoir tirtiaux(sax)joao lobo(ds)pakyan lau(key)

朝やっぱり目が覚めてしまう。
何で早起きしてしまうだろう、昨年同様。
んで、健康的に朝飯食って散歩がてらに買出しへ。
 


この朝は初めて温かい食べ物を作った。
安売りデルハイズまで足を伸ばし買い物。
にんにくとかちゃんとBIOである。
ファミリー向けのソーセージパックとかいろいろ。
帰って野菜で煮込む。
にんにくセロリキャベツたまねぎを刻んでいると
グルメだが片づけをしない2階の住人イヴォーンの作り残しがある。
ベーコンの端っことかきれっぱしを出汁代わりにする。


しかも大型ジューサーに野菜ジュースの絞りかす(にんにく、トマト、玉ねぎ、しょうが)が
大量に残っていたので煮込みに使わせてもらう。
おかげでやさしい味の物が出来た。


++++


夜はライブ、久々のカフェミュルミュル。
この名前、発音しにくいなあ、日本語表記は無理だ。


昨年でなじみのこの場所。
音楽好きの若者がひっきりなしに集まるカフェである。
ああ、思い出した昨年はここでダメ白人客を罵倒しまくってそれをポエムだって言って
遊んだりしたんだなあ。


メンバーは今回のツアー用に組まれた新ユニット「クルワサン」
クロワッサンの日本人発音がそのまま名前になった。
おとといも一緒だったパクヤン、ジョアオにやさしい巨人グレッグと僕。
リハは近所だったのでパクヤンのうち、狭くてごめんね、
といわれたけど、グランドピアノとか各種楽器山ほど置けるしベランダもコテージも広い。
しかもこのアパートの1階で余裕の音量でリハが出来るのだ。
ちなみにこれ、こっちで普通みたい。苦情の話とかまだ聞いたことがない。


ミュルミュルに戻って飯と酒をいただく。
賄が出る、というのもこちらでは定番。
ミュージシャンの飲み食いは大体タダだ。
うまい赤ワイン、クロックムッシュ、ありがたくいただく。


10時から開始、なんだが、店が告知をミスっていたみたいで
お客来ないかもよ、なんていってたけど、ねえ
ここはブリュッセル
やっぱり週末のここにはパンパンに人が入っている。

長いクレッシェンドを伴うドローンからぱっと渡されてどソロ。
立奏で踊りまくりながら、「帰ってきたぞ!」と叫びながら超高速展開インプロ。
ついて来れまい、という演奏でもがっちり客が追いかけてくる。
10分ノンストップ。終わった瞬間に拍手の爆発。


これだこれ、帰ってきた。
客の喜びがダイレクトに味わえるのがこの町のライブの醍醐味。
このあとの曲交じりのプログラムはもうぶっ飛ばしで
超馬鹿な曲のような展開のから一転してハードコアまで跳んでいく超速。
客の調子を全部自分たちのものに引っ張り込み栄養にするタクシーム。
とにかく客の声がでかい、演奏と同じくらいの歓声。


ジョアオ、すげえわ、先に走りこけることも恐れないしかもクール。
ちゃんとシンバルのあるドラムだと(でもスネアが一番大口径だった)こんな表現するのか。
えーと、あの曲は、9/4拍子+16部音符3つ(って何拍子だ?)の曲の中で
高速ドラムンベースとボサノバを掛け合わしたみたいなリズム、めちゃかっこええ。
パクヤンは鍵盤なのに息切れするまで弾きまくり。
グレッグは、ああ、この人のサックス!どこまでも行ききるのだ。


1時間半1ステージ終了。
またしても拍手が爆発、でけえ、とまらない。
足を踏み鳴らし手を打ち、大声を上げるオーディエンス。
別に大ステージじゃない、アコースティックライブ、カフェでのこと。
そりゃ応えるさ。詰め合わせたようなハードコアからアホアホマーチへ。


外は多分6度くらい、あせびっしょびしょ。
働き者のスタッフが「何も考えれんくらいよかった」と絶賛。
客はうるさいくらい群がってくる。
よかったとおもったら、直接いいにくるのだ、みんな。
目が会うと人がやってくる。これこれ。


久々に再会する友人がさらにごっそり。
1年前に見て気に入ったから来たんだ!と言ってくれるお客が結構いる。
ここではやりがいがあるのは、いいライブをするといつまでも皆の記憶に残り
店や客たちが、さらにお客を連れてくる。


そしてまたきました、ライブのオファーが山ほど。
大きな個人パーティーから来年の10月のフェスまで、さまざま。
I will play as I canとこたえるしかない。
細かい予定あわせは友人たちが全部取り揃えてくれる。
日本とすべてが逆。


ついでに盟友ブラックライトオーケストラのフランスツアーに同行することが決定。
1年ぶりにパリで演奏することになる。


ほかにももう覚えきれないくらい申し出があったので友達に任せてわしゃ飲む。
スタッフお勧めのビールがめちゃうまい。

ライブの興奮はいつまでもこの場にとどまっているようでごった返す人ごみ、
無視される花売りのジプシー、数頭の大型犬、ミュージシャン、アフリカン勢、
もう無茶苦茶の深夜。


エリックが、ほら時間が変わったよ、という。
そうだ、夏時間が終わったのだ、今日から冬になる、1時間時間が戻った。
不思議な感覚。昨年はじめて味わったっけ。


ここにいるとばらばらになるまで遊んでしまいそうでそれもよいけど
楽器もって30分以上歩くし坂道も多いのでグレッグと一緒に退散。


++++


道々一緒だったのはセルビア人の音楽プロデューサーのkole。
ここでグレッグに新君の不在を伝える。
優しい巨人の悲しい顔、ひとこと彼は言った。
「ここにくれば、よかったんだよ」
そうなんだよ、俺もそう思ったんだよ。
彼と一緒に演奏してくれて、どうもありがとう。


koleは、彼の世代が今までどれほど困難にいて、
どれだけ多くの同世代の友人がいなくなってしまったかを話した。
けして暗い話なんかじゃない、つらいことも含めて現実に今を生きていくということ。
彼らが本当に音楽をすきで楽しんでいるのは、こういうリアルから来るのかもしれない。


ミュージシャンだって客だって、命がけで楽しんでるものね。


+++


家について一人、さすがに消耗を補うべく軽く温かいものを口にしようと
コンロに火を入れると、玄関に人の気配。
開けると友人がいた。


どうしてこんな時間に?顔が険しい。
彼女の家から突然放り出されたんだ、という。
まずは招きいれ(ひとんちだっけど)食事を勧めるが結構だと。


こんなとき、男友達のいる家に駆け込んでくるんだね。
そういう場所でもある、この家は。
ここがあって本当に助かった、と。
みんなにとっても特別な場所なんだよ、という。
そうだろう、サンジール、ルードサヴォア
僕らにとってはここがセントラルなんだ。


明日が早いという彼は1階のソファで休むことに。
あまりの部屋を勧めたのだけれども。
どうせ眠れぬ夜をすごすのだろう。
いつまでも携帯の画面が闇の中に光るほうへ、おやすみを。


+++


まだ来て数日のこと。
もうすでにい続けてきたような感じ。


ああ、言われるのはわかってる。
「日本に帰ってきたくなくなるでしょう」「帰ってこなくなるかと思ってた」


ならば


俺は自分の住む国の魅力を実感したいよ。
俺はどんなことがあってもちゃんと帰ると思うよ。
見たいのは音楽への真摯な愛情と感謝。
帰らないでくれ、と日本で言われることがあればもっといだろうなあ。


この夜あった初対面の何人もに
「どれだけ滞在するんだ?」といわれ答えると
「すばらしい!でも帰らないでそのままいてくれ」といわれた。
初対面ですぞ。でも嘘や方便でもないだろう。


メンバーたちにも、いなくなるとサウンドしなくなる、といわれる。
今はこの幸せをかみ締めて全力で音楽に生きる。


ちなみにこの日は告知大失敗、お客は口コミでわんさか山ほど、
勿論ノ−チャージ、カンパもなしでお店のレジから出てきたのは固定ギャラ。
食事つき、酒は極上飲み放題。
何よりうれしいのは音楽好きの客が集まること。


さあ日々ライブだ。
なんか矢鱈にいろいろなことに誘われたから忙しくなりそう。