BOILERZ+2大阪 Coolabah

BOILERZ & Friends高岡大祐:tuba+ワタンベ:ds
guest>瀬戸信行:clarinet/かめだしんじ:alto sax


大阪に帰ってきてすぐライブ。
ボイラーズに友人二人参加。
物凄く不愉快なことと、素晴らしい体験がそれぞれあった夜。


この日のことは某SNSにかいてあって、
それが勢いがあるので乱暴な文章だけど一部長文抜粋で。

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アメリカ村のスポーツバーでライブでした。
立地が凄い、道頓堀北側のラブホテルの1階。
向かいも隣も風俗店。
そこでボイラーズ+2.
地中池やロマチカオ−ケスターで一緒のリード吹き二人、
かめだしんじと瀬戸信行参加。
楽曲は地中池やロマチカ、ボイラーズの曲も少々。


演奏前に皆でビールを呑む、大黒橋。
戎橋はヒッカケ橋として有名だった、僕が生まれて初めて人前で金もらって演奏した場所、
15年前の話だ。今は見る影もない。
しかしこの大黒橋はまったく変わらない。
シャブ切れのおっさんが待機してる、浮浪者の固いレンガのベッド、得体の知れない液体。


そして大勢の野良猫たち。
突然わらわらと10匹前後の痩せた野良猫がこちらに向かってくる。
飢えているのだ、警戒しながらどうしても腹が減っているのだ。
ぎらぎらした眼で、こちらを睨みながら寄ってくる。
まずくて食えないサラミを投げるワタンベ、干し納豆を投げる俺。
人間は嫌いだが飢えないと死ぬから、用心深くやってくる猫に学んだ。


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会場に戻ったらバンド仲間の隣にとてつもなくうっとおしい白人野郎一匹。
あつかましい口調、なれなれしい態度、それ以前に顔、腐った顔。
見て1秒で気に食わない。


「え、僕ってやっぱりKY?また?」とかぬかしやがる。
何語やねんそれ、知らんわボケ、
「結構日本ながいんだけどね〜」
俺のほうが長いわハゲ、
いちいちはらたつのり。


まあ、腐れたことばかり抜かしやがって、不快で不快で仕方がない。
一緒に空気吸うのがイヤだ。
俺は自分が正しいなんて思わない、いつも。
ただ外敵は駆除したくなるだけだ。
大勢でいじめたりもしない。


ジェラス、という言葉聞こえてあたまんきた。
飯が食えなくなるまで目線と口調で追い込んだろかいワレ。
呪いを込めたメンチ叩き込む。
子供の頃からの馴染みの言葉で顔の前まで言って話す。


この馬鹿、途端でぶるって「警察呼ぶぞ」とか抜かしやがる。
俺がなんかしたら呼べやコラ、呼んでもええぞオウ、
「俺はこれ以上なにアトがついても別に屁でもないんやからな」、
と最後の言葉だけ言いかけて、これだけ脅迫になるかも、と言い止める。


とたんにコイツのフォーク持つ手がブルブル震えて
「僕は脳に障害があるんだよう、怖いこと駄目なんだよう、えーん」
誰だよ、こんな糞外人を甘やかし続けた日本人は、よう。
ドイツもコイツも優しいのとスポイルを勘違いするじゃねえか。


脳障害、絶対嘘。
脳に障害がある奴とか、精神に深い障害がある奴は、こんな都合よくいかない。
最低の嘘をつく糞白人が。
まあ別に嘘じゃなくても構わない、しかしよくこんな弱い腹見せて降参するよな。


俺が悪人だったら、弱点は美味しい付け込みどころだ。
徹底的にそこから攻めて、追い込んで、地獄に叩き込む。


++++++


とまあ、そんなことがありまして、演奏開始。
どんなに糞みたいな思いの後でも演奏はご機嫌にできます。
これがまた人には信じられない、と言われるところだ。


遅れて母が見にやってきた。
こんなラブホ街に母がやってくるのはなんか変だ。


休憩で話をすると、どうもかなり道に迷ったらしい。
この店の前も通ったんだが、
「なんや玄関にショボくてキモい外人がおって、まさかここちゃうやろう」
と思って、通り過ぎたらしい、わざわざ道を渡ってまで。
アイツやで〜。


わはははははははは。
顛末のかけらも知らない母でも
ショボいキモイ外人は見ただけで分かるのね〜。
皆で大笑い。
「ほんまショボくてキモかった」
やって。


俺が柄悪いんとちゃうねん、これは血やわ、
といったらみんな納得してくれた。


やな奴は顔見たら分かるよ。
俺なんかまだ口きいたるだけマシやと思う。
子供の頃に廻りにおった大人たちは、顔見ただけでいつも気に食わん奴ドツイてた。
「コイツ、絶対あかん奴や」
正義かどうかは知らんけど、ようは人見る目ェ養え、いうこっちゃ。


++++++


演奏のほうはといえば、こんなことがあり、
カンパ制で外人スポーツバーに群れる白人とかが中心の店ですから
音楽好きなんてそうそういやしない。
適当に酒飲んでカンパも入れずに帰っていく。
ツーリストマインド。
日本に来てまで祖国と同じ雰囲気の店行くなよ。
つるむのが好きな奴は洋の東西を問わず大嫌いだ。


でも一生懸命演奏するわけで。
フリーとか集中力で新しい局面につむいでいくタイプの演奏でこういう場所は結構やりにくい。
かなり頑張る。


がらんがらんの店内からまた一人客が帰っていく。
その日本人男性は、玄関で振り返り、にこやかに笑って大きく手を振った。
演奏中だが左手で手を振り返す。


演奏終了後、カンパ箱に何かが入っていた。
一枚のメモが千円札にホッチキスでとめられてある。


++++


 僕は耳の不自由です
 すばらしい すばらしい
 楽しかった!!


 もっと楽しみたいです


++++


追いかけたかったけどもうそこにはいなかった。


ずっと、耳の不自由な人も音楽は楽しめるはずだ、と思っていた。
俺は耳が聞こえているが、聞こえない人にでも届けるくらいで音楽だ、と。


長年の夢が叶った。


マイクもつかっていない生音で渾身の大音量演奏。
これが良かったのかもしれない。


音楽は耳で聞くだけのものではない、とずっと思っている。
無論、物語や背景を楽しむだけのものでもない。
人それぞれに感覚というのはまったく違うはずだ。
俺と同じように、ではなくて、あんただけの感覚で楽しんでくれ。
頼むからあんただけの感覚で楽しんでくれ。


お前はお前のロックンロールをやれ、といった人がいたが
俺にとってはまったく同じことだ。


どう感じたのか、どんなに楽しかったのか、話がしたかった。
筆談なんてまどろっこしいこと抜きでも良い。
勿論俺は手話なんて出来ない。
それでも生身で目を見て、俺の顔を見てもらって
俺は自分の思っていることをこの人に伝えたい。
俺の感覚で、この人の感じたことをつかんでみたい。


糸数さん、どうもありがとうございました。
俺はこの人に会いたい。
もしこれを見たら、連絡ください。