SOLO DUO TRIO@中崎町コモンカフェ

daysuke2008-03-06

飯野弥生(as,etc)ソロ
BOILERZ:高岡大祐tuba ワタンベds
岩田江(as)トリオ[中島教秀(b)光田臣(ds)]


久々にオレペコ企画のイベントに呼ばれて。
個人的に中崎町は思い出深い町だ。
子供のころに大阪自然教室、というのに参加していて事務所のあったここらには
なんやかやでよく来ていた。


モンカフェは初めてでひっそりとビルの地下。
岩田さんのバンドのベーシストの中島さん以外は古馴染み。
簡単にリハを終えてワタンベと近所を散策。
うちの近所の谷町と同様の古い下町だが、古いつくりをいかしたお洒落なお店が増えている。
暗がりに照明がこうこうとついている。


目当てのお店が見つからない。
目印になる小学校までの道筋を人に聞いた。
よくわからない、というが地図を見て分かった。
すでに数年前に廃校になっていたそのそばにある立ち飲み屋へ。
感動する。
ここは僕が生まれて初めて自分の財布から金を出して酒を飲んだ店だ。
店の中に入るとお店の人である老夫婦と2匹の兄弟猫だけ。


お店の老夫妻もまったく変わっていない、間取りも何もかもそのままだ。
兄さん姉さんらに連れてこられた時は中1か中2だった。
あの時も寒い冬だった。
初めての体験だったので、かなり詳細覚えている。


あの時隣にいた姉さんはなんかやさぐれていて、
何をしている人か聞いたら
「ヤーコのおんなや」といわれ、今(当時ね)はどうしてるか聞いたら
「いまごろ南港でコンクリの靴履かされてるわ」と一言。
あまりに大人な会話に衝撃を受ける中坊。
今から22年位前の話だと思う。


昨夜は客は俺らだけやった。
カウンターにはおばあちゃん手作りの惣菜が一列に並んでる。
スパムと芋の炒めもんつまんで、懐かしく呑んだ。
奥のストーブの前には仲良し猫2匹が寝ている。
おばあちゃんに話聞くと兄弟らしい。
猫好きの俺らは目を細める。


惣菜は豊富なんだが酒の種類が全然ないことに気がついた。
二人とも老齢で、この辺の年寄りの客も減り、仕入れも大変なんだろうな。
日本酒はワンカップ、それにエリンギ炒めを頼んだ。


おばあちゃんはビニール袋からまずフライパンを取り出し
エリンギ、ほうれん草、キャベツをゆっくり刻んでゆっくり目の前でいため始めた。
うわっ、ちょっとたまらん光景や。こっそり写真を撮った。

油でギトギトの炒めもん、つまみにワンカップ
思い出した、今コンロがあったあたりにはおでん鍋があった。
23年前の俺は豆腐のおでんつまみに、熱燗というものを初めて飲んだんやっけ。


未成年が酒飲んだらあかん!


そら、そうや。
でもガキでも酒のみたくなるときくらい、あるわな。
あきらかにただの背伸びからははじまったしな。


法律は20歳未満の飲酒を禁じとる。
20日の誕生日前日に飲む酒とその当日飲む酒とどうちゃうやろ。
まあまだそう長くない酒飲み人生、いろいろあっていま。
戦友のような音楽家同士と、気持ちのエエ奴らとだけなら
悪い酒になることもないわな。


わが酒呑み人生の発祥の地に戻れてしゃあわせやった。
「いつからやってはりますの?」と聞いたら
「たぶんアンタが生まれる前からやな」と、ぼそり。
ええな、それ。


あんじょう酔わせてもらって、おあいそ。
「ビール、値上げになるねん、でもこのビールは値上げ前に仕入れたからな」
いうて10円20円やけど引いてもろた。


いつも気持ちだけでええねん、
それだけで日々の暮らしはお互い気持ちようなる。


ええ店やったなあ、とワタンベ。

またいきましょう。


++++++++


店に帰って、すぐライブ。
最初は飯野弥生ソロ。
僕が以前やっていたバンドのメンバーだった彼女、
いまはギターの弾き語りソロをやっているではないか。

ミニギターで、基本的に歌詞のない、弾き語り。
もともと歌うの好きやったもんな。
次はしっかり言葉の乗った歌が聞きたいと思った。


お次はデュオ、つまり我ら。
品の良いブックカフェ、という感じのここでは少し場違いの感か。
もちろん1曲目から汗まみれになる自分。
なんとなく思うのだが、我らの音楽はけして御行儀良く座って黙って聴いてもらう音楽ではない。
野次と酒が似合う。
だからか、少し難しかったかな。
しかし全力でやるしかない。
なんか、蝿を退治するのに棍棒を振るっているような感じ。
ぶんぶんと、疲れるのだ、手ごたえが分からない。
とにかくやりきって終了。


最後は岩田さんのトリオ。
いろいろと昔を思い出した。
これに留めよう。


ちょっと考える。
呼んでいただいたイベントに出るのは気分良い。
しかし僕らのお客さん3人だけしかいないといのは、やはり変だ。
お客さんが来る来ないは水物時の運なのでそれほどやかましく言わない。
言っていたらこの国では続けられない。
しかし、これはないんではないかな。
これで思い出したのですよ、10年前の閉塞感を。
ミュージシャンがお客呼ばなくてはいけない、はもうなしにしたい。
お客集めに疲れて音楽のクオリティが下がるのは最悪だ。
ミュージシャンの集める客の上がりだけで儲けるお店も最悪だ。
音楽を是非楽しみにしてもらいたい、以上。


この日は思い出の店にいけたことが嬉しかった。