BOLSHOIZ@calro levi Liege

daysuke2007-10-15

リエージュへ行く最後の日程。
ヤニックは体調不良で不参加。
楽器は全部大丈夫といわれたので安心。
早めに出発して向かう。

グナワミュージシャンのアーメッドに録音に誘われたのだが
なかなか足並みそろわずに急な時間設定にたたって遅刻。
今回は無事に電車ですんなり到着。
アーメッドとうまく連絡がつかなくてとりあえず駅前で待つ。
快晴のリエージュは気持ちの良いところだ。
ボリショイズはいつも天気にも恵まれている。
やることがないので背骨伸ばす体操をする39歳二人。

別に途方にくれて落ち込んでいるのではない。


そのうちにアーメッドが若い白人の運転でやってきた。
これがまた小さい軽四サイズの車で5人と荷物で一苦労
だがこのくらいの移動には最近慣れた。


アーメッドの家に行くのかと思うくらい彼んちの近所に
スタジオがある。
小さくてシンプルでいい感じ。
HDR全盛になったこの時代ならではの快適さ。
ワタンベはドラム、デグルチーニはギター、僕はなまでマイクの準備だけ。
特に何の前触れもなくワタンベから部屋に入っていきなり録音。
こないだみんなで鼻歌でつくった「policeman is crazy」
リズムがかなり変則的で、ゲンブリというグナワの弦楽器と
歌のリズムがなかなか合致しない難しい。
どうしても2拍ずれて感じられてしまう。


しかしワタンベのドラム、アーメッド絶賛、手をたたいて喜んでいる。
次は僕。
頭使わずに体で感じたままに乗る。
ありがたいことに1発OK。
つぎはでぐっちゃんで、人の曲とかをいきなりやるのはちょっと苦手な彼。
しかし単音系で弾いているその音はちょっとアフリカっぽくて
面白かった、これまたアーメッド大受け。


次の曲はあれだ、こないだライブでやった曲。
これはさすがに染みついているのやりやすい。
非常に乗り乗りのグルーブ。
聞きながらやるとゲンブリと僕のチューバの音ってなんか似てて
区別がつかないときが多い。
ざらざらとしたアタック、ディストーションされた音色。
パーカッションのような打撃音が混じるところも良く似ている。
この曲のデグっちゃんかかなり最高で、
突然ひざのうえにギターを抱えタッピングとスライドで演奏。
普段そんなの全然しないのに。
これには一同馬鹿受け。
次のバンドが来たのであわてて終了。
しかし出来て良かった。


何に使うかは決めていないけれど、
これは君たちがここに来た足跡になるんだよ、
と彼は言う。
たまらなくうれしい。


外に出てお茶しに行こうと出かける。
途中で時計を忘れたことを思い出し取りに帰る。
ロックバンドっぽいとこのべーシストが戻してくれた。
「良いコンサートを!」といってくれる彼らに
「良いレコーディングを!」と返すとお互い笑顔。
この国では笑顔は最大の武器だ。


夕陽の当たる気持ちの良い広場に面したカフェでビール。
気持ちの良い時間、気持ちの良い人たち、おいしいビール。
楽しんでいたら突然賑やかがやってきた。
ブリュッセルからレジスの車でマチューとジム、三人でやってきた。
合流して再開を喜ぶ。
これはすごいメンバーだ、黄金の7人。

一緒にいるだけで心が豊かな気持ちになる。


今日の会場のcarlo leviへ。
ここは前からとても気になっていたのだ。
商店街の沿いにあるビリアードのあるバー、
スタッフも客もやたらに刺青ピアスのパンクス多く
よそもんには入りにくい雰囲気パンパン。

バー部分の奥に小さなステージと PAがある。
いかつすぎる人たちにあいさつして積み込み。


ほどなくサウンドチェック、PA担当のジョージはこれまた年期の入った
パンクスで親切で気が良い。
場所はやたら響くので風呂場でやってるみたい轟音で
PAもでかい音出すのでぼわんぼわんする。
僕の借り物のベーアンは300wかなりパワフル。
ビリヤードしてた顔中ピアスでいかつすぎる兄ちゃんのもの、
壊さない限りどうしても良い、と言ってくれる。
ここにいる人たち、見かけはいかつすぎるが親切だ。


ある程度チェックして終了。
ビールもらって落ち着いていたらディナーの時間。
緑色のとろとろのスープが出てきた。
各種野菜がすりつぶされていてほのかに辛くておいしい。
これだけかな、それでもいいや、と思っていたらとんでもない、
次々料理が出てくる。
芋を半分すりつぶしてクリームを混ぜたマッシュとバットに入れてオーブンで焼いたもの。
味付けはスブタそっくり野菜のみのもの。
これはたぶんアジア人である我らへの計らい。
それに大盛りのサラダと白米。
これらを自分らの好きなだけとって食べる。
スタッフと一緒に食べるこのご飯、ものすごいおいしい。
後でキッチン覗いたら調味料も厳選されたオーガニックビーガン、完全菜食主義用。
「うちはレストランじゃないからたいしたことないけど」
なんて言ってるご飯つくってくれたオーストラリア人パンクスは
巨漢でもちろん刺青ピアスだらけでめちゃ怖い見かけだが
ハートも料理の腕も最高だ。


ライブ前にはこれがまたさらにかなりエエ年こいたパンクスがガンガンやってくる。

女の子率、非常に低し。
やるしかなく開始。
さすがに音はボワンボワンで苦しいところはあるがんなもんきんしてらっれか、で飛ばす。
最初はぽかんとしてた連中も徐々に動き出す。
後でマチューに聞いたら「な、なんじゃこりゃあああああ」ってあっけに取られていたらしい皆。
なんか西成の中で演奏してるみたいなおっさんドロドロパワーに満たされる会場。


2部は最初に一発三人でかましてからアーメッドをお招き。
彼のゲンブリの音もここには苦戦。しかしもう馴染んだ我らのグルーブでがむしゃら。
ラストスパートはこれで最後とばかりに轟音さ加減も頂点。
踊り狂うオールドパンクス。


終演後はそこらじゅうをふらふらして御当地パンクスめぐり。
みんな話してると滅茶苦茶オモロイ。
貧乏人ばかりでケチ多いと聞いていたがCDもいい感じで売れていく。


なんか凄いモンらにまみれて夜は老けていく。
またこいよ、必ずだぞ、と皆がいう。
なんかしらんが、滅茶苦茶気の良い奴ら。
また会いに来る、今度はふらりと飲みに来るよ。
勿論ライブも。


アーメッドの家に三人で向かいひと段落。
これでベルギー終わりの我らは少し打ちあがりたい。
勝手知ったるこのあたり、まずは歩いてスルレへ。
リエージュの夜は比較的早い。店は軒並み閉まっている。
スルレも閉まっていた。残念。こないだの礼を言いたかった。
小腹を満たすためにモロッコ系のスナックへ。
軽く乾杯。お疲れ様。
このスナック、やる気ねえなあ、BXL近隣のスナックの高品質を確認した。


ボリショイズはこの旅をして、素晴らしいものを沢山得た。
帰ってからもずっこけずに転がり続けたい。
色々話し込み、アーメッドの家の近所の歴史的大階段をオッサン3人でひいこら言って登って
頂上からオレンジ色に咽ぶリエージュを眺めて。
帰ったら即寝。