daysuke&friends@cafe murmure BXL

daysuke2007-10-13

朝起きるともう結構いい時間だった。
子供部屋の向こう岸で寝ているワタンベをたたき起こして散歩へ誘う。
是非ここらを誰かに見て欲しかったのだ。
ふらりと出て迷宮の階段を登り柵を越えて公園へ入る。
リエージュが少し高台から一望できる。美しい誰も居ない公園。
寝ぼけ眼でもこの人はいつでも最高の笑顔だ。
 


戻って朝食を頂く。
アラブのパンは熱々でうまい。
ここでもアーメッドはずっと歌っていて僕らも自然とずっと歌って踊っている。
ずっと音楽がある感じ。

そして会話は生きることと音楽の話。

「音楽ってのは(胸を指して)ここでやるもんなんだよ、ハートから伝わる熱さ、
 ここ(頭を指して)でやる音楽は良くないね、そういうのはね、えーっとえーっと」
アーメッドはそんなに英語が得意ではないのだがいつもはっきりとモノをいう。
ここで思いつかなかった彼はキチンで冷凍庫の扉を開けて
「この中身みたいになっちまうんだよ、わっはははははは!」と大笑い。
音楽は、ただやるだけ、だ。


昼前に中ノ島の行きつけのカフェで集合。
やけにノスタルジックな男が来たと思ったらデグルチーニ
ヤネックもやってきた。
ちなみに彼のシャツは何故か女物の下着でピンク、超謎。
5人で歌って笑ってお茶して素敵な時間。
このリエージュの二人、本当に色々助けてくれた。


用事のあるアーメッドと分かれてヤネックの車で帰途、その前にお願いの場所へ。
彼が持ってる簡易な動画撮影カメラ、聞くとこれがどえらく安くて便利そう。
20ユーロちょっとでボリショイズの映像記録が出来るのなら、と探しに。
郊外のショッピングモールの中古屋へ。
楽器類などもたくさんある、小さなコメ兵。
偶然にも目当てのものがあった、それだけやたら安い。
オモチャみたいだけどちゃんとした記録をするつもりはないし
廉価だし決定、ゲット。


そのままの足でリエージュ駅へ。
ヤネックに感謝の挨拶をしてホームへ向かうともうすぐ出発。
リエージュ名物ワッフルを慌てて買うデグルチーニを急かして乗り込む。
しかし何か様子がおかしい、電車が立派過ぎる・・・。
やっちまった、これはフランスまでいけてしまう有名な新幹線TGVだ。
ブリュッセルにとまるのだが我らのパスは安い安いレールパス。

これは青春18キップで新幹線にのったようなもので、まあヤバイ。
追加取られたらすぐに払おう、と話す。
ただでさえレイルパスでも乗る前に一筆書いておかないとキセル扱いになって70ユーロ取られるという、
いったいいくら取られるのか想像もつかない。
チェックする人までえスーツ着てて高そう、まあチケットを出してみるとチェックして
これでは乗れないけど今度はちゃんと予約席を買うんだよ、とさらっといってOK.
一同胸をなでおろす。
今回のリエージュは全てがうまく行く。


あっというまにMIDI駅についてトラムに乗り換えてエリックホームに帰る。
ここで休憩を取って作業をし夜のライブへ。
最早なじみとなってきたカフェミュウミュウ
ヤニックの車で向かい準備、今日もエレクトロニクスセットwithベースアンプ。
メンバーはこの二人に前回飛び入りしてくれたギターのクレモンと今回初共演のマルティ。
クレモンはなんとなく日本人ぽくて秋葉原に居そうな顔、マルティはがっちりで長髪、
なんとなくドラびでおの一楽さんに似ている。
セッティングの位置きめをしてちょっとチェック。
クレモンは前回よりパワーのあるアンプを持ってきていて聞こえやすい。
マルティはすでに本気モードの演奏で熱い。
ほとんどライブのりの状態で完了。


間に飯を食いに行くことに。
近所の安くて美味しいピザ屋は週末の夜ということで大賑わいのためアウト。
アラブ系の定食屋へ四人で。
プレートの上に乗るものを選んで組み合わせていく。
僕はチキンとコーンのフライにマッシュドポテトと野菜。
それにこちら特有の甘い炭酸茶でセット。
味はまあ学食的な感じ。ポテトが多いのはベルギーだからか。
4人で終始音楽の話し、というか僕が日本の音楽のことを問われるままに答える。
気がつけば僕がずっと話し込んでることに。
言っておくけど僕の英語力は物凄くたいしたこと無い。
相変わらず「英語喋れる?」ときかれると「ほんの少し」というし実際ダメ。
しかしリスニングよりも話すほうが得意だ。


戻って演奏、まだ客は少ない8時半。
9時くらいにはこれがどんどん入って満員になってきた。
演奏はアコースティック系中心で熱くヒート。
クレモンの出す音が面白い、たいしてエフェクターを使っていないけど変な音がする。
だらだら漫然とした演奏をする人が多い中で彼はちょっと違う。
マルティはみかけも熱い演奏だが、フリーキーな音ばかりに終始するわけではなく音色にも
こだわりが見受けられる。
ヤニックは今日は耳栓をしていないらしいがそのほうが演奏も圧倒的に良い。


2部の前の休憩でやたらな勢いで駆けつけてきた若い男が食いかかってきた。
なんだろうと思ったら文句は僕が置いていた例の動画カメラにあるらしい。
「なんでお前自分が入ってないんだ」
「いや、俺自分の映像嫌いでさ」
「俺はプロのビデオキャメラマンだ、こんなのは耐えられない」
「いや、見たとおりオモチャだし今日買ったばかりのテストで」
「だったら俺に撮らせろ!」
どうやら演奏気に入ってくれたらしく、こんなのでもちゃんと撮ったほうが良いという。
メモリもあんまりないし電池もいつまであるか、だがそんなにいうなら、と任せる。


2部にはさらにゲストが参入。
マイスペースで知って申し込んできたクリストフというtb吹きとヤニックの友人のパスカルというtuba吹き。
いきおいブラスバンド的な集まりになってきた。
せっかくなので最初はホーン隊だけのインプロに設定。
クリストフもパスカルも達者だ。
何故か演奏しながら合間に煙草に火をつけるパスカル、意味が分からんけど苦手なので逃げる。
まあフランス系人種はどこでもいつでも煙草吸いだ。
クリストフは変態系の音多し。
僕はtubaの音すでにあるのでは特に必要なしと判断してエレクトロニクス系でアプローチ。
やりたいことというよりも必要なことを選択。
傍目に聞くとまあ元気があってよい演奏なんではないだろうか。

個人的にはジャズ的手法にまみれた管楽器の演奏というのにほとんど興味が無くて
管楽器でわくわくすることは非常にまれなのでしょうがない。
結構地味な演奏に専念する。
生音よりクレモンがたまに出す奇妙な音色のほうが興味をひかれる。
んな感じ。
時間は手短に終わったのでまあいい感じかと。


どうもリエージュで居た感触が残っていて「頭の音楽」って感じのものに入り込めないのか。
しかしその中でもやれるだけやったと思う。
終わってからは例のカメラマンや共演者との話し。
店内はあふれ帰る人人人、店外にも信じられないくらいの人たちがあふれている。

演奏でのフィット感はさておきみな気の良い面白い奴らなので話は弾む。
マルティはなんだかすごい真面目だ。
とにかくビールもうまい。
そのうちぎちぎちの店内でパスカルとその友人のサックス吹きが突然デュオを始めた。
これに参加、こっちのほうがなんとなく本編より面白い。
客もいい感じで反応。


しかしあまりに人が多すぎる。なんだこの日は。

もはや飽きたので帰ろうとするがヤニックはなんだか友達と話し込んで帰りたくないと
それなら、と自分の楽器と機材を持って勝手に帰る。
イヤなんだ、自分の自由がないのは。重くて辛いほうが待つよりも全然いい。
大変だったけど40分近く歩いて帰宅。死に寝。