BOLSHOIZ with Ahmed Zourhbad@Le Surlet liege

daysuke2007-10-12

さすがに昼前まで寝ていた。
しかし今日はリエージュに出張だ。
あんまりゆっくりは出来ない。


昼頃にヤニックと会談すると車も用意できず体調も非常に悪いということで
今日は参加しないことに。
まあしょうがない、いろいろ考えて電車で向かうことに。
カンジも一緒に行くことに相成った。
出発の前にヤニックに付き添ってもらって携帯のカードの追加へ。
なんでも買い方次第で色々なオプションがつくらしい。
まずはヤニックと銀行へ行って彼の口座に金を入金してそれで買おうとして失敗。
結局現金でその辺の電話屋で追加を購入、ちょっとしたテクを使って100分無料をゲット。
これは絶対自力では無理だ。


ボリショイズとダンサーは集合してまずは路面電車トラムでMIDI(南)駅へ。
ここから一路リエージュへ向かう電車旅。
なんかいつもより貧乏臭い車両だなあと思ったら準急だったのは後の祭り。

着くのが結構遅れてしまい駅で待ち合わせしていたヤネック(ヤニックとは別人)に申し訳ない。
しかしこれが全然気にしない男である、ヤネック。
本名ヤンコワルスキーなんたら。ポーランド系。
パーカッション奏者でサウンドエンジニアでオーガナイザー。
リエージュに来たミュージシャンの世話焼き面倒見係。
最初はなんだか変な表情と押しの強さで凄く苦手で喧嘩ばかりしていたのだが
よくよく話してみると単純にかなりの変わり者なだけでいい奴だ。
音楽に対する愛情と熱意、そして無限にサポートしてくれる、本当にありがたい。
いつものとんでもないボロ車で中ノ島の店Le Surletへ。


着いてみたら椅子もテーブルもどけられていてステージが用意されている。
お客はまばら、その中で準備。
トリオには十分広いステージだ。
ギターアンプもドラムもベースアンプも全部ヤネックが用意してくれていた。
ベーアンは実際はキーボードアンプで使用経験のある使いやすいものだ。
ギターアンプフェンダーの新しい奴で最高。
ドラムはオンボロだがドラマーのものなので全然OK。万全だ。
そうこうしているとアーメッドも駆けつけた。
リエージュ在住のモロッコ・グナワミュージシャン。
今回のブッキングもやってくれた、頼りになる人だ。
再会を喜び、挨拶を交わす。
PAはお店にあったものだがこれに繋ぐラインが無いということで僕のケーブルを一本貸すと
ヤネックはあっという間に解体してステレオケーブルを作ってつなげてしまった。
アーメッドののサウンドチェックもやってしまう。
PAモニタースピーカーの近くに陣取りモロッコの弦楽器ゲンブリに繋ぐ。
特製らしくピックアップがセットされ、弦はペグで固定されている。
極度に低音が出る楽器なのでなかなか拾うのが難しい。

アーメッドがチェックをしているだけで大喜びで踊り歌いだすモロカン。
彼はここで愛されている。


終了後はビールでも飲んでふらふら。
僕はモロッコカフェならばとミントティを注文。
生のミントが詰め込まれた薫り高いこのお茶が病みつき。


そのうち夕飯の支度が出来たから、と誘われる。
僕はあんまり腹減った無かったのだが着いていくと
裏に普通の家庭のキッチンのような部屋がありそこに大振りのタジン鍋が。
本物の家庭のクスクスだ!
羊の肉と野菜がごろごろと入っていてたまらない香り。
これは頂かなくては。
一同食べて驚く、こんなに美味しいクスクスは食べたことが無い。

店屋では結構食べているものの、こんなにうまいとは!
やはり家庭の味が最高だ。
皆黙々と食べ続ける、デグルチーニは最早とどまるところを知らない。


食いすぎた、しかし幸せだ。口々に賞賛の嵐。
表に出ると在住邦人トシさんやこの地で知った顔、友人たちが駆けつけてくれた。
気がつけば店内はかなりの人だかりだ。
アイツやばい、と言われた先にはカールゴッチ風のおじさん、この酔いどれ天国において
多数のバーから出入り禁止にされているという噂。
いきなり僕のところにやってきてもの凄い変なことをいう。
「こないだ買ったお前のソロCDは最高に良かった
 で、お前は日本で何人の人を殺した?」
how many parsons you killed in japan?
で、ある、いきなり。
ノー、と叫ぶ声が街路にこだました。


ライブはトリオとカンジのダンス。
カンジは鏡台を作り演奏開始と同時に人前で化粧して着替えてゆっくり踊り始める。
我らの演奏はそんなもんじゃなくて轟音でポンコツに疾走。
最初はいつもそうだが客は思いっきりポカンとしてから乗り出す。
いつものクレイジーダンスおばちゃんも勿論来ている。ガンガン踊ってるわ。
最初は用心深そうに見ていた客も踊り始めた。カンジのダンスもエスカレート。


1部は熱がだんだん伝わってきている、という感じで終了。
それでも日本に比べれば熱狂的な歓声だ。
汗びしょ、店内は猛烈に暑いのだ。
表に出ると涼しい、客はここにもあふれかえっている。
トシさんと大馬鹿話を沢山する。


2部の開始はアーメッドのソロをお願いした。
引き受けてくれて彼が出る。
短い挨拶の後にゲンブリが、最初は小さく唸り始めてまるで遠心力が大きな力を生むかのように
力強く回り始める。
僕の感覚で言う、GYROだ。
強い回転が引力と重力を生む。
客はもう熱狂の渦だ。
ロッコバーであるここは当然モロッコ人率高し。
かといって人種は混交しているのがベルギーの特徴だ。
踊り手拍子お囃子はすごいことになってここはカサブランカマラケシュエッサウィラか。
この後に我らはやるのか。
すぐに彼が我らを招いてくれる。
テンポの速い曲、ぐいぐい僕らを引っ張る。
僕は菱の循環呼吸で彼のゲンブリのラインをトレース。
ワタンベはもうわき目も振らずに叩けるものを叩いている。
決め事の無いところで窮地に立つことも多いデグルチーニだがアーメッドが彼を誘う。
マイナーコードの上にメジャーがガツンと乗って動いてなんだかアフリカのギターみたいだ。
この演奏は物凄い渦、信じられないような熱狂を生んだ。


アーメッドは下がって我らだけになるが、もう勢いは止められない、何かを得た。
熱も速度も特級だ。
客はもはや狂乱状態を止めない、無茶苦茶の様相。
どうやって終わったか定かな記憶が無い。
素晴らしかったのであろう。


おいしくビールをさらに飲み干す。
押し寄せてくる客のために何枚CDを売ったか覚えていない。
アーメッドと共演を喜ぶ。
グナワとパンクロックの融合、グナワパンク!
しかもボリショイズ。
メンバー三人とも興奮冷めやらず。
勢いは止まらない。


最早グダグダの酔っ払いと化した観衆を残してワタンベと僕はアーメッドの家で世話になるので退散。、
店主ヤーヤにも大感謝、いつでも帰ってきてくれとのこと。
こちらでは社交辞令は好まれない、非常に嬉しい。
再会を約束し出発。


初めてアーメッド邸に向かうワタンベはさすがに疲れているがこの町並みに驚く。
ここはマラケシュか、中世の迷宮か。
恐ろしく美しい場所だ。
あっという間にバタンキュー。