トゥルネーに移動、カンジとデュオ

daysuke2007-09-12

9月16日写真追加しました。


さすがに起きたくない、でも目覚ましより早く9時半に起きた。
朝食を取る、こういうときは食べないと持たないし、そろそろヤバイ食材も多い。
今日から旅に出てパリから帰ってきたらもう来週なのだ。
ありったけの野菜を軽く炒めて醤油とハーブ入れてタイ米でかけご飯。
インゲンとセロリがたくさんで美味しい。
でかい丼いっぱい食べる。


荷物のパッキングが結構大変でまだ返ってばかりの荷物の仕分けと準備が交錯。
あっという間に時間になってしまい、11時ダニエル到着で二人でリハーサル。
ここらへんで一応言っては置いたのだがなんでこんなタイミングでリハをするのか理解に苦しむ旨を伝える。
しかもディレイ使ってって。代用でアンプ使用してリハ。
しかしいかんせん時間が足りなくて理解が進む前にタイムアウト
今日は全員での移動なのだ、足を引っ張るわけには行かない。
積み込みの出発直前まで走り回って準備して乗り込む。
リエージュで知り合った困ったちゃん、通称ブルーがいてこちらもブルー。
この冴えない青い高見沢、勝手に我らの飯をただ食いするし、飲物ぱくるし、
終了後のステージを占拠して迷惑な歌を延々叫ぶし、俺は大嫌いだ。
何でこいつが車にいるのかさっぱり分からない。


グレッグの家に行ってさらに子供鉅人の荷物とメンバーなど積み込む。
予定より(ブルーとかもいて)人が多いし大変だ、ノエとパトリックの車2大パンパン。
あっという間に田園風景に入り込み寝不足もあって沈没。
気がついたら高速を降りて田舎らしい町を走行、ここはすでにトゥルネーらしい。
ベルギー最古の古都、町を抜けて一度間違い川沿いでストップ。
この時点ではここが何なのか分からないが、主人のダビッドが出てきて挨拶。
物凄い古い大きい納屋のような馬小屋だったらしい場所、目の前の船をたくさんの船がゆっくり行き来する。
川沿いは好きだ、今日はとても天気も良いしのんびりする。


ここでもトイレは謎で、男小は「PIPI ROOM OMME」と書かれていて樋が川に流れ込むだけの仕組み。

見てないけど女性用は、まあ猫の砂トイレの人間版だったらしい。
なんだかベルギーは下水道が無いところでも住むというのが常識なのか。
PAの機材が届くという噂でそれまでは全然動くことも出来ないのでひたすらのんびり。
今日はカンジと僕のショー中心なのでプログラムを考えておく。
アコースティックとエレクトリック。


まあ機材が全然来ないんだが、この旅でカリカリしてもしょうがないし(性分だけど)
自分のオーガナイズ関連で無い場合はどんなトラブルがあっても気にしないで置こうと決めた。
こなけりゃこないで、いいや、くらい。
そのうち感じの良い女性が食べ物を運んでくれていただきます。
かりっと美味しいパンと新鮮なハーブサラダ、それに芋と豆と豚肉の煮込みで肉じゃがそっくりの、
ほっとする味、大変美味しい。
聞いてみると、味の決め手はビールだという。
噂のビール料理!ご馳走様です。
そういえばこちらでは家庭料理の味付けで不満、ということがない。
僕は今回ほとんど外食らしい外食はしていない、家庭料理を頂く機会が多い。
どれもこれも毎日食べたい味だ。
ベルギーの田舎の料理はフランスの古い料理法が残っているらしい。
素朴で量も多くて味もはっきりしてるとか。
素材の味がよく分かるので大変好みだ。


もはや満杯の人、外は寒いのだが中は煙い。居場所に困る。
表ではマチューの親友ジムが焚き火を興している。

火の周りに行くと、楽しい。


開演時間も過ぎた頃にやっとPAが登場。
なんだか居丈高で好かん、と思っていたら先月末の日本橋でやってたちょっと変な二人組みだ。
片方のチックコリアに似た人がかなり変で、人の話を聞かないでゆっくり喋る。
編成の説明を聞かれて説明しようとしたら、途中で中断してどこかに行っちまった。
案の定必要のなさそうなものまで持ってくる、意味なし。
ちなみにPAマンは日本はレベル高いんだと思う。
この人たちもけして腕は悪くないのだが、人が変なのだ。
あらためて準備を伝えてセッティング。
3人しかステージに上がらない予定にしてはやたらに充実した設備。
大げさである。
こちらのディレイなどの準備は完了しているのでサウンドチェック終了で開演。


最初はマー君の口上である。
芸者もの、なんだかいつもとテンションが違っていて楽しかった。
その後は我がソロ。アコースティックでやるつもりだったんだけどモニターなども用意してもらって
流れ的にあれなのでいきなりエレキ使用ソロにする。
tubaの低音がぶいんぶいんディレイで飛ばされているうちに
ブレーカーダウン・・・。
この家、もともと電気なんか無いのにむりやり1本だけ引いてきたコードで家もバーも
PAも全部やってるんでさすがの220Vでも無理アウト。
暗闇の中すぐにアコースティックソロに変更する。
誰かが蝋燭を集めてくれた。ありがたい。
ストラップが無いので大変やりにくいが何とかやっていると電気復帰。
こわごわ再びエレキもやって終了。
後で聞くと電気消えたのは演出だと思っていた人も多いそうである。


ここでカンジを迎えてダンスとのセッション。
座った時に気がついたのだ、真横にあるバーカウンターの壁の一部はなんとピアノの内部で
つくられていて、弦が全部むき出し。これはやらないわけにはいかない。
50セント硬貨を2枚用意して直弾き。超暗黒ムード。
これがカンジダンスには合っていた、と思う。
この演奏と少しのボイスだけでこのセット終了して1部を〆る。


外で和んでいると、ひげのおじさんが話しかけてきてなんでもイラストレーターで
あのピアノの内臓はこのおじさんがプレゼントしたものだそうである。
いままで何人かの人がアレを使ったそうだが、今日のがベストだと言ってくれた。
「君たち日本人の表現に比べると我々欧州人はまるで原始人になったような気がするよ」
いや、それはこの後にまったく違う観想を持つことになってしまう。


2部の最初ミチさんにソロを振った。
「この人は我らのメルヘン番長だ」と紹介する。
PAも借りてちょうど良い感じ。
しかしちょっと長かった、後がつかえているのでよろしくない。
しかし満腹状態までやってもらいその後はかんちゃんのソロダンスへ。
無音で集中力と構成力を必要とする無音のダンスを見てみたかったのでお願いしたのだ。
緊張感もあり非常に良い感じ、なのだが、俺の隣にいる太った女とその連れたちが
非常にいい加減な感じで、うるさい、邪魔。
しかし参加者が文句いうのもナニなんで、客席から黙れの声もあって静かになるもすぐにダメ。
頭にきた、この田舎モノが。
カンジの美しいからだとこの醜い浅ましい女のコントラストで怒りに火がついた。
次は仕切りなおしてデュオになるはずだったが流れによって変更してそのままステージに入った。


tuba用のマイクを口元に、ディレイのセッティングを最大ウェットノンドライの逆回転にして
田舎モノへの呪詛を日本語、というか大阪ヤカラ語で怒鳴り散らす。
予想外の独特のリズムと怒気が不思議な流れを作ってうねりまくる。
くるくると床を回転して行くカンジを祭壇に祭り上げるかのようにエスカレート。
ちょっとここにはかけないが、まあひどい日本語(卑猥なものではない)の逆回転。
この瞬間が一番人が集まって面白かった、らしい。
さすがの白人も怒気だけは分かったのだろう、黙った。
でぐっちゃんには大受けのようで後で「ハードコアやな」とお褒めを頂くが
いえ、ただ単に柄が悪くて性根が腐っているだけです。
しかし音は絶対的に面白かったと思う。


最後のセットってことで波多野さんを呼び三人でステージ。
アコースティックな感じではじめたものの、なんかあんまり乗ってこない。
何かの、音楽の枠内での即興演奏って感じで、音楽が自律して持つ生命力のようなものがない。
残念ながら僕もこういうときにはかなり死に体になってしまう。
客もそれくらいは分かるのだろう、結構外に出た。
自分も乗っていない、これはダメだ。
どうやって終わったか分からないがとにかく終わった。


後はゆっくりのんびり仲間たちと酒宴。

PAのチックコリアにえらい絶賛される。俺のこと嫌いなのではなかったのか。
まあテクニカルな部分では助かった、トラブルも多かったけど。
こちらでの最大手ビール、ジュピラーを飲んで、ウェストマルというきついビールは売り切れ、
地元産のトロールというビールはなんだかさわやかで美味しい。
最後は茶色くてこくのあるleffeで〆る。


今日は大人数のために分かれての宿泊だ。
ご飯を持って来てくれたエヴリンとカウンターで働きながら酔っ払っていたマリーンの新婚夫婦宅に。
車で1kmくらいのところにある家はあんだか凄い風格。
中に入って落ち着いたらテーブルに集まり、フランス田舎産のラベルなし赤ワインやハーブティー
ベルギーチョコなどでしめやかに。
家の事を聞くと、なんとここは築500年だという。
5世紀!もはや中世の真っ只中。感激だ。
ここから日本とベルギーの経済事情や子供や教育のことなど
エヴリンの英語はかなり分かりやすいので話も弾む。
あとでみなが順番にピアノを披露する。
エヴリンは習っているところだというがとても感じよい曲を弾いてくれて
これ誰?というとヤンティエルセン、ということ。
同世代のフランスマルチ音楽家アメリで一躍有名になった人である。
これにも感激した。
さらにでぐっちゃんが「いつぞや」を歌ってくれた。
これにも感激、なんだか感激してばっかりである。


ここらで旦那のマリーンが妹さんとジムを連れて返ってきて
宴会に突入。日本人も一人一人脱落していくがこの寝不足疲れの中、楽しくて朝5時くらいまで起きてた。
ふかふかのソファーをベッドにして撃沈。