リエージュへ到着、クレアムとの再会、ブンブンバスツアー、グナワと

daysuke2007-09-03

明日からリエージュへ行きます。
2年ぶり、ブリュッセルから電車で1時間、早朝です。
http://daysuke.seesaa.net/
ここで検索窓にて「リエージュ」と入れるとどんなところか分かる。
懐かしいクレアムへ、今度はワークショップアニメーターに変身。


ブリュッセルっ子曰くリエージュはベルギーの大阪、
カワイコちゃんたくさんだそうで、
前回ただの旅行者として行ったよりもディープに楽しめそうです。
ワッフル発祥の地ね。


1週間ほど、ネット環境の有無が分かりません。
メールなど出来る限りチェックしますので、gmailへ。
旅の中の旅に出かけます。

ここまでは出発前にかいた日記


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ここからは現地の日記です。


初めて目覚ましを仕込んでいた朝、しかしそれよりはやくきっちり目が覚める。
外は雨模様だ、この大移動の朝に、と気が重い。


この日がいろいろな素晴らしいことが起こる。


荷物をまとめてキッチンへ降りて食事を取る。
相変わらず朝食はしっかり食べる。
BLOグレッグのうちから迎えに来てくれたダンサーのかんちゃんにマチューのアコーディオンを預け
連れて行ってもらってグレッグ邸へ。
雨の中の移動はすでにかなり辛い。
家に入るとグレッグはパンイチで寝ていた、子供鉅人たちが準備に忙しそう。
起きたグレッグはいきなり何か弦楽器を取り出して演奏してくれた。
ゲンブリだ。モロッコのグナワといわれる人たちの楽器で、彼の地のトランスミュージックに欠かせない。
かなり感激する。いつか本物を見たいと思っていたのがここでついに。
パンイチで器用に演奏する巨人に感謝。
予定より10分以上送れて出発。雨脚はさらに強い。
ミディ駅までの歩く道のりを少し迷ってしまった。人に道を聞いて探し回る。
駅構内に着いたときには発車時刻5分前をきっていて、もうこれは駄目だと思った時に
マチューと電撃的に出会い、チケットを買って6番線へ全力ダッシュ
全員が階段を上がったところでドアが閉まった。超ギリギリセーフ。
雨でびしょぬれで大量の荷物を持って走ったのでかなり疲れた。
広い車内でひたすらくつろぐ。
車窓からは暗い空の下、田園風景が美しい。


1時間強の移動でリエージュ駅へ到着。
オーバーオール姿のヤネックと対面、彼がいろいろと世話を焼いてくれるらしい。
油の匂いが非常に強いボロボロのバンに乗り込んで一路クレアムへ。

窓から見える風景に見覚えあり。2年ぶりだ。
クレアム、懐かしい場所だ。
入り口も中も絵などの展示物は変わっているが雰囲気は変わっていない。
ここはハンディキャップ・アーティストの場で、演劇、美術、音楽などの分野で目覚しい活躍を
し注目されているアートセンターだ。
アーティストであるハンデキャッパーたちや彼らに場を与え作品の流通などにも奔走する
優秀にして強靭なスタッフたち。
2年前に渋さで訪れた時も非常に感銘を受けた。今回や、いかに。


今回かかわる4人のアーティストと、アニメーターと言われる指導員という感じのことをやっている二人に挨拶。
全員、前回も一緒に参加した。
アニメーター、頭に刺青のある以外は非常に真摯なスキンヘッドのアランと長身のダンサー、カティとは
前回のワークショップ(WS)でお互い覚えている。

まずはいきなり自己紹介代わりにさっそくWSに参加。
クレアムのやり方を紹介したい、と提案してアランにシアターで指導してもらう。
円周上に並んで一言ずつ美しい言葉(何でも構わない)を投げかいあう。
どんどん大きくなっていく架空のボールを投げ合って皆で遊びまくる。
なんだか知らんが滅茶苦茶盛り上がるし、普通に楽しい。
これでつかみはばっちり。


昼食にカティのスープを頂いて日本チームは各種買い物をスーパーでしての昼食。
パンハムチーズに温かいスープ。嬉しい。
日差しの照ってきた日あたりの良い暖かい部屋でクレアムメンバーたちが多数くつろいでいる。
不思議な形のビリヤードがある。
日本茶をもらって午前の感想出しと午後からとこれからのWS、そして全体発表の場のつくりについて。
かなりの事を作らないといけない、座長まーくんの耳から煙が大量に出る。
僕は僕で音楽面での参加について考えないといけない。
WSや発表の場(スペクタクルという)を分けるのではなく、演劇の一部としてあるようにしようかと。
昼の時間で楽器を持ってきてもらう。
ここのアーティストたちは基本的に何でもやるマルチだ。
うちの三人がトランペット、サックス、遅れてここでのスターであるアラン(アニメーターとは別人)が
アコーディオンで参加してくれる。
完成形をきめたものをやるとあっという間に飽きてしまう彼ら(いや、ほんとに素直だと思う)、
感性形は決めない、アクト、ムーブ、自由度の高いもののほうが盛り上がるしうまくいく。
分かりやすく最初は楽器で会話しようよ、と。
おずおずと独りずつ、まさにうまくいかない会話のように音をぽろぽろ、
アランが参加すると無法にアコーディオンを演奏はじめるあたりで座が乱れて
みんなそれぞれ勝手に演奏するようになってきた。
劇団員たちは鑑賞、非常に好評。


今度はかんちゃんとダンスをするアーティストの女性をステージに上げ、踊りと音の試み。
笑顔のかわいい女の子、かんちゃんのダンスを見てかなり腰が引けてしまった模様で
ダンサーのカティもあがって手を繋いで踊り始めたあたりから素晴らしく良い感じに。
演奏ものびのびやらせてもらった。


この日最後のプログラムは影絵。
白い幕を張って裏からライトを当てて人が全身で影を投影して即興演技するもの。
これは前回のポイントゼロでの子供鉅人公演で行われていた。
これにアランとマー君と女優バブちゃんが参加。
ただでさえ面白い影絵パフォーマンスなのだがアランがリードしまくっていて物凄いことに。
長尺の迫力ある演技に拍手。
これには逆に音楽は付けないほうが良いだろうと判断する。
これでこの日のWSは終了。


事務所に上がってお茶をしてまた会議。
ここの事務所にはかなりの数のここのアートがあって前回来たときもかなり感激した、
今回さらに作品数は増えて見ごたえたっぷりで楽しい。
日本で現在紹介されている展示のポスターもあった。
粗悪な写真では100分の1もその魅力は伝えられない、触れる距離にあってこそ輝きが伝わる。

pcでポスターデザインの直しなどの作業をやるもの、こちらはLANを借りてちょっとだけネット、
メールチェックなど。
夕方前にここを退出して宿舎へ、再びヤネックの車へ。
どうも見覚えのある場所だと思ったら、前回渋さの別働隊が泊まっていた場所に違いない。
le Zoneだ。
2段ベッドが人数分くらいある一部屋を借りる。
冷蔵庫みたいなのはタダの棚ってのがご愛嬌。
キッチンもあるしシャワーもトイレもある。


気がついたらまた腹ペコなので食事へいこうと。
しかしみんなかなり若者(最年少はほぼ半分の年だ)なのでわかるが同じペースで腹が減る、
このtuba吹きのオッサンは、いかがなものか。


クレアムの近所まで戻ってバーっぽいレストランへ。
表の看板でメニューをチェック。
みんなスパゲティにするそうだがイタリア以外で(たまにイタリアでも)たまにある目にあうので
自主独立でメニューを選ぶ。
ビールは生が合ったのでヒューガルテン(ウーガルテン)を。
久しぶり、うまい。
僕はブーレメゾン、まあありていにいうと肉団子プレート。
独り暮らしくらいの大きさの冷蔵庫に狭いキッチンで退廃的なおばさんが独りで作るかと思うと
いささか不安、というか、手伝おうか、この人数だし。
とか思ったら結構手際よく出てきた。
大きな肉団子トマト煮込み、やはり大量のフリット(揚げ芋)、サラダ、パン。
腹ペコならではの食欲、皆のパスタはまー君曰く「こんなマズイの初めて食べた」。
なぜか芯がなくなるまでゆでるところが多いのだ、欧州は。
とにかく腹は朽ちた。


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ここから先のことは幸運としか言えないし、また一つ夢が適った。


食事後にバーにたくさんの若者たちがやってきた。
小柄ではきはきした女性と挨拶、明日からデグルチーニが参加するブンブンバスツアーという
者に参加しオーガナイズしている人だそうで(現在名前失念)、
国中を改造バスで走り回ってなんとバス内でイベントをしているという。
今日はここリエージュでのコンサート、出来れば是非参加したいと告げると喜んで、と。
誰が出るのかと聞くと「グナワミュージシャン」との答えに驚愕。
ロッコの異端トランスミュージック、グナワ、まさかこの地でみまえることが出来るとは。
ここ数年の願いが叶ったようだ。


とりあえず皆でブンブンバスへ。
町外れにそのバスは止まっていた。
バスは本当に手作り改造で、居住空間やキッチンも備わってあり、これは凄い。
少しある荷物を運び去ると収納もばっちり、ベッドは後いう間に解体され、このスペースには
驚きの規模のPAシステムなどが出現。
こちらのパーティーピープルは根性が違う。

毎日音楽といたい、という気持ちを形にする。


ほどなく特徴的な帽子を被った人物が現れる、グナワミュージシャン、モロッコ人のアーメッドさん。



適当になごんだあたりで子供鉅人は宿舎へお帰り、こちらはもう少し滞在。
すると日本人の姿が、このあとラジオに情宣で出演する時に翻訳をしてくれるトシさん。
挨拶をし自己紹介すると意外なところでつながりが、以前、風の旅団や夢一族などと関係があったそう。
共通の知人も結構居る模様。
トシさんはこちらで画家をされているそうで週末から個展もあるとか。
クレアムのことも知っている、感じの良い人だ。


そうこうしているうちにコンサートが始まった。
声をかけてくれた女の子とDJのデュオ。女の子は12弦アコギでオリジナル曲(だろう)。
ノリノリで歌っている姿はさっきまでしてた眼鏡はずしたせいか、結構かわいい。
リエージュの女は、良いぞ、いえーい」と言ってくれたのはブリュッセル在住セネガル人ジム。
嘘ではない模様。


ある程度したらヤネックの車でラジオ局へ移動、車にはトシさんとマチュー、ヘイゼルという女性は
フランス語から英語に翻訳してくれる人。
ラジオではDJ(フランス語)→ヘイゼル(英語)→トシさん(日本語)→僕、という図になる模様。
アフリカの奥地のようである。


スタジオはリエージュ大学のすぐそばにある。
建物の最上階の小さな部屋。
最近な技術の進歩で最小限の機材で包装が出来るようになっている、普通の部屋だ。
数人の男女が現在進行で放送している、隙間にミーティング。
主にマチューが喋り倒し、DJの質問にヘイゼル→トシさん経由で答えるのだが、
これがあちこちで混乱を起こし、えーっとえーっとになってやっと英語で質問が来て
「ウイ」と返したら、ずっこけられる。
めんどくさくなって下手糞だけど僕の英語に切り替えてこうして何とか終了。
ビールと赤ワインが放送中に出てくるのもお国柄だが、まさか、とは思ったがナニまで。
いくら合法でも仕事中にその匂いがすると驚く。


今度はまたブンブンバスへはや戻り。
さっそく楽器を出してソロをやることに。
マイクを一本借りて爆音の力も借用。
誰も僕を知らない、こういうシチュエーションこそが良い。
マイクのレスポンスが良いので微細な音の表現もばっちり、場所が場所なので
踊りながらリズミックにアプローチ。程よいところで終了。
受けた、と思う。


この後、あのグナワのアーメッドの出番、どうやってかEVの転がしスピーカーにゲンブリと呼ばれる
三弦で大きな四角い胴に皮が張ってあり、太く丸い棹がたててある大振りな弦楽器を手に
マイク一本、歌いまくる。

ゲンブリの響きは結構低域で、トランシーに繰り返される曲ごとに独特なリズムを持ち
微細な変化が繰り返しに中に行われる(音量の強弱、微妙な装飾音など)。
基本的に変わらないワンコード的なループ音なのだが、生演奏ならではの揺れと微妙な変化が
かなり身体的に来るものがある。
個人的にいうと物凄い好みだ。


いつの間にかキーボードが運び込まれミキサーに接続される。
共演者か、と思いきや、どうも調子が悪いようで不参加のよう。
ダラブッカで参加のヤネックにマチューが加わり始めたところで、参加することに。
(うずうずしていたのだ)
私事で申し訳ないのだが、西洋の金管楽器であるtubaで民族楽器の音、リズム、癖などを
そっくりそのまままねするのだけは、結構得意なのだ。
うまいこと相性があったのか、ほぼそのまま音形はトレースできる。
(しかしグナワの音楽は形式ではまったくなくてその精神にあるといわれる)
結構急激なテンポの変化などもあり、音だけのコミュニケーション、やはりこれは即興できる醍醐味。
ヤネックやマチューが下がった後に、なんとデュオということに。
ゲンブリの低音を全身で受け止めて返す。
こちらも色々と変化をつけて挑戦するが、3度のハモリのような、西洋的な解釈のものがまったく合わない模様。
音色やちょっと言葉で説明できない類のほうが調和する感じがとても興味深い。
あっという間に、夢の時間終了。


書いてないけど、お客さんは勿論超盛り上がりだ。
一緒になって口ずさむ若者も良く見ればモロッコ系のようで(ちなみに皆飲んでる)どえらいご機嫌さん。
アーメッドが下がった後はマチューとデュオやって、そのままヤネックが参加してきて
お客さんも交えてセッション、この間にアーメッドはカルカベといわれるふた鞘の豆の殻のような
大型金属のカスタネットを非常にグナワらしい歪んだ3連/6/8拍子けいのリズムで刻んでくれた。
おー、またしても、感激の本物である。


終えて外で冷気にあたりビールを貰う。
オーナーたちにも喜んでもらえた模様。
明日はここにデグルチーニがやってくる。
素晴らしいことになることを祈るのみ。


片付けて帰途へ、le zoneにつくとここで難題が待っていた。
鍵が開かない。こちらはほぼ100%出入り口はオートロックで、預かった鍵は一つだけ。
すでに寝ているのは分かるけど(深夜2時過ぎてた)しかしブザーを何度押しまくっても誰も起きない。
これは、まずい。
かなり粘ったが諦めて別の方法を。
ヤネックの車に乗り込みどこかへ連れて行ってもらう。
着いた場所で出てきたのは先ほどの演奏を見てくれていたミレアムさん。
こんな深夜に突然の来訪を嫌がらずに寝床を提供してくれた。
マチューとヤネックは再び車でどこかへ。???
なんだか素敵な天井を持つミレアム邸でふらふらの体を横たえて刺激的だったこの日に幕を閉じる。