kitchenセッション@京都sit-get-sun

daysuke2007-07-28

花輪嘉泰ts 高岡大祐tuba,per しげさんkitchen-per


ライブ前にかなり早めに出発し四条大宮で待ち合わせ。
関西一営業成績及び態度の悪い郵便局員として知られる
げすひどし(ちょっと仮名)さんが新しく開いたお店へ。


げすさんは、以前大金を手にした時に
「けったくそわるいのお」というて一円残らず使って
沖縄の糸満に宿を立て若いおかみに全て託したり
晴れて独り身に立ち返った瞬間にうら若き美しい女性と一緒に
なったり僕にとっては
「男の夢の体現者」なんだな。
置き場に困って一軒家を借りるくらいあったレコードを活用した
中古レコード屋エンゲルスガール」がオープン。


近隣の町屋というか古い建物が次々建て直されている一画。
このあたりの大地主の息子さんが地所を建て直しているそう。
いちはやく目をつけたげすさんが仕事退職して店オープン。
新築のような美しさ、ロフト付の羨ましいスペース。
中庭には緑があふれ天窓から柔らかい光が注ぐ。
宅配便のお兄さんが音楽ファンだそうで嬉しそうに物色してる。


近所を歩くと赤線時代までの花街であった島原がすぐそことあって
大阪飛田とは違う風情のある町並み。
その頃栄えたとみえる飲食店がたまらなくそそる。
大門を前にして絶句。柳までマッチ完璧。
太夫とはこの町で生まれた名前だそうだ。
豊臣秀吉、やるのお。


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お祝いに行ったのにご馳走される。
近所の隠れがイタリアン、しかも所用ありて、
と僕一人ディナー。
うわ、いいのかな、ツケで何ぼでも食えと。


オーヴァルで口を湿らせ喉を潤し
シチリア産のチーズを中心にしてもらった前菜はオリーブから
完璧に向こうのスタイルでサフランと胡椒を使ったチーズなど
完璧に我が好み。
主人の出身とみたシチリア産の辛口白ワインに切り替えて
これが噛み締めることができるかのように濃厚で旨味。
夏向けにスタミナ的な料理が並んでいるが淡い味付けで
ファーストコンタクトをしたいのでメニュー以外のものを頼む。
あっさりしたパスタを、と頼むとうちのカルボナーラは特別だ、と。
これでピンと来てオーダー。


やはり、だ、クリームもミルクも使わない本物のカルボナーラ
卵黄と本物のベーコン、粗挽き胡椒、それにパルミジャーノレッジャーノ。
かつて炭焼き小屋で職人たちが食したといわれるもの。
卵黄のまろみは絶妙の温度の通らなさでとろとろ。
岩をイメージさせる胡椒の粗さ、なんとシンプルにして真っ直ぐ。
メインも値段に惑わされず惹かれた、チキンのミントレモンソース。


やられた、これは驚きのヨーグルトソースだ。
散らしたミントとレモンの香りですっと汗が引いた。
かすかな甘みを寄せた白いソースが綺麗で美味い。
パンには合わないソースゆえ、最後は皿に残ったソースを
右手小指でかき集めて舐め取った。


〆にはメロンのシャーベットとエスプレッソ。
夕張か、赤みのシャーベットは声を上げる美味さで
エスプレッソは少しだけ砂糖を加えたほうがバランス。


独りで1時間半のディナー、堪能した。
始まった時には独りはさびしいなあ、
誰かと美味しさを共有したいなあ
などと思ったが、途中からは夢中で後半は鼻歌を歌いながら食べた。


EGに戻り篤く礼を言い、お祝いにCD購入。
秋の帰国後にここでの初ライブを約束。


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市内バスの進まなさにうんざり。
そういえば祇園祭の期間だった。
30分遅れで久々に到達、「sit-get-sun」しげさんの店。


ザックバラン時代には植村さんを皮ギリに渋さのメンバーを
たくさん連れて行ったものだ。
その後独立したシゲさんのお店で、今回2回目のライブ。
しげさんは髪を黒く染めさらさらになって10は若返ってた。
旧友サックス花輪さんとトリオ。
舞台はカウンターに囲まれたキッチンのなか、
所狭しと並べられた食器がしげさんの楽器。
ゴミ箱にはなんとツインペダルが並べられ排気口や髭剃り、
タイマーでも何でも楽器になってドラマー。
僕も半分くらいはこいつらを叩きまくった。
背後から野太いサックスが背中を押す。
カウンターには祭りの影響か若き美女ばかりでやる気アップ。
3人で一杯のキッチンミュージック。
物凄く楽しんだ。


美女らを前に男トークで色気なし。
京都から大阪への終電は早い。
名残惜しく帰途へ。


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げすさんのお店の名前は大正時代のお洒落で最先端だった
社会主義かぶれの若者を「マルクスボーイ・エンゲルスガール」
とよんだところからきている。
いかにも彼らしいチョイスだ。
店のカードの裏に書かれた言葉を帰り道読んで涙ぐむ。


「高くもなければ尊大でもなく、
 ましてや皇帝でも王様でもない。
 たかが一片の道しるべ大道の傍らに立つだけのこと。
 ただ、旅人はお前が指し示す方角を頼りにし、
 お前のおかげで遠近もわかる。
 お前の働きも捨てたものじゃない。
 多分、人々はそれを忘れないだろう。
                   ホーおじさん 」


俺はクソッタレの人でなしで馬鹿にされ嫌われ疎まれる、
だけど、友人だけは最高だと思う。
みな、素晴らしいことをたくさんしっているし実行している。
幸せな気持ちだ。
暑さなんてまったく気にならない気持ちのよい夜だった。