SHINYA YAMAMOTO GEIJITU CAR PROJECT 2007@京都ギャラリーアンフェ

daysuke2007-06-03

やまもとしんや paint 高岡大祐 tuba


この日のことはうまく文章に出来ない。


久々に叡山鉄道に揺られて一乗寺駅からはじめて行くギャラリーへ。
町並みが古びていて好きだ。
洋書やアクセサリーが並ぶ広い本屋の奥にギャラリーがある。
視界に入る色色の数々。
感想なんていえない。

久々のしんや兄貴との再会。お久しぶりです。
話するだけで何か沸き立つ。
積もる話が山ほどあるのだ。


そこそこに準備開始。
出発直前にしんや兄貴の日記など見て燃えてしまい突然ガラクタひっくり返して
配線だけでも確認して持ってきたエレキおもちゃセット。
PAなどないのは知っていたので音の出先はヤカンアンプ。

これははじめて使う。ディレイ以外はほとんど電池駆動だ。
粗悪コンタクトマイク・パーカッションシンセ・粗悪ボーカルマイクなど。


着替えと準備のために一度外出するしんや兄貴。
開演時間も読めないがあんまり気にしない。
人も集まってきて戻ってきたしんや兄貴はペイントされた滅茶苦茶かわいいイタリア車で

細身のスーツに頭にはいつもどおり紙袋。
でっかいイーゼルにでっかいキャンバス。
長大な筆におそらく本人のものと思われる長い髪の束。
目の前でエスプレッソマシーン操りいれた珈琲で描かれる前にちょっと飲んでみて
頭はたかれる。
僕はこのあたりでヤカンエレクトロニクスで遊びまわっている。
はじめてやることだしたまらなくチープな音で正直言って回りの存在を忘れるくらい
没頭してしまう。
最前列には入場してきたときから一緒に描く気満々の小さな子供たち。
その前にしんや兄貴は大きな紙を広げたくさんの色鉛筆を渡す。
ただの思いつきで色鉛筆一つとってコンタクトマイクつけて絵を描いてみたら
おお、やっぱ音が出るではないか!絵に音が追随してメチャ楽しい。
しかししんや兄貴からtuba吹け申請発動。
なんとなくしぶしぶ戻るけど他に気が行くなあ。


細かいことは昆虫の世界の中の広がりのように多々あったので割愛。
「真に美しいものはパレットである」(みたいなこと)をしんや兄貴書き垂れる。

彼の大いなる主張である。
僕はといえば、なんとtubaでいる自分は不自由なのだろうかと思ってしまう。
tubaだと何でも出来る、思い通りの音が出ることの不自由。いつもある壁。
これが逆に限定になってしまう。しかし、ライブは進む。
遊ぶ遊ぶ。
ラストはもうお絵かきっ子たちの独壇場で紙袋ヘッドのしんや兄貴と子供たちは
まるでアニメでも見ているかのごとく不思議で楽しいコミュニケーションを果たし
僕はそれのBGMのようにそっといる。

「end」と書かれてから何度も何度もはじまっては終わる。
素敵な時間でした。


しんや兄貴と居ると、ここにこめられた思いの深さや重さや軽やかさは
なんと伝えるのが難しいことかと思って、少し暗鬱になってしまうところもある。
それは自分の思いは誰にも通じないかもしれないと思うことに似ているけど
うぬぼれではなく、自分を信じることが出来ることの大切さを学ぶ。
とにかく大事なことは、ここにある。
独りになれる強さを持って人と一緒に居れるのに越したことはない。


片付けもそこそこに、しんや兄貴の渾身の傑作「geijutu car」に乗って京都の町をかっ飛ばし
打ち上げ会場へ。
そこには偶然見知った友人知人が集まっていて花が咲く。
うまい肴、うまい酒とうまい会話。
いつもこうありたい。
終電には個人的になつかしのオースチンミニに乗り込んで京都駅まで爆走。
BGMはキヨシロー。かつてポルシェと戦ったこのかわいくも勇ましい車で。
素晴らしい夜だった。
これなかった人に、この素晴らしさを伝えることは出来ない。