リップサービス6@亀山月の庭

daysuke2007-02-14

照喜名俊典euph 石渡岬tp 高岡大祐tuba
舞踏:歌舞伎昌三 写真展示:中津真衣子


昼過ぎまで眠って起床。
外は小雨交じりのような天気。
家主のキヨシさんとミホさんに改めてご挨拶。
おいしい手焼きパンの朝食を頂く。
近所散策、陶器の小さな可愛い椅子が並ぶ小川の横の小さな谷を抜けて
陶芸家ワリーさんのお宅訪問。
ちなみにこの小川がこの集落の飲料水になっているらしい。


ワリーさんはイギリス系インド人というのか、どうもスペイン人ぽい感じ。
ラテンの乗りを感じる、何を飲むか聞かれて「ワイン」と答えると
「イエーイ」と快活な返事に笑う。
しばし彼のお気に入りの音楽を聴いて陶器を見せてもらいケーキもらって歓談。
すぐ近くでろうけつ染めをやっているイサさん、
照喜名君と同じで粟国島にルーツを持つらしい。
この界隈の人たちはもてなし好きだ。


せっかくだということで湯ノ山温泉に足を伸ばす。
グリーンホテルの露天風呂、浸かっていると結構な雨。
通路用の番傘がやけに嬉しい。
温泉の暖かさで生きている冬の蟻を眺めて湯に浸かる。


すっかりいい気分で亭に戻りスパゲティーを頂き出発の準備。
今晩の会場月の庭へ。


よく松阪や鈴鹿に来ていた頃になじんだ道を通る。
月の庭は前からずっと話を聞いていた場所で
友人知人の旅の演奏地としてずっと記憶にあった。
主人まさるさんとは名古屋のロジウラのマタハリで少しだけ会ったことがある。
着くなりいきなり感じのよさにやられる。
文字通り庭がある、古い民家の1階には食事スペース2回が
座敷で本日の演奏場所だ。
早速セッティング、中津さんは写真の設営に入る。
今日は角を場所にして僕は背面へ二人を前に。


控え室で少し休憩。トイレ横の離れのような場所。
こういう純和室の楽屋はとても嬉しい。
ちなみに月の庭は館内禁煙でとても助かる。


さて開始。
右手のほうにはお世話になった集落の皆さんがおられる。
少しくらい照明に期待の目が光る。
いつもどおり1曲目から汗かきかき。
乗りよく進行していると突然更なる来客が、
鈴鹿在住音楽家プロデューサー何でもやってしまう男、
たなかつとむ(Pちゃん)がカホンもっていきなりあがってきたので
そのまま紹介して入ってもらう。
ちょっと横にいて距離があるのが難点だけどリズムが入るとある種の楽。
ファンクにやらせてもらう。


休憩いただいて2部。
この前に写真展示の中津さんの展示のコメントの時間あり。
見計らって階段を上がっていくと聞こえた彼女の〆の言葉は
「下町人情ファック」
わははははは、階段落ちそうになった。
そう、みんながぼんやり思っているような人情なんて
ほかっておいたらないもんだ。
下町の監視の目、自然のそっけない酷薄さ。
ファックの気持ち、刻まれる。
いいじゃないか、ファックするってまぐわう、素晴らしい。


なんかがギンとなってきた。
リップサービスに太棹(津軽三味線)抱えカホンに座るPちゃん。
決め事のないところから生まれる空気にこの日初共演のまさるさんの踊りがからむ。
顔に少し透ける布を被った彼が階段から躍り出る。
縦横無尽とはこのことか、さすが主人、自分のフィールドを作るに長ける。
普段は即興やらないPちゃんだがそんなものはセンスと間よ。
空気にぴったり、岬ちゃんの思い切りの良さは即興に向いている。
照喜名君の柔らかい音色はどこにもぶつかることない。
少し頭のある我が道になってしまうのが惜しく感じた。
俺はといえば久々の即興、のびのびやらせてもらった。
どんなときも自分の音楽はダンスミュージックなんだと思っている。


良い意味で長く感じる素晴らしい時間。
まさるさんに感謝。
ここからまた3人に戻り演奏。
即興で解かれた感じが曲に乗る。
最後にPちゃん迎えて大団円。
アンコールでどかどかやると階段の脇にゆするように踊るまさるさんを見た。
古いフレンチポップ、座敷から鼻歌が聞こえる。


終演後店の人、お客さん入り乱れて会話。
生のエナジー
集落の人たちが大喜びしてくれている。
特にワリーさん、どえらい歓喜
ああ、そうだ、欧州の人たちはいつもこうやって自分の喜びを
演奏家と同じように全身で表すのであった。


片付けて待望の打ち上げ。
月の庭は有名なオーガニックレストラン、
奥さんの作る手料理は絶品、食材はまさるさん夫妻のご両親が営んでおられる
表のお店岡田屋さんにも置いてある。
凄い品揃えなんだ、くらくらした。
そこにもあった絶品の純米酒をくぴくぴ、舌鼓とはこのことや。
オーガニックだからうまいのではない、うまいからオーガニックなのだ
とわけの分からないことを思うくらい、うまい。
野菜の味が濃い。
思わず調理を聞くが、塩や醤油を少しだけ、普通に煮炊きしたという。
我が理想ではないか。
話も弾むなか、最後のほうにさらに残っていたものは全部我が胃に収まった。


気分最高。
厚くお礼を申しあげ最終片付けもそこそこに
2軒隣の古民家に泊めさせていただくことに。
さらに頂いた純米吟醸焼酎を少しずつ飲み
ほの暗い民家の一室に輪を囲み
風の家鳴りを背景にくすくすと夜を更け行く。


月の庭 http://www.za.ztv.ne.jp/tuki-niwa/