RONINセッション@門前仲町art kitchen

daysuke2006-10-27

RONIN
http://www.nikbaertsch.com/
日比谷カタン
http://anorexia.k-server.org/top/top.html
高岡大祐tuba


この日の日記もSNSからの引用。
本当に素晴らしい音楽家たちばかりで感激した

  1. +++++++++++++++++


長かった旅路の果てのライブのこと
やっとかけるや


昨年渋さの旅が始まってすぐにロシアは北極に近いぜの
アルハンゲリスクでフェスで出会ったスイスのバンド・RONIN
http://www.nikbaertsch.com/
ピアニスト・ニックベルチュ率いるこのバンド
ヨーロッパ旅の中でいくつかあった強い印象のバンドのひとつだった


たしかドラムのカスパーとパーカッションのアンディとは
ホテルの狭い1室に15人くらいぎゅうぎゅうで朝まで飲んだ
おかげで全員その朝の出発に遅刻しかけたっけ


昨年近似バンドのMOBILEで来日、
1stステージを取ったMOBILEと渋さがセッティングを含めた
クロスフェード転換(メンバーが徐々に入れ替わる)は
とてもスリリングだった。
クロスの最初の部分のメンバーとして直接お声がかかったのは
とても嬉しかった


+++++++++++


今回の来日にあたり代理人を介して共演の誘いがあった
僕はもう組織に属していないのに
その中から覚えてくれていたのがさらに嬉しい
個人の顔を見てくれるってこと。


ぱっと会ったらニックの笑顔。
お土産です、とスイスのチョコをくれた。
ありがとう、よろしく、スウィートハート。


今回は予算の都合上トリオで来日、
ECMという、知っている人には
これだけで説明の要らないレーベルから満を持して
リリースしたのだ。
知らない方には、とても厳選された音質の良い
クオリティの高い音楽を長年発信しているレーベルだと
思ってください(足りないけど)。


リハ聴いただけで、うわっ研ぎ澄まされている、と感じる。
題名にも書いたritual groove musicというのはニックの
現在の全ての音楽に共通する概念で
直訳すると「儀式的グルーブ音楽」???
ジャズではない、即興の要素も薄い、しかし
僕らの世代に共通する何かを持ったバンド。


ああ、もどかしい、聴いて欲しい。


恐ろしく精密で禁欲的で、そのぶん一音ずつの快楽は
莫大な質量を持っていて、
ゴマ粒ひと粒の音に
100夜ぶんの極上のエクスタシーが詰まっているような
そんな磨かれた音が連続で続きまくるのです。
終わらない音楽。


かといってだらだらと
ビーチボールの中に30代引き篭りのだらしのない
腐ったザーメンを詰めたような
馬鹿ヒッピーエコジャムバンドとかとは
まったく違う、ご安心。
安易なものは快楽から遠い。


普通、人間がRONINと同じことを演奏するのは
4小節も無理だ、って気になってしまう。
精密に動く心地の良い
一万の日本刀の動きと光、みたいな。


そんなバンドにアンタ、俺かよ
燃える心を鍛造して冷却して人間やめて
1本の刀になって参加
音をはずしたら、死ぬ、そんな感じ。
僕には 物凄い心地よい。


リハ中に広がる彼らの笑顔。
さっきまでのニック以外のうっすら余所余所しさが
まるで嘘のように解凍。
なるほど、受け入れてくれたようだ。
命がけ。


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前座には、日比谷カタン
知る人ぞ知る、あの鬼才。
http://anorexia.k-server.org/top/top.html
(注意:HP危険です)


今年2月にか、初見の日記にもあるが
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=87522879&owner_id=282169#comment
とにかくはじめてみたときにはびっくりしたのだ。
今回、同イベントに出れるのは幸せ。


楽屋トークも楽しく、本番を見る。
20分しかないし、RONINのリハ見て、ゆったりやることに
しました、なんて、言ってましたよねカタンさん?
ど・こ・が?


相変わらず手の動きが見えない、
目を瞑ると何人の人間が入れ替わり立ち代わり歌っているか
分からないような七色の変幻する声


とか


人はよく表層だけを見て音楽をわかったような気になるけど
(俺には音楽は分からんよまったく実際)
そうじゃない、説明のつかない何か異常にに深いもの。
人間は、とか考えてしまう。
ここまでやらないと、いけなかったのか・・・とか。
梅津さんが書いたキャッチコピーに
「人類はついにジャンゴラインハルトの再生に成功した」
というけど、ある意味間違っていない、というか、なあ
俺はこんなにギターうまい人間は知らないし
ギターと声を持ってこんなものが出てきてしまう
人類を知らない。


ほかの人にはまったく理解不能な域で、
自分の求めるものがあることがはっきりとする。


俺、この人のライブ見るの、大好きだ。
魔術と魔法と錬金術と音楽と。


最初に見たときの印象は変わらない。
なにか自分のものを大切なものを
悪魔に売り渡して、その代わりに突然に
音楽を得たんじゃないか、って思った。
たとえばさ、自分の幼い●を目の前で●●ちぎられるのを
じっと24時間●●しながら認めるとか、そういう類の
禍々しい感じ(以上、僕の妄想)


でも、俺は好きだぞ、日比谷カタン
俺にも悪魔来てくれ、と少し思う。


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そしてRONIN。


ニックのたった一音。


一音の美しさにどこかここじゃないところに
もっていかれるようだ。
けして嘘も偽りもない、磨かれた研ぎ澄まされた
澄み切った生き物のいない湖の、一滴のしずく。


空間の中に快楽の色彩、柔らかい光をさす
ベースのビョルン。


ちょっと軽薄な物言いとか
悪ガキみたいなクルクルする目からは
想像もできない
異常に知的な一音ずつで構成された
切り刻むようなビートを放つドラムのカスパー。


実際はこういう感想は最初の音の0,000001秒くらいで
脳味噌の細胞の一粒が思ったことくらいで
後はずっとこのまま細胞レベルで快楽に放り込まれる。


音だけ聞いていると異常にストイックなんだが
彼らのライブの醍醐味はこんな美しく強い音楽を
爆笑しながらやっている、彼らの表情の変化だ。
もう、嬉しくって仕方がない、わーい!って
子供かああ!
アホやろ?
でも音楽はもう宗教的に近いくらい美しい。


ぜんぜん自分がどの段階で参加するのかさっぱり分からん。
いいんだ、ずっと聞いていたい。
突然ニックがMC。


「えーここで、皆さんご存知でしょう、
 日本で有名なtuba吹きの・・・」
ここで会場から
「NO!」
との声が上がる。
もちろん僕から。
誰も俺のことなんか知らないんだよ、
ごめんね、ニック。


++++++++++++++


なんかリハより意地悪されてる感じがする。
この人たちに意地悪されたら居場所はない。
居場所のないところに居場所を作るのが俺の仕事だ。
やり方は簡単、そこで人がやっていないことだけやればいい。
・・・・・・・。


ほとんどないんである、ここには。
ここで一番良くないのは、無駄なことだ。
それは計量化できないかもしれないけど、
はっきりした形をとる。


醜い、のだ。


この理解不可能なまでの複雑にして快楽的なリズムを
とらえて、会場のお客さんに、放す。
これが僕にできることだ。
ひとつの楽しみ方を、提示する。
ただしそれは、もちろん普通じゃないけどね。


ニックの笑顔が真正面。
グランドピアノとフェンダーローズの間にある
微妙な差異が一人で三人分の連弾と化して
ビョルンの光の帯とカスパーの硬質なビートが
これがグルーブだ。
日本に今いるバンドのほとんどはグルーブなんて
口にしてはいけない、安易だ。


ある種、恐怖のサウンド
いくら説明しても、まあ無理。
聞いているときに拒否することは不可能、
あまりの美しさに、うとうとと居眠りすることしかできない。
俺はほとんど睡眠取れなかったけど、覚醒しっぱなしだった。


そう、覚醒、これがほしい。


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打ち上げは門前仲町、いいよね、飲み屋多くて、
屋久島料理って初めての居酒屋で打ち上げ。
ロシア人・才媛マネージャー・タチャーナの隣で
馬鹿話から美の話まで幅広く。
久しぶりに東京で終電とか全部忘れてた。
音楽が一度がっちり組むと心解きもう友か。


たった一日だけの再会
別れはまたしても堅い抱擁で、再会と再演を誓う


まっすぐ生きてれば
いつか会いたいどこかの誰かに 会える。
俺が見本だ。


最後にもう一度確かめたが
本当に36時間連続コンサートをやったらしい
こんな恐ろしく精緻な音楽を、生演奏で。
ノードラッグ、ノー睡眠で(食事あり)。
欲求と意志の力、無限大なり。
もちろん命がけ。


+++++++++++


大阪発ベルギー、スコットランド、東京、富山経由の
音楽の旅の終わりがこれでよかった
感無類の感動と愛と音楽と。


また大きく強く、どこかへ。