ブラックライトオーケストラ@渋谷アップリンク

daysuke2006-10-14

blacklightorchestra
http://blacklightorchestra.org/

Les Octobristes
http://lesistes.collectifs.net/accueil.php


僕としては早起きなんである。
朝10時半に渋谷ハチ公前でリーダーダニエルと待ち合わせ。
すげえ、この時間のハチ公前、クレイジー
少し遅れて寝ぼけたダニエルやってきた。
どうやら朝までカラオケしてたらしい。
顔が白い。


田園都市線に乗って用賀へ移動。
なぜなら友人宅にエレクトリックピアノを借りに来たのだ。
3日前にダニエルから電話があり、ダイスケ、渋谷にピアノがないんだ
何とかならんか、とのこと。
ムキィー、誰だ、ブッキングしたのは、と腹が立ちまくる。
ブッキングした時点で分かってるだろうが、楽器の準備くらい。
というかここでやるの何回目だ?
なんでこんなになるまで放っておいた?
ミュージシャンにこんな手間かけさせるな!
友人であり本当に協力したいからするが、どこかの馬鹿の尻拭いを手伝うようで
正直気分は良くない。
加えて朝仕事は苦手だ。


申し訳なく友人宅へ。
午前から顔中毛だらけの馬鹿と陽気なスコットランド人がやってくるので
当然1歳半の娘さんはダダ泣き。
ごめんなさい。
安もんでごめん、と友人は言うが88鍵ある、大丈夫。
本当にありがたい。
重々礼を言って梱包、渋谷へ出発。
キャリーでダニエルが転がしていく、俺は後ろでサポート。
階段では片手で片方持ち上げて、tuba持ってるのでかたちんば。
馬鹿力だけがとりえのtuba吹き。


渋谷の坂をうんこらせと登ってアップリンクへ向かう。
まるでキリストがゴルゴダの丘登ってるみたいだ、というと、
ノー、キリストはキャリーを持ってなかった、と軽口飛ばすスコッチ。
苦境のギャグはいつも冴えてる。


++++++++++


僕は初のアップリンク
マネージャーの倉持さんにご挨拶。
本人も言っていたが京都メトロの林さんに雰囲気が似ている。
つまり高感度高し。
昨日の今日なのでほっとする。


ベルギー勢はなかなか来ない。
ちょっと不安そうなスタッフ連。
とりあえずダニエルのセッティングとPAにサジェスト。
ダニエルの希望を翻訳してローマ字に直して書いてあげる。


ベルギー連、遅れて到着。
慌ててセッティング、チェック。
ここはドラムが使えないのでスネアとシンバルくらいの簡単なセット。
ホーンはマイクなし。コンタンは喜ぶ、生音好き。
オクトバリストは時間の都合上、転換の時間にチェックすることになる。


オープンの時間になってヤニックが楽器屋に行かなくちゃ、という。
え?後30分だぜ開演、と一緒に向かう。
ヤニックは異様に健脚。僕でギリギリだ。
あってよかった石橋楽器でds用のブラシとエレピ用のペダルを購入。
急いでかえる。


お客入りに合わせて30分のディレイが決定。
オープンカフェの奥に演奏会場があって彼らが居て
なんだかヨーロッパの会場みたいだ。


お客入りは少しさびしい中、なんとか開演。
最初はブラックライト。
僕は2曲ほど参加。
今日は彼らの友人の外国友人も多く、昨日よりは盛り上がっている。
しかしちょっと場所が綺麗過ぎて雰囲気が少々さびしいかな。
熱烈なアンコールもあって幕。


続いてオクトバリスト。
あれ、客が減っている・・・
なんでだろう、はて。
ほんの少しだけオクトバリストも何かとの温度差のようなものを感じる。
あれれ?
素晴らしいのだが何かが少しだけずれている感じがした。
場との波動だろうか?


けして悪くはないのだけど熱伝導が悪い感じというか、
消費効率が悪いというか。
なんとかかんとか幕。


終演後は同会場で夜のイベントがあるということで急かして撤収。
のんびりムードは終演後いつもなので少しケツを叩く。


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さあ帰ろうと思ったらメンバー数人が大変な剣幕。
どうしたどうした、教えてくれ。
・・・・。
金銭的なことである。
どうにかならないのか、と粘る彼ら。
申し訳ない気持ちで一杯の目をしているスタッフ。
僕は間で待ってくれ待ってくれと話を整理する。
多くは書けない。
ただ、この条件で彼らが東京渋谷でやるのはきつい話だが
それでもかなり譲歩してくれた上での話しを了承した形に
なっているのは動かしがたい事実。
痛い話だがしょうがない。


しかし苦言一言。
俺なら絶対この条件では彼らを出させない。
だって双方みんなが苦しくなるのは目に見えてるんだもの。
店が悪いなんて事は絶対ない。
彼らの純真と無知も少なからずあるかもしれないが、
事情を知らないんだ、誰かが話を結ぶまでに教えてあげないといけない。
もし知っていれば、俺が教えてあげたかった。
今回、重ねてこういう事態があったことは本当に残念だ。


しょうがないのは分かっていてもこの三日間のことに
ついにブチ切れまくる彼らを見るのは本当に心が痛かった。
もはや許してやってくれ、と叫ぶしかない。
温厚なグレッグが一瞬巨体を振りかざして目をむいて怒鳴るのは
本当に怖かった。
無理もないんだが。
「2度と東京なんか来るか!」
悲しかった。
日本に来て、東京に来てよかったと思ってもらいたいのだ。


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落胆もまた空腹の元なり。
半分くらいのメンバーと渋谷じゃ謎の居酒屋へ。
客の扱い方が最低の高慢なババアが居てまたも怒りそうになるが
(最近ろくなババアに会わない)
彼らの前では怒りたくない。英語に切り替えてひたすら無視することにする。
キムチ鍋をつつきながら涙目で日本の音楽事情の説明をする。
日本酒が染みる。


こんなにグタグタに疲れていてもまだ見れるならライブが見たいと
コンタンとグレッグは言う。
ここらへん、俺は彼らのことが大好きだ。
俺もそうだし、じゃあ、友人出演イベントに行こうよと、
近所のオオバコに繰り出す。


コンタン耳を押さえて苦悶の表情。
グレッグの巨体に見合ったグレートな落胆。
5分くらいか、「帰りましょう」と提案
ごめんなあ、俺も初めてだったんだよこのバンド。
俺の周りじゃスコブル評判悪いんだが見てみないと分からないものだ。
世界標準でひどいということに決定。
日本で今あの手のもので一番有名で人気のあるバンドだよ、というと
ああ、どこでも事情はおんなじなんだね、と彼らは言う。
外に出てコンタンが一言
「音楽がないってことがこんなに幸せなのは初めてだ」
あああ・・・。


最後まで手痛い社会経験をつんだ夜。
一人になり、またしてもじっと汚れた手を見つめる。