ブラックライトオーケストラ@目黒某所

daysuke2006-10-13

Black Light Orchestra


昼間はなんかずーっと忙しかった。
何かと頼まれ物が多くて。
その頼んでる一番の人たちに会いに行く。
東京でベルギー勢、我が友人たち。


僕も目黒でライブするのって多分初めてではないか?
歩いて1分という立地に不安。
案の定高そうな店。


ベルギー連は三々五々集まっている。
この店は初めてらしい。
サウンドチェックに参加するも
またしてもPA担当は居ない。
加えて高級そうな店だけに最新のデジタルミキサーが導入されていて
はっきり言って素人には全然使い方が把握できない。
アナログが良いという訳ではない。
デジタルものはマニュアルなしでは分からないのだ。
担当も居ないのに何考えてんだこの店。


機材とミュージシャンさえ居れば音楽が出来ると思っているのは
一部のジャズ系の店の悪い癖だ。
いったいいつになったらこいつらは音楽を大切にすることを
学ぶのだろうか?
多分店がつぶれても学ばないだろう。


チャージ、普段は3千円で毎日のようにジャズ的ライブやってる模様だが
この日だけはなぜか2千円。
客が来やすい設定かもしれないが実入りもがくんと減ることに。
何考えてるんだろう?


招待リストを下さいといったら、何だそれはと言われる。
招待者の分は全額ミュージシャンに負担してもらうがいいか?とのこと。
東京の常識も知らんのか?と言われる。
ワシは知らんぞ、そんなもん。
そんなの、海外から来た彼らに出来ると思うのか?
何考えているのか?


悪い予感は的中するもので
やはりこの店では音楽は小金持ちのオッサンが
適当な女連れて口説くための酒と食い物のおまけのように
音楽は扱われる。
雰囲気激悪。
6年前に行ったソウルのジャズクラブを思い出す。
ジャズは高級志向のあかし、か。
どうりで日本の和食ダイニング(最近多いぞ馬鹿店)とか意味なく
ジャズかかってるもんな。
誰も聞かないですむ音楽だからだろう、もしくは
音楽を聴かない人にちょうどよいのか。


膝に手を当てて聞けとは言わん、しかし一生懸命やってるのさ、
飯食いながら見れるか?
俺は無理だ。


スタッフも音楽好きそうではない。
まあそこそこ好きなんだろうけど。


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グラスビールが700円、ちょぼい焼酎が1杯800円から。
料理は大体千円強。量は少ない。
大理石で出来たと思しき曲線描く豪華風カウンターは
叩いてみると見事なベニヤ板で軽い音を立てる。
こんな見栄の張り方が値段や雰囲気に反映されているのだ。
ファックアウト、ファック。
俺は絶対こんな店にブッキングしないぞ、大事な人たちを。
誰だ、ここに連れてきた奴は?それがまた見えない。
せっかくベルギーから来てくれた善良な彼らに
「東京キャピタリズム」なんて言わすな!
人を暖かくお迎えすることのできない奴らが
音楽を仕事に関わるな!


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演奏にとって場はとても大事だ。
だから俺は場を大事にしたいと思う。
しかしやはり、この場での彼らの演奏は
どうしても本領発揮という風には言えなかった。
彼らの努力は評価に値するが沼の中にもがくかのようにも見えた。


「お客少ないんだから、たくさん飲食してよ」
平気な顔でオバハンは言う。
わざわざ遠い国から来た奴に金落としていけって言うか?
遠くから良く来なすった、まあ飯食ってけって
特に言うもんだろうが、ババアはよお。
奴ら、世話になったからって小銭しかもってないのに俺らにご馳走しようと
する馬鹿どもだぞ。
腹減ってないか、ってかばんからおにぎり出してくれるんだぞ、俺に。
それは俺らの仕事じゃああああああああ


腹がぐつぐつ煮える。
怒り狂ってもこれ以上彼らのここでの立場を悪くすることは出来ない。
最低の嘘笑い・愛想笑いを百万年分かき集めて俺は笑う。
汚いぐちゃぐちゃのニコニコ笑顔。
こうして俺の顔はまた汚く醜くなっていく。
数少ない救いはそれでも楽しんでくれるお客と彼ら。
ありがてえ。


ああ、やっと帰れる、というところに驚きの事態が。


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まだ片付けも完全に終わっていないというのに
なんの断りもなく全然知らない男が突然やってきて(多分客)
大音量でイージーリスニングのようなへだら極まりないポップスを
がんがん弾き始めたのだ!
はあああああああああああああああああ????
何考えてんだコイツ?
店のもの誰も止めないし当たり前の顔してるから多分こういうもんなんだろう。
途中で俺の大好きなマイケルジャクソンの曲やったあたりで
我慢の限界が来て、おれはぐいんぐいん変態踊りをしながら
奇声を発して罵倒する。全然止まらないクソピアノ。
気が狂いそうだ、これが東京?音楽?なに?


店の名前はあえて書かない。
お、面白そうなんて言う人が居て店の宣伝にはしたくない。
俺は絶対忘れないからな、呪ってやる。
ふ・ざ・け・る・な


もう心身ともに疲れた。
カラオケに行くと気勢を上げる彼らには申し訳ないが
俺は他の事務仕事もあるのでと切り上げる。
怒ると腹が減る。
日本友人たちと軽く飯を食って帰途へ。
まったく、なんて日だ。