AKIRA SAKATA, CHRIS CORSANO & DARIN GRAY + DAYSUKE TAKAOKA & ERIC THIELEMANS + BRU-TO

フェス三日目はピュア音楽フェスの日。徒歩で45分くらいかかって到着。重い。
会場は馴染みのRecycleart、リサイクルマートと読みたいのだがレシクラ、みたいな発音でしかもRが例の発音で非常に伝えにくい。ホシクラ、みたいな音。
昨日到着していた坂田さんのちかもらち(ダーリングレイ、クリスコルサーノ)、僕とエリックティールマンスのデュオ、ジョヴァンニと山本達久とマロンのトリオ。
エリックがサウドチェックになかなかなこないのでジョヴァンニヤキモキ、結構ギリギリに到着、ステージでサウンドチェックするが、どうもふたりともPAが苦手で(ここのではなくてどこでも)
同時に発案して、客席のど真ん中に彼の巨大のベースドラムとtubaを中心に設置して、
周りからぐるりと見てもらう、完全なアコースティック。
ライブ前にはまかないの食事、チキンのドラゴンソース、というのが楽しみで頼んだが聞き間違いで
エストラゴンソース」だった。それにしても旨い。
そういえばお皿を持ってきてくれたのはここのマネージャーのデリクだった。
この人は本当に良い感じで、前に遊びに来た時も6時間位会場で立ちっぱなしで全ライブを見ていたし、この日はマネージャー自ら皿を運んでくれるという、
何の気もない行動に感服させられる人だ。
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紅くて暗い照明の中で二人のデュオ。なんというか、良質のコミュニケーションと自分で言うとなんだけど、それしかない。
結果のない音楽。過程だけが時間と共に過ぎ去り後には何も残らない。
終わった瞬間にダーリンが「CD売ってくれ」というが、出演者から金取れないいや払うの押し問答でお互いのCDを交換することに。やった。
次はBRU-TO。思っていたエレクトロニクス多用の飛ばし系ミニマルかな、と思っていたらそういう面も強かったけど、後半の達久くんとマロンさんのコミュニケーションが良かった。
どうも欧州だと平行線的な皆自由みたいなのも多いのだが、やっぱり日本人のウェットな感性故か(関係ないか)、ドライさの中にそういう人間味のある所があるダイナミクスが良い。
最後に坂田明ちかもらち。サウンドチェックを聞いた達久くんが度肝抜かれた話でワクワクで。
始まって最後まで、最高。
「僕の最高のスピードの1,5倍の速度が普通」と達久絶賛のクリス、その速度もそうだがその信じられない速さの中から立ち上がる反応の良さと面白さ、投げかけの斬新さ、
物凄い切り口で演奏してくるけどちっとも押し付けがましくも、珍奇な感じもしない。凄い。
ダーリングレイ、わはははは、この人最高、咆哮しながら借り物のコンパクトなベースと体を揺らしてもう懸命な演奏、なんというか、ガンガン演奏しているだけの人にはない大きな音楽性とまるで子供のように今やっていることにヤバイくらい集中というかもはや危ない一歩手前までやり切る姿勢と音。
ああ、この人にいいって言われて嬉しかったな。
坂田明!僕はブリュッセルで坂田さんを観れて、そしてこの大好きな街の人達が坂田さんの音楽に触れられて、幸せな気持ちを感じた。
坂田さんは愚直で不器用だ、押し付けはないが、そんなにたくさんのことを器用に出来る人ではない、
練り上げられた、生き方、そのものが説明不要に音楽になる。
隣のやかましい女性が坂田さんのブローの後に深いため息、曲の切れ目ごとの圧倒的な皆の喝采
事前に話したら、周りの人はそんなに坂田さんのことを知らなかった。しかし皆、見たことのないサックス奏者を心から楽しみにしていたのは確かだ。
こうやって、未知の世界を楽しみ喜ぶ人が沢山いることが、僕を幸せな気持ちにさせる。
祇園精舎の鐘の声〜、おお!平家物語だ。ぶっ飛ぶ。何か得体のしれないものが立ち上がる。
夢のような1時間、あっという間だった。
終演後は来場のお客さん達とミュージシャンたちと歓談。
やっぱり坂田さんとちかもらちの感動の余韻が会場全体に広がっている。
僕のエリックのデュオはラブラブに見えたらしい。マロンさんたちのもとても良い塩梅だった。
僕としては、やっと音楽だけができた、という日で嬉しい。
三々五々解散で、僕はこちら在住の人と、家の近所のバーで夜中まで話し込んだ。
やたらに酔っ払いが多いバーアテネ
明朝早いのだが楽しかった。3時半くらいまで。