楽器を失いました

まずfacebookツイッターで公表しましたが、大事なtubaを失いました。
おそらく盗まれたのでしょう。
ベルギーにはこの数年友人宅に楽器を預けていて移動が非常に楽だったのですが、
その友人宅の地下倉庫から、ケースだけを残して中身だけが消え失せていたそうです。
始まりの不審な話は昨月「それにしても大祐、tubaというのはえらく軽いものなんだな」と変なことを言われ、
そんなはずはない、重くはないかもしれないが軽いと感じることはないよ、というと、
整理でケースを動かしたら非常に軽くて驚いたという。
ああ、それは中身がないよ。と。
彼が自宅に帰って調べてもらったら、やっぱり、なかった。
人の出入りがある場所ではなく施錠もされていたのだけど。しょうがない。


その楽器は僕が初めてバンドや仕事のためではなく「自分の音楽」のために吹き始めた楽器だった。
高級品ではなく、普及品。小さくて安ければ旅に向くだろうということで、試奏もしないで決めた。
当時、資金が足りなかったので祖母に助けてもらって手に入れた。
自分の音楽、というのは何かというと、即興演奏だった。勿論演奏し始めは何もできるものではないけど、
誰かに求められた音楽を演奏するためではなく、自分の欲求というわけでもなく、今の自分に至る音楽を生み出し始めたときに、ずっとあった楽器だ。
渋さ知らズの旅では世界中を回ったしトラブルで壊れることも多数、3年前の交通事故で死にかけた時もほぼ全壊になるまで壊れたけど復活して一緒に海を渡った。
ベルギーのブリュッセルが第2のホームタウンとなったとき、帰国前に閃いた、ここに置いていこう。
そしたらもっと気軽にここにこれる。そのことを現地の友人たちは非常に歓迎してくれた。
数ヶ月預けていて、取り出し、まずはほっといてすまない、と思い、整備をして息を吹き込む。
一番何もない頃から吹き込んだ楽器、嘘みたいだがベルの先(マウスピースから9m以上も離れている)まで、神経を張り巡らせたように、分かる、感じ取れる。


保管いてくれていた友人たちには罪はない。
非常にショックといえばショックだが、何故か僕は物を失うことにそれほど悲しみを感じず、
それよりも大事な、音楽に対する身体的に得た感覚や、音楽を聴く精神があることの方を大事に思う。
失ったものや人や感情は、すぐに忘れてしまう方だ。


実際に大変なのはこれからだ。
今月末から行われるベルギーでの日本フェス、参加できるか。
聞くと航空機への荷物乗り入れは近年厳しくなりtubaはもう無理かもしれない。
現地で探せたらラッキー(自分の楽器を取り戻せるとは思っていない)。
さてどうなるやら。
チケットはまだ手に入れておりません。
取り急ぎ。