eric thielemans/高岡大祐/タカダアキコ@カフェムリウイ

Eric thielemans(snare drum,per)高岡大祐tubaタカダアキコdance
東京の中の大阪、カフェムリウイで。
ここは恐れ入ることにワタクシメをいつも応援してくださる稀有な場所。
急遽ゲストにタカダアキコ参加。
お客さん、超満員大盛況。びっしり立ち見。


私のソロはtubaノイズみたいなん。
タカダアキコ・ソロダンスは彼女の腹の底から響く声もダンス。
エリックのスネアにまで声を共鳴させていた。


エリックのスネアソロ。

僕の人生を変えた、いや、掘り起こした彼の音。
終わった後エリックがいってた。
やってる最中、おかしいおかしいなんかおかしいって。
目を閉じて演奏していたんだんけど、何故か自分の音が自分の後ろから聞こえてくる、
しかもその音が天井の方からシャワーみたいに降ってくる、なんだろう。


終わってから見てわかった、背後の木の板と、そのすぐ後ろにあるトタン板の隙間に
空間があって、そこにスネアの音が共鳴して、天井近くにある抜け道から
音がシャワーのように客席に向かって降り注いだんだ。


終わった瞬間、床に寝転んで聴いてたタカダアキコがお化粧もハゲよとばかりに
号泣。わーんわーんって。
なにこれ、なんなのよアンタ、えーんえーん、って。
お客さんがいるのも本人がいるのも構わず、大泣き。


いやあ、高岡が大騒ぎしてるからどんなんか見に来てさ、と軽い気持ちで来てくれた友人は
呆然。
よそでエリックの音源を聞いて怖くなった、といっていたまた別の友人も、
唖然。
心臓がドキドキしすぎて痛い、という人。絶対体に良くないって。


この日の魔法の話。


***

2部はトリオで。
もう始まった瞬間に、もう出来たも同然。
細かいことは記憶の彼方。時間とともに過ぎて無くなっていく記録に残らないただの行為。


アキコもエリックも、ああ、くだんない話で申し訳ないですが、
卓越した技術をもつ(そりゃあもうハンパない)人達なんだけど、
一緒にやるときに、そんな持ちもんのことなんかどうでもいい、
ここにある時を「祝福」するのはどういうことなのか、その場だけの行為、
瞬時に生まれては消えていく営みを愛する動き。


持ち物はいつも、捨て去るときに価値を発揮するんだなあ、とも思った。
服は裸になる瞬間に意味を持つように。
音楽は、音が鳴っていないときに、その大切さをしみじみと味わう。
ただそれがある時は、ただそれがあるだけで、その渦中にいるだけ。
幸せの最中には、幸せと思うことはないや。

このたびの全てが終わった後に、いまほんの少し、いい感じで幸せを感じる。

〜〜〜


終わったらプチさよならパーティー
大好きな酒屋福田屋で選んできたのは山形の銘酒「大虎・大辛口純米原酒」
ありがとう。

非常に不思議な気持ちなのだけど、
だいたいこういうお世話の大変さ、旅の終りの充実感と喪失感を含めて
いろいろな気持ちになって、ある種の気持ちになるのだけど、
今回の彼との旅の後は、そういう気持ちに全くならない。全く。
終わった感じも始まった感じもない。
過ぎてゆく時と同じようなもの。
勿論もっとたくさん彼と演奏したい、生きるということがどういう事なのか、
彼と一緒に何かを感じ、行っていきたい。
でもそれさえも、過ぎてゆく中にあればいいのかな。


答えは相変わらずなく、ただ問が生まれるだけ。
それが、たまらなく、気持ちよい。
不思議な感覚。
これにてツアー日程終了。
間違いなく今までの自分の旅で最も重要な時間だった。
ありがとう、エリックティールマンス。