さよなら、ありがとう、ザ・クラッピーミニバンド

daysuke2008-04-09



ベルギーから来ていたザ・クラッピーミニバンド
昨夜の大阪フィドル倶楽部のコンサートでラスト。
銭湯ライブから翻ってちょっとアダルトなムード。
最後の曲でフレイレフジャンボリーと大合奏共演。
味をしめてお客さんに楽器を振りまいて全員幼稚園状態。
素晴らしいラストソングだった。
ニコは「こんなに素晴らしいエンディングは初めてだ!」ってね。


終演後は近くのてんぷらや「若松」へ。
銭湯ライブに来てくれたダイジローに会いにいきがてら。
心づくし、とはこれか、という気合の入ったてんぷらで皆はホクホク。
今回池袋バレルハウスそんちゃんとここでの食事の心意気は彼らを大いに打っただろう。


さらに彼らの居住地であるポコペンへ戻るとさらにフェアウェルパーティー


ここでベルジャンの本領発揮である。
彼らはご馳走と贈り物が大好き。
日本で音楽するのは金にならん!金なんてからっけつないはずなのに
みんなに贈り物が用意されていた。
マー君に選んでもらったらしいなんだか高そうな焼酎は僕の印象に合わせて
「族」って名前のもの・・・。
そして手描きの絵葉書。
僕らのライブ風景が可愛いイラストで記されていた。


弱いんだよ、こういうのは。


朝まで泣き笑いながら皆で眠りこけるまで話した。
ポコペンから家までは5分の距離だけど、それでも帰るのが嫌で
久しぶりにポコペンに泊めてもらうことにした。


リンはいつも一緒に歩きながら歌を歌ってくれた。
大阪に着てからは特に、いつも一緒に歌って遊んでいた。


パクヤンは食事のことやなかなか硬い性格でぶつかりかけることもあったが
半面おっちょこちょいで、なにより前向きとは彼女のこと、というくらい
エネルギーの塊のようで、元気付けられた。


日本が大好きで和食が大好きで
「ここにいると、来た、って感じがしない、不思議だ」というニコは
気まぐれでお調子者だけど、人の喜びというものを素直に教えてくれた。


ジョバンニはバンドの頭脳として僕をよくサポートしてくれた。
興味の対象、好悪の方向が僕と同じで、会話も弾んだ。


みんなばらばら、まったく違う5人での旅は、本当に素晴らしいものだった。


今朝去っていく彼らを順々に見送った。
今日を休みにしていて本当に良かった。
バスのチケットの手配から引率、移動経路から食事、休憩方法の手配まで
最後まで面倒を見ることが出来てよかった。


++++++++++


朝までの宴会の最中に、ニコの様子がおかしい。
あんな楽しかったね、こんな楽しかったね、と皆が話す中で
彼だけ困ったような顔で何度も外に出て、ついに帰ってこなかった。


朝方外で彼を見かけた仲間は、彼が外で独りでずっと泣いていたという。
喜びの塊、いつも愛について思いを寄せていた彼は
悲しむ姿を見せたくなかったのだろう。
一番早朝に去る予定の彼のために、目覚ましで早起きした僕にも
サヨナラの挨拶も姿を見せることもなく、彼は独りで旅立ってしまっていた。
彼の曲「no words day」のように、千万の言葉より、彼の不在のほうが
多くのことを物語ってくれた。


+++++++++


昼にはパクヤンとリンの二人、女史部が東京行きのバスに乗るので見送りに。
明るく若い彼女らはいつも一緒に道を行くときのように
歌いながら踊りながら、今回の旅の喜びを語ってくれた。
出会えて本当に良かったね、と何度も言い合う道すがらは大丈夫。
バスに乗る直前、二人を両手で抱き寄せた。
トライアングルの中で涙を浮かべる。
「ダイスケ」と「ダイスキ」が似ていることを覚えてくれた彼らに大好きだよ、と伝える。
僕の右手の中にいるリンのリンの右手が僕の左手に
左手に中にいるパクヤンの右手が僕の右手に
しっかりと指を絡め、心が発するままに別れを惜しんだ。
僕がベルギーから帰る時に皆に言われた「これが始まりなんだよ」ということを
今度は僕が言う番だ。
笑顔を取り戻しバスに乗り込む彼女らにちぎれるように手を振る。


+++++++

一人で博多に向かうジョバンニは夜行バスのため二人でゆっくり大阪を楽しんだ。
ポコペンに戻り少し昼寝して、一緒に近所の銭湯へ。
銭湯が大好きでたまらない彼と長湯。
僕は多忙のため3日間は風呂に入れなかったのでここぞとばかりに。
風呂上り、ホームタウンの鶴橋へ向い市場を案内。
どうしても帰る前にお好み焼きが食べたい、という彼に
ベタではあるが風月本店に連れて行き堪能してもらう。


まだ胃にスペースはあるかい、ときくとOKだと。
とっておきの市場のすし屋は休みだったが、近所じゃ知らぬ者なしの
立ち食いすし屋に入り、軽く握ってもらう。
きびなご、のれそれ、いわし、ほたるいか、アナゴ、白つぶ貝。
春の旬を中心に堪能してもらう。


ポコペンへの帰り道、少し小雨の中、
「この町はぐっとリラックスしたムードだね、好きだよ」という。
自分の住んでいる町を好かれるのは勿論嬉しい。


本番が近い稽古中のポコペンで最後のお別れ。
大阪にいながらまるでベルギーにいるみたいだった、とマー君はじめ
皆が心から喜んでくれたのも嬉しかった。


雨が強くなりつつある梅田へ。
格安バスの乗り場は駅から遠くてバス停は戦場のような慌しさ。
雨はとんでもなく強くなっていた。
道すがら鼻をかむジョバンニ。
欧州人は鼻から涙を流す。


また、僕がベルギーで言われたことを彼に伝える。
「君たちが日本にいないのは、変な感じだよ」
困った顔しか出来ない僕に彼はこう答えた。


「僕が生きてきた中で、このツアーはもっとも楽しく大事な時間だったよ
 ありがとう、ダイスケ
 もう感謝の気持ちを伝える言葉は尽きてしまったよ」


ああ、no word dayは君たちの本当の気持ちを歌っている曲だね。
僕ももう何もいう言葉はない。
言葉少なく土砂降りの雨の中を最後のアテンド、席の確認、降車場所の確認。
涙雨、という言葉を教えて、最後の一人が大阪から去っていった。


+++++++++


彼らと日本であって、驚いた。
ベルギーにいたときのあの感じが戻ってくる。
古い埃や重りが軽やかな空気と風で吹き飛ばされて自由を感じる。
裏表のない付き合いからしか生まれない、あの軽さ。
心が開いていく。


僕にとってほんの半年前のこと、あの感じをキープしていたと思っていたのに
日本での暮らしで、僕はまた少し閉じていたのか。
ショックだった。
しかし日々、また心は溶けていく。


心労も疲労もなにもかも、今までの人生の中でもピークだったけど
なにひとつ自分は余計なことをしていない。
すべてやりたいようにやった。
彼らに心から「日本に来てよかった」と言ってもらえたら、それでよかった。
僕は何一つ特別なことはしなかったし出来なかった。
ただ単に必要だと思われたことをやっただけの普通のこと。


しんどいことはただ単に体張ってやればいいことだったし
誰かが辛かったり悲しい時には、僕は笑顔で接すれば良い。
相手が辛いときの心配顔は、ただ辛さが増すだけだ。
困っている人にこそ笑顔を向ければ良い。


とてつもなく多くのことを学んだ日々だった。
彼らに感謝してもらおうなんて思ってない、こちらこそ感謝感謝しかない。


あのベルギーの風を、この国に吹かせれて、嬉しかった。


人気のない嫌われ者の僕には多くの客もたくさんの金も用意できなかったことだけは
本当に悔やまれる。
しかしある日、渡せる金が少なくてすまない、と謝った時にパクヤンは
「私たちの前で二度と謝らないで!!!!」と凄い剣幕で怒り
その後にすぐ屈託のない笑顔で僕の手を取った。
感謝してもらおうなんて本当に思っていなかったが
あんなに全身全霊で感謝されたことは、そうない。
まるで命でも救われたかのように、感謝をされた、毎日。


いまはすべての事柄に感謝しています。
来てくれ、お願いだから見に来てくれ、といっても来てくれない人を恨みかけたこともあるけど
いまとなっては、それもなく。本当に何もなく。
来てくれた、支えてくれた人々に、ただただ感謝します。


あまりにたくさんの人たちに感謝しているので、言い切れない、って、皆言ってた。
ダイスケには本当にたくさんの素晴らしい友達がいるのだね、って。
大人になるまで、友達なんて皆無だったんだけどね。


毎日一分の嘘もなく、何の気負いもなく心を開いて人と接せれた16日間。
友達とは、僕が幸せになればともに幸せになり
僕が苦しければ僕以上に苦しくなってしまう人のことだと思った。
まさに彼らだ。


彼らが去って、緊張の糸の切れるまもなく僕は今週4本のライブがある。
僕はこれからまた少し何かから来ることで、埃や重りを背負ってしまい
汚れて、心を閉ざしてしまうのかもしれないが
僕が幸せになると彼らが喜ぶことを忘れずに
少しずつやっていくしかない。


とにかくとにかく、全てに感謝を。
ありがとうございました。
ジョバンニが言った「人生で最も楽しかった時間」
僕は生まれて初めて昨年ベルギーで感じたんだっけ。
あれを皆が感じてくれた、最高だ。


さあ、動かなきゃ。
この半月あまりに忙しくて5月のライブのブッキング、何にも出来なかった。
いまからフル回転でやらないと、たぶん飢え死ぬ、マジで。
ライブやります、やらせてください。
一生懸命やりますんで、ライブのご要望いくらでもお受けします。


手始めに実は今日はシークレット京都。
お店のお祝いにかけつけるのは
瀬戸信行cl+ボイラーズ。
ぶちかまします。


京都・Bar & Restaurant ATHA
京都市中京区寺町二条下ル えちごやビル1階
TEL:075-211-9378
多分8時くらい。


さあ、またはじまりですわ。